灰色に夕焼けを

柊 来飛

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自覚

修学旅行

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「じゃあ先生、行ってきます。僕が居なくても、ちゃんとご飯食べてくださいね」

「分かってる。お前が来るまでは俺が全部やってたんだぞ」

「それもそうですね」

 今日から修学旅行だ。僕たちは沖縄に行く。沖縄は初めてだからどんなところか楽しみだ。
 先生は行ったことがあるらしく、どうだったか聞くと、海が綺麗だったと言っていた。それだけかと聞くと、あまり聞いたら楽しみが無くなるだろと言われ、そこで話は終わった。

 先生と離れてしまうのは少し寂しいが、修学旅行は楽しみだ。
 待ち合わせの空港に行くと、班のみんながいた。班員の中には彩葉もいる。

「夕、きた」

「あ、来た夕ちゃん!夕ちゃんが最後だよー」

「ご、ごめん!」

 時間はまだまだあるから大丈夫だよーと班リーダーの子に言われる。先生に点呼をして貰って、時間まで待つ。
 幸い、待ち合わせの時間までにみんなが集まり、無事に飛行機に乗れた。

 初めて乗る飛行機は緊張したが、飛んで仕舞えばそれまでだ。窓から覗くと、そこには綺麗な景色が広がる。
 僕が窓側で、彩葉は通路側だ。僕が窓側が良いと言ったら、彩葉は快く了承してくれた。

 長い時間のフライトで、彩葉は寝てしまった。僕はずっと窓の景色を見ていた。
 雲の上を飛んでいる。それが信じられなくて、凄くワクワクする。
 ずっと外を見ている僕に、先生によく飽きないなと言われた。

 沖縄に着いたとき、とてつもない熱気に襲われた。こんなに暑いものなのか。
 僕たちすぐさま宿舎に行き、これからの予定を確認する。
 それが終わったら各自部屋に行って自由時間だ。

 僕たちの部屋は3階で、部屋からは海が見えた。
 部屋は和室で、どこに何があるかを確認した。
 テレビを見れて、みんなはテレビを見ていたが、僕は窓辺で海を見ていた。

 夕暮れ、とても海が綺麗で僕はカメラを取り出す。パシャリと写真を撮ったが、先生と行ったあの海には敵わなかった。

 先生、今どうしているのかな。少し気になり、スマホを取り出す。すると、先生から連絡が1通入っていた。

〈もう沖縄には着いたか?〉

〈はい!着きました!暑いけど、海が綺麗です〉

 そう書いて送信する。今の時代、本当に便利になったものだ。こんなに離れているのに会話ができるなんて。

 夕飯の時間になり下に降りる。
 夕飯はバイキングで、好きなものを取って食べる。
 男子がとても取っており、そんなに食べられるのかと思ったが、すぐにペロリと食べ終わってしまい、女子と男子の差を改めて実感した。

 お風呂は露天風呂で、部屋ごとに時間が決められており、その時間内に入る。
 僕たちの時間になり、脱衣所で服を脱ぐ。
 そのとき、班リーダーの子が声を上げる。

「夕ちゃんやっぱり色白!」

「え?」

 そうだろうか、彩葉の方が白いと思うが。隣にいた彩葉を見ると、彩葉も僕を見る。

「彩葉の方が白くない?」

「確かに、血通ってる?」

「通ってるよ。生きてるもん」

 こんなにマジマジと見られるのはなんだか恥ずかしいが、女子同士だし。
 ほぼ服を脱ぎ終わり、下着姿になったとき、班リーダの子に腰をぐわしと掴まれる。

「ひゃんっ!」

「夕ちゃんほっっそ!」

「やば!モデルじゃん!足も長いし!」

 腰から足のラインをなぞられてまた変な声が出る。くすぐったい。

「なんでこんな綺麗にくびれ出来るの?さっき食べたご飯は?どこに入ってるの?」

 ペタペタとお腹を触られる。女の子同士だからか遠慮がない。

「いいなー!顔も小さくて可愛くて。で、背も高めでしょ?そして色白で足も長く、くびれがある。お尻も小さい!何より性格がイケメンすぎる!完璧じゃん!」

「せ、性格?」

「だって夕ちゃん、私たちのエスコート凄かったじゃん!」

 エスコート?何のことだろう?僕が疑問の目で周りを見渡すと、みんなコクコクと頷いている。僕だけ付いて行けていないようだ。

「重い荷物は率先して持ってくれるし、私たちの荷物もナチュラルに持ってくれる。ドアを開けて、そのまま私達を先に通してくれる。上げたらキリないよ」

「え、と、当然じゃないの…?」

「クソぅ!これを当然だと言えるところ、当然のように実行できるところ、本人に自覚がないところ!フルコンボじゃねえか!クッソォ!!」

 なんか、お風呂にまだ入っていないのに汗をかいてきた。僕、そんな風に思われてたの。いや、悪く思われていないのなら良いのだが、ここまで褒められると恥ずかしい。

 僕は耐えられなくなって、下着を脱ぎ捨ててお風呂に向かう。
 僕がお風呂に入っていると、後からみんなが来る。

「っあー!良いね!疲れが取れる~」

 僕も寛いでいると、後ろからばっと抱きつかれる。

「ふ、ひゃあっ!」

「胸も大きいよね、夕ちゃんって」

 胸を触られて、変な声が出る。それでも手は止まらない。

「や、ん、胸っ、」

「うわ、夕ちゃんその声男子の前で出しちゃ駄目だよ」

「な、なんで?」

「そんなの、エッチだからに決まってんジャーン」

 僕は顔がボンと赤くなる。この声駄目なのか!え、どう、どの線からダメなのだろうか。区切りはどこから?

「なんか夕ちゃんって、その線疎いよね。彼氏とか出来たことない?」

 僕がこくりと頷くと、やっぱりー!と言われる。うう、経験が少ない…と言うか、全くないことがバレる。まぁ、バレたところで何も無いが。

 
 この出来事が、今夜の恋バナに深く影響することを、僕は知らなかった。
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