灰色に夕焼けを

柊 来飛

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自覚

夏風邪

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 3年の春の修学旅行が終わり、ここにも暑い夏が来た。朝から夜まで、寝てる時もエアコンはつけっぱなしだ。エアコンが無ければ、今頃各地の病院に大勢の熱中症者が運び込まれていただろう。科学と技術の進歩に感謝するばかりだ。

「先生、ゴホッ、じゃあ、ゲホッ、行ってきます」

「………お前、風邪じゃないのか」
 
「ゴホッ、いえ、エアコンで喉を壊しまして……ゴホゴホッ」

「前回の俺もそれで風邪だったぞ」

「いや、僕はちゃんとさっき熱測りました。けほっ、平熱でしたよ。頭も痛くないし、本当に、ゴホッ、喉が痛いだけなんです」

「………気をつけろよ」

「はい!」

 学校に着き、授業の準備をする。にしても、本当に喉が痛い。でも、エアコンをつけないと死ぬ。そう考えたら、エアコンで喉を痛めるくらいなんてことないだろう。

「夕、おはよう」

「彩葉、おはよう」

「夕、声枯れてる」

「あー、ゴホッ、実は今喉、ゲホッ、痛めてて…」

「気をつけてね、風邪じゃない?大丈夫?」

「えへへ、先生と同じこと言ってる。こほっ、大丈夫だよ、」

 彩葉は心配な目をしたが、僕がちゃんと元気だと言うことを話すと、最終的には納得してくれた。

 3時間目のとき、何だか頭が痛くなる。でもたまに痛くなることもあるし、そんな酷い頭痛じゃなかったからそのまま授業に集中した。

 4時間目、頭痛が酷くなってきた。波があり、時よりズキリと特に痛くなる。痛さに顔を思わず歪める。少し…昼休みのとき寝よう。最近暑くて寝れないことが多いのだ。そのせいだろう。僕は昼休みまでその痛さに耐え、昼休みは彩葉に断りを入れ、机に突っ伏していた。

 5時間、昼休み寝たのにも関わらず、頭痛は酷くなるばかりだ。頭が痛くて黒板を見れない。頭を動かしたくないのだ。それに、何も運動をしていないのに息が上がる。

「烏坂、大丈夫か?」

「………え?」

「どこか体調悪いんじゃないのか?保健室とか行くか?」

「……だ、大丈夫です」

「なら良いんだが…無理するなよ」

 そのまま授業を終える。彩葉がこちらにきて心配の言葉をかけるが、僕は笑顔を作って応答する。後1時間だけだし、大丈夫。きっと。

 6時間目は本当に長かった。いつも長いと感じるが、今回は特に。頭もずっと痛みが引かないし、何だか寒い。クーラーの風が直接当たっているわけでもないのに。何だか目の焦点も時々合わなくなる。

「烏坂さん、顔赤いよ?クーラーもう少し下げる?いやでも、これ以上下げたらダメか…」

「…い、いえ。気にしないでください」

 僕はなるべく平常を装い応える。出来ることなら、もう何も話したくも考えたくもない。
 
 6時間目の授業が終わり、帰りのSHLをする。僕はそれが終わり次第すぐに荷物をまとめて学校を出た。

 フラフラの足で帰宅する。寒い、寒いのだ。あんなに外はかんかん照りだったのに。頭痛が酷すぎて喉の痛みなんて忘れていた。僕は自分の部屋に戻る気力もなく、靴も揃えずにそのままリビングのソファに倒れ込む。

 夕飯の用意、どうしよう。少し寝てからある物で作ってしまおうか。後、洗濯は…お風呂の後でいいや。掃除は今日は休んで、今日の復習と予習は出来たらやる感じで…。

 考えれば考えるほど頭痛が邪魔をする。少し寝よう、そしたら大丈夫。いつもそうだったから。

 僕は制服を着替えることもしないまま、目を閉じた。


 

 

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