灰色に夕焼けを

柊 来飛

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自覚

祝日

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 僕は僕の過去全てを彩葉に話した。
 嫌われてしまうかもしれない、もう関わることができなくなるかもしれない。

 
 それくらい、僕の過去は酷かった。
 
 
 でも彩葉は話が終わった後でも、いつもの彩葉だった。

「辛かったね、夕」

「彩葉…」

「でも、私はそんなことで夕を嫌いになったりしないよ。夕は、夕だから」

「彩葉…!!」

 僕はまたボロボロと泣いてしまう。
 こんなこと言われたのは初めてだったから。

 みんな、僕のこと知ったら少なからず、距離を置いたから。何か言われたから。

 彩葉にお礼を言った後、僕はスマホの電源を切って深い眠りについた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 朝、先生の声で目覚める。体を少し揺らされる。

「おい烏坂、遅れるぞ」

「……んっ…、え?」

 時計を見ると、いつも僕が起きている時間より2時間も遅かった。

「う、わああああああ!!!」

 僕はガバリと飛び起きる。
 2時間遅いと言っても、現在の時間は朝の6時だ。いつもは早めに起きて家事とご飯を作っている。
 6時でも全然高校には間に合うのだが、先生は心配して遅れると言ってくれたのだろう。

「ごめんなさい!今すぐご飯作ります!」

「いや、飯はもう作った。食べれるか?」

「すみません……」

 僕が全部やるって言ったのに、情けない。約束を破ってしまった。罪悪感に押しつぶされそうな僕を見て、先生は僕の頭を撫でる。

「珍しいな。お前がここまで寝坊するなんて。いや、今まで無かったのがおかしいんだが」

 先生の家に来てから2年間、寝坊という寝坊は無かった。そうならないように僕は気をつけていたから。

 昨日の疲れが溜まっているのかな。
 目をゴシゴシとさする。まだ目はボヤけたままだ。

「急かしてすまなかった。まだ充分間に合うだろ。ゆっくりしろ」

 そう言って先生は部屋を後にする。

 僕は顔を洗ってからリビングに降りる。
 朝食のいい匂いが鼻をつく。そこには随分と豪華な朝食があった。

「凄い!美味しそう!いただきます!」

 食パンの上に焼いたベーコンと半熟の目玉焼きが乗っている。僕は目玉焼きは半熟の方が好きというのを覚えてくれていたみたいだ。
 スープは簡単なオニオンスープだが、作ったばっかりなのかとても温かい。

 食べていると先生も隣に来て、コーヒー片手にテレビをつける。
 ちょうど天気予報をやっている。

〈本日はとても良い天気になる予報でしょう!祝日の今日、お出かけにぴったりな天気です!〉


  ………、祝日?

 僕はカレンダーを見る。確か今日は月曜日…。

 そう、月曜日だ。ただ違うのは、その日は黒字ではなく、休日を表す赤字で書かれていた。
 そうだ、昨日、日曜日に彩葉と一緒に水着を買いに行った理由。

 それは、明日は祝日だから疲れてもゆっくりできるという理由だった。

 すっかり忘れていた。何やってんだ僕は。
 僕が呆然としていると、先生が口を開く。

「……はぁ、完全に忘れてた……」

  先生はがっくり項垂れる。せっかくの休日なのにすまないと僕に謝る。
 僕も忘れていたからおあいこ様だ。

「せっかく早く起きたんだ、何処か行くか?」

「いえ、今日は家でゴロゴロします」

「そうか、昨日出かけたばかりだもんな」

「はい」

 朝食を片付けて洗濯物を干し終わった後、僕は意味もなくソファに寝転ぶ。
 そのままうとうととしていたら、先生がやってくる。

「隣いいか」

「どうぞ、今どきます」

 むくりと起き上がり、ソファから立ち去ろうとするのを先生が手で制す

「……?」

「このままでいい」

「……ん、」

 僕は眠くてそのままソファに座る。動くのも億劫だ。先生は大学の仕事をやっている。祝日なのに、大変だなぁ。
 先生も頑張っているのだから僕も頑張るべきなのだろう。でも今はとてつもなく眠い。
 三代欲求の中で1番強いのは圧倒的に睡眠欲と聞く。そりゃそうだ。勝てるわけない。

 僕はそのまま先生の肩に寄りかかる。
 寝ちまえという先生の言葉に甘えて僕は意識を離した。

 
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