灰色に夕焼けを

柊 来飛

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過去

灰月 鷹翔の過去

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 俺の両親は早くして死んだ。

 母も父も病気だった……らしい。俺の物心つく前にどちらも死んでしまったから、分からない。

 施設に預けられると、「可哀想な子」として扱われた。いろんな事情の子供がいたが、特に俺は可哀想な奴だったらしい。
 周りから向けられる憐れみの目。その目が嫌で、そんな目で見られないようにと努力をした。


 その努力は、間違った方向に進んでいった。


 強ければそんな目で見られないと知り、喧嘩に明け暮れた。
 誰とも関わらなければ、そもそも目が向けられないと思い、性格をキツくした。
 誰にも知られなければ良いと悟り、嘘を嘘で塗りたくった。

 そんなこんなで中学に上がったとき、出逢ったのが御代一とレイだった。

 御代一は両親に捨てられたらしく、俺と同じ施設育ちだった。境遇も俺とほぼ同じで、そのせいで性格は捻じ曲がっていた。
 俺以上に喧嘩っ早く、入学して1週間も経たずに先輩と殴り合って勝っていた。
 御代一に負けた先輩が、俺の方に八つ当たりで来たことがあるが、俺もボコボコにした。

 一方、レイはとても静かな方で、喧嘩とか、自分から問題を一切起こさない奴だった。
 ただ、言えば何でも聞くためよく雑用をさせられていて、喧嘩して授業に戻ってこない俺たち2人を探してくれていた。

 良い出会いとは言えない俺らだったが、そんなことが続いていくたびに仲が深まっていった。

 ある日、レイからある提案をされた。一緒に自分の家に暮らさないかと。
 話を聞くと、レイの家は大きく、部屋が有り余っているらしい。ベッドや勉強机なども、近所から譲り受けたものが使わずに置いてあるからそれを使えば良いと。
 俺と御代一がいる施設は、どちらも中学校から遠いところにある。
 問題児の俺らに自転車など与えられるわけがが無く、1時間半近くかけて歩いて通っていた。
 まぁ、それは体力作りにもなるし、その時は若かったから何とも思わなかったが。

 施設に話すと簡単に許可がおり、俺たちは姉貴(古 誉)の元で暮らすことになった。

 生活は何ら不自由なかった。よく兄貴(皇 和翠)が来て一緒に食事をしたりした。この時はまだ2人は結婚していない。
 特に、レイと御代一はいつも一緒だった。どちらも互いが好きなのは誰が見てもわかっていたし、付き合うのにさほど時間はかからなかった。
 
 俺らが高校に上がっても、そこで暮らし続けた。
 高校でも喧嘩はしたが、ようやく俺らは大人になってきて、その頻度は収まってきた。
 受験を考える時期になり、俺は悩んだ。
 レイは元々、学校の先生になりたいと言っており、特に養護教諭になりたいと言っていた。
 理由を聞くと、よく俺らの手当てをしているうちに、生徒を助けたいと思ったらしい。将来の夢を見つけ出してくれたと感謝されたが、本当に感謝するべきは俺ら2人だ。俺らのせいでレイは授業を抜けることも多々あった。
 御代一は警官になると言った。
 公務員で安定した収入を得られること。何より自分が不良だったから、思春期に迷える少年少女達を助けたいこと。そして、この恵まれた体型も役に立つだろうと言っていた。

 俺は恥ずかしながら、全く決まらなかった。冷たい人間だと思われるが、人助けをするタチでも無かった。他人との関係をほぼ断ち切ってきた俺だ。それは、みんなと暮らしても変わらなかった。
 それでも姉貴や兄貴は俺を責めずに、大学を勧めた。何も決まってないのに大学に進んで良いのかと聞くと、大学でやりたいことを見つけるんだろと、そんな言葉をかけられた。

 高校を卒業し、俺らもそれぞれの道を進んだ。
 大学に入ってすぐ、レイと御代一が結婚し、姉貴と兄貴は実は恋人同士だということを知らされた。
 本人達はうまく隠していた様子だが、俺たち3人は何となく分かっていたためそんな驚かなかった。
 
 大学に入ると、いろんなことがあった。しかし、御代一やレイ程仲が良い人は出来なかった。俺はただ授業を受け、そしてバイトをして家に帰る。その繰り返しだった。

 俺の顔は怖いと言われるが、それが刺さる物好きもいるらしく、告白をされた。勿論最初は断ったが、何度も言い寄られお試しということで付き合った。
 しかし、俺の態度が気に入らなかったのか、はたまた幻想から覚めたのか。すぐに別れた。別に何とも思わなかった。俺はこんなんだし、人に好かれようと思わなかった。

 ただストレスもあり、ワンナイトの関係を持った時期もあった。愛のない形だけの行為をし、朝になったら他人となる。そんな日々だった。
 別に勉強が苦では無かった俺は、先生の勧めもあり、大学教授になることにした。成績は申し分ないらしい。やれば出来ると言われたが、他にやることがないのだ。ただ、それだけで。


 何の夢もないまま、俺の人生は緩やかに進んでいった。

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