灰色に夕焼けを

柊 来飛

文字の大きさ
58 / 128
過去

灰月 鷹翔の過去

しおりを挟む
 俺の両親は早くして死んだ。

 母も父も病気だった……らしい。俺の物心つく前にどちらも死んでしまったから、分からない。

 施設に預けられると、「可哀想な子」として扱われた。いろんな事情の子供がいたが、特に俺は可哀想な奴だったらしい。
 周りから向けられる憐れみの目。その目が嫌で、そんな目で見られないようにと努力をした。


 その努力は、間違った方向に進んでいった。


 強ければそんな目で見られないと知り、喧嘩に明け暮れた。
 誰とも関わらなければ、そもそも目が向けられないと思い、性格をキツくした。
 誰にも知られなければ良いと悟り、嘘を嘘で塗りたくった。

 そんなこんなで中学に上がったとき、出逢ったのが御代一とレイだった。

 御代一は両親に捨てられたらしく、俺と同じ施設育ちだった。境遇も俺とほぼ同じで、そのせいで性格は捻じ曲がっていた。
 俺以上に喧嘩っ早く、入学して1週間も経たずに先輩と殴り合って勝っていた。
 御代一に負けた先輩が、俺の方に八つ当たりで来たことがあるが、俺もボコボコにした。

 一方、レイはとても静かな方で、喧嘩とか、自分から問題を一切起こさない奴だった。
 ただ、言えば何でも聞くためよく雑用をさせられていて、喧嘩して授業に戻ってこない俺たち2人を探してくれていた。

 良い出会いとは言えない俺らだったが、そんなことが続いていくたびに仲が深まっていった。

 ある日、レイからある提案をされた。一緒に自分の家に暮らさないかと。
 話を聞くと、レイの家は大きく、部屋が有り余っているらしい。ベッドや勉強机なども、近所から譲り受けたものが使わずに置いてあるからそれを使えば良いと。
 俺と御代一がいる施設は、どちらも中学校から遠いところにある。
 問題児の俺らに自転車など与えられるわけがが無く、1時間半近くかけて歩いて通っていた。
 まぁ、それは体力作りにもなるし、その時は若かったから何とも思わなかったが。

 施設に話すと簡単に許可がおり、俺たちは姉貴(古 誉)の元で暮らすことになった。

 生活は何ら不自由なかった。よく兄貴(皇 和翠)が来て一緒に食事をしたりした。この時はまだ2人は結婚していない。
 特に、レイと御代一はいつも一緒だった。どちらも互いが好きなのは誰が見てもわかっていたし、付き合うのにさほど時間はかからなかった。
 
 俺らが高校に上がっても、そこで暮らし続けた。
 高校でも喧嘩はしたが、ようやく俺らは大人になってきて、その頻度は収まってきた。
 受験を考える時期になり、俺は悩んだ。
 レイは元々、学校の先生になりたいと言っており、特に養護教諭になりたいと言っていた。
 理由を聞くと、よく俺らの手当てをしているうちに、生徒を助けたいと思ったらしい。将来の夢を見つけ出してくれたと感謝されたが、本当に感謝するべきは俺ら2人だ。俺らのせいでレイは授業を抜けることも多々あった。
 御代一は警官になると言った。
 公務員で安定した収入を得られること。何より自分が不良だったから、思春期に迷える少年少女達を助けたいこと。そして、この恵まれた体型も役に立つだろうと言っていた。

 俺は恥ずかしながら、全く決まらなかった。冷たい人間だと思われるが、人助けをするタチでも無かった。他人との関係をほぼ断ち切ってきた俺だ。それは、みんなと暮らしても変わらなかった。
 それでも姉貴や兄貴は俺を責めずに、大学を勧めた。何も決まってないのに大学に進んで良いのかと聞くと、大学でやりたいことを見つけるんだろと、そんな言葉をかけられた。

 高校を卒業し、俺らもそれぞれの道を進んだ。
 大学に入ってすぐ、レイと御代一が結婚し、姉貴と兄貴は実は恋人同士だということを知らされた。
 本人達はうまく隠していた様子だが、俺たち3人は何となく分かっていたためそんな驚かなかった。
 
 大学に入ると、いろんなことがあった。しかし、御代一やレイ程仲が良い人は出来なかった。俺はただ授業を受け、そしてバイトをして家に帰る。その繰り返しだった。

 俺の顔は怖いと言われるが、それが刺さる物好きもいるらしく、告白をされた。勿論最初は断ったが、何度も言い寄られお試しということで付き合った。
 しかし、俺の態度が気に入らなかったのか、はたまた幻想から覚めたのか。すぐに別れた。別に何とも思わなかった。俺はこんなんだし、人に好かれようと思わなかった。

 ただストレスもあり、ワンナイトの関係を持った時期もあった。愛のない形だけの行為をし、朝になったら他人となる。そんな日々だった。
 別に勉強が苦では無かった俺は、先生の勧めもあり、大学教授になることにした。成績は申し分ないらしい。やれば出来ると言われたが、他にやることがないのだ。ただ、それだけで。


 何の夢もないまま、俺の人生は緩やかに進んでいった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

婚活に疲れたアラサーOLの私、癒やし的存在の弟分(高校生)に「もう待てない」と外堀を埋められています ~10年分の執着は、甘すぎて重すぎる~

ダルい
恋愛
「29歳? 子供産むならもっと若い子がよかったな」  中堅企業で働く早川結衣(29)は、婚活市場における年齢の壁と、デリカシーのない男たちにすり減らされる日々を送っていた。  そんな結衣の唯一の癒やしは、マンションの隣に住む幼馴染の高校生・瀬戸湊(16)。  両親が共働きの彼に代わって、幼い頃はお世話をしてあげていた……はずが、いつの間にか立場は逆転。 手料理を振る舞われ、愚痴を聞かれ、マッサージまでされる始末。「湊がお嫁さんならいいのに」なんて冗談を言っていたけれど。 「今の結衣姉が一番綺麗だよ。……早く、誰も手出しできない『おばさん』になってくれればいいのに」  可愛い弟分だと思っていた彼が、時折見せる『オス』の顔。 16歳の高校生と、もうすぐ30歳のアラサー。  13歳差の常識と理性に抗いながら、生意気な年下男子に外堀を埋められていく、甘くて重い現状維持(ラブストーリー)。 「俺が大人になるまで、誰とも結婚しないで」 癒やされたいすべての女性に贈る、最強の年下幼馴染による溺愛包囲網、開始。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています

紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、 ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。 「もう君は、僕の管理下だよ」 退院と同時に退職手続きは完了。 住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。 外出制限、健康管理、過保護な独占欲。 甘くて危険な“保護生活”の中で、 私は少しずつ彼に心を奪われていく――。 元社畜OL×執着気味の溺愛社長 囲い込み同棲ラブストーリー。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

嘘コクのゆくえ

キムラましゅろう
恋愛
アニーは奨学金とバイトで稼いだお金で魔法学校に通う苦学生。 生活は困窮、他の学生みたいに愛だの恋だのに現を抜かしている暇などない生活を送っていた。 そんな中、とある教授の研究室で何らかの罰としてアニー=メイスンに告白して来いと教授が学生に命じているのを偶然耳にしてしまう。 アニーとは自分のこと、そして告白するように言われていた学生は密かに思いを寄せる同級生のロンド=ハミルトンで…… 次の日、さっそくその命令に従ってアニーに嘘の告白、嘘コクをしてきたロンドにアニーは…… 完全ご都合主義、ノーリアリティノークオリティのお話です。 誤字脱字が罠のように点在するお話です。菩薩の如き広いお心でお読みいただけますと幸いです。 作者は元サヤハピエン主義を掲げております。 アンチ元サヤの方は回れ右をお勧めいたします。 小説家になろうさんにも時差投稿します。

処理中です...