灰色に夕焼けを

柊 来飛

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自覚

異常

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「夕、こんばんは」

「うん、こんばんは」

 軽い挨拶をして、僕たちは本題に入る。

「僕にとっては、それが普通だったんだ」

 何かをしてもらったらそれ相応のものを返す。それ自体は間違っていないはずだ。それは彩葉も承知している。

「うん。間違ってない。間違ってないけど、間違ってる」

 彩葉は包み隠さず言う。結局僕は、良いように使われていただけなのだ。よく、献身的だねと言われる理由が痛いほどわかった。

「夕は、見返りを求めて人を助けてたの?」

「そ、そんなこと、」

「ね?それと同じで、みんなそうなんだよ。初めから見返りを求めて助けてなんかない。こんなに良くしてもらったのにって、少し心が窮屈になるときもあるけど、そしたら別の人を助ければ良いんだよ。そうやって、世界は回ってると私は思うんだ」

「……うん」

「夕の先生もきっと同じで、夕に見返りなんか求めてないよ。夕がいるのはもう、施設じゃないんだよ」

「僕が、いるのは」

 彩葉の言葉を聞いて思いだす。先生に言われた言葉。


   ー「ここはもう施設じゃない」ー


 僕はもう、あんな狭いとこにはいないのだ。


  「自由になって良いんだよ。夕」

 

 その言葉を聞いて、僕は涙が溢れる。

「僕、僕はもう、好きなこと、やって良いの?」

「うん」

「本当は、嫌だった。みんな、僕を色んな目で見てきて、やめてって、言いたかった。洗濯だって、量多いのに、みんな手伝ってくれないし。ご飯だって、僕が作ったのに、僕が食べる分はなくて、2日に1回のときもあるし。洗い物だって、手が切れて痛いのに、そんくらい大丈夫とか言って、忍耐が足りないとか言ってくるし」

「……夕……」

「ごめん、こんな話。でも、彩葉にしかできないから、こんなこと。先生に言えない。言ったら、幻滅されちゃう」

「何で?」

「だって、こんな扱い受けるのには、ちゃんと理由があるの。そのせいで、こんなことなって、」

「理由…」

「だって、」


 
   ー僕の家族は、異常だからー
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