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止められない想い
ビールの味
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僕が夕飯を作っていると、先生が帰ってくる。ちょうど火を止めたところだったため、玄関まで迎えにいくとお土産にお菓子をくれた。
先生の耳には僕があげたピアスが付いていて、付けてくれたことに僕は舞い上がった。
夕飯を食べ終わり、お風呂に入り終わると、先生はベランダでビール片手に飲んでいた。
僕はトテトテとその隣に行く。
「先生、ビール飲んでるんですね」
「ああ」
先生がお酒を飲むことは知っていたが、飲んでいる姿は珍しい。何かあったのだろうか。でも、それを聞くのは野暮では無いか?悩みがあったから、今日鬼神さんに会いに行った可能性もあるんだし。
僕が黙っていると、先生は空になったビール缶を外の室外機の上に置き、僕の頭を撫でる。
「今日も、何かあったのか」
「……なんで、先生は、分かるんですか、分かっちゃうんですか…?」
僕は先生の胸に顔を埋める。
そして、今日会ったことを話す。
「動画が、拡散されてて。クラスのみんなは味方してくれているんですけど、僕をよく知らない人とか、あの男の子のファンの子達が勘違いしちゃってて」
「何かされたのか?」
「いえ。また施設育ちのくせにって言われただけです。施設育ちだから、何なんでしょうか。僕は、母に愛されていた自覚はあります。ただ、育つ場所が違っただけなのに…」
「そうだな」
「施設育ちだから、親に愛されなかったとか、可哀想な奴みたいに聞こえて。僕だけじゃなくて、母と先生まで馬鹿にされてるみたいで、」
「………優しいな、お前は」
「?、何がです?」
何が優しいのだろう。優しいのは先生だ。こんな僕の話を聞いてくれて。
「こんなとき、僕が成人してたら、お酒でもパーっと飲んで忘れられるのでしょうか」
「飲んでみるか?」
「え?」
先生は空のビール缶を片手にどっかに行くと、代わりに新しいビール缶を片手に戻ってきた。
「ん」
「だ、ダメですよ!」
「そう言うと思って、ノンアルだ」
確かに、缶にはノンアルと書いてある。が、飲んでいいのか、これは…。
僕がアワアワしている間に、先生はカシュっと音を立てて缶を開ける。
「ほら、飲めなかったら俺が飲む」
僕は缶を受け取り、そっと飲み口に唇を近づける。ビールの匂いってこんな感じなんだ。ノンアルだけど。
コクリと飲んでみると、何とも言えない苦い味が広がる。
「ん゛…、や゛、これ。よくこんなの飲めますね」
「お前も分かるようになるさ」
「か、返します…、苦い…」
コーヒーとはまた違った苦さだ。少し甘いものだと思っていたが、全然違った。
「ハハッ、どうだ?初めてのビールは」
「こんなの、本当に将来飲むようになるんでしょうか…」
「さあ、それはお前次第だな」
先生は僕から受け取ったビールをゴクゴクと飲む。そんな勢いでよく飲めるな。
感心していると、ふと僕は気づく。
あれ?僕が飲んだやつを、先生が飲んでいる。僕が、口つけたやつを…。
僕は顔のみならず全身が熱くなる。
せ、先生と、間接キス、したんだ、して、しまった。恋人同士どころか、親友でもない、ただの同居人なのに。
チラリと先生の方を見るが、先生は特に気にしてなさそうだ。
そりゃそうか。先生から見た僕はまだまだ子供。妹みたいなものだし。
僕だけだ、気にしているのは。
「僕、明日もあるのでそろそろ寝ますね」
「…あんまり、1人で抱え込むなよ」
頭をひと撫でされてから、僕はその場を去る。
ベッドに入っても、眠気は来ないし、目は冴えるばかりだ。
初めての間接キスは、苦いビールの味だった。
先生の耳には僕があげたピアスが付いていて、付けてくれたことに僕は舞い上がった。
夕飯を食べ終わり、お風呂に入り終わると、先生はベランダでビール片手に飲んでいた。
僕はトテトテとその隣に行く。
「先生、ビール飲んでるんですね」
「ああ」
先生がお酒を飲むことは知っていたが、飲んでいる姿は珍しい。何かあったのだろうか。でも、それを聞くのは野暮では無いか?悩みがあったから、今日鬼神さんに会いに行った可能性もあるんだし。
僕が黙っていると、先生は空になったビール缶を外の室外機の上に置き、僕の頭を撫でる。
「今日も、何かあったのか」
「……なんで、先生は、分かるんですか、分かっちゃうんですか…?」
僕は先生の胸に顔を埋める。
そして、今日会ったことを話す。
「動画が、拡散されてて。クラスのみんなは味方してくれているんですけど、僕をよく知らない人とか、あの男の子のファンの子達が勘違いしちゃってて」
「何かされたのか?」
「いえ。また施設育ちのくせにって言われただけです。施設育ちだから、何なんでしょうか。僕は、母に愛されていた自覚はあります。ただ、育つ場所が違っただけなのに…」
「そうだな」
「施設育ちだから、親に愛されなかったとか、可哀想な奴みたいに聞こえて。僕だけじゃなくて、母と先生まで馬鹿にされてるみたいで、」
「………優しいな、お前は」
「?、何がです?」
何が優しいのだろう。優しいのは先生だ。こんな僕の話を聞いてくれて。
「こんなとき、僕が成人してたら、お酒でもパーっと飲んで忘れられるのでしょうか」
「飲んでみるか?」
「え?」
先生は空のビール缶を片手にどっかに行くと、代わりに新しいビール缶を片手に戻ってきた。
「ん」
「だ、ダメですよ!」
「そう言うと思って、ノンアルだ」
確かに、缶にはノンアルと書いてある。が、飲んでいいのか、これは…。
僕がアワアワしている間に、先生はカシュっと音を立てて缶を開ける。
「ほら、飲めなかったら俺が飲む」
僕は缶を受け取り、そっと飲み口に唇を近づける。ビールの匂いってこんな感じなんだ。ノンアルだけど。
コクリと飲んでみると、何とも言えない苦い味が広がる。
「ん゛…、や゛、これ。よくこんなの飲めますね」
「お前も分かるようになるさ」
「か、返します…、苦い…」
コーヒーとはまた違った苦さだ。少し甘いものだと思っていたが、全然違った。
「ハハッ、どうだ?初めてのビールは」
「こんなの、本当に将来飲むようになるんでしょうか…」
「さあ、それはお前次第だな」
先生は僕から受け取ったビールをゴクゴクと飲む。そんな勢いでよく飲めるな。
感心していると、ふと僕は気づく。
あれ?僕が飲んだやつを、先生が飲んでいる。僕が、口つけたやつを…。
僕は顔のみならず全身が熱くなる。
せ、先生と、間接キス、したんだ、して、しまった。恋人同士どころか、親友でもない、ただの同居人なのに。
チラリと先生の方を見るが、先生は特に気にしてなさそうだ。
そりゃそうか。先生から見た僕はまだまだ子供。妹みたいなものだし。
僕だけだ、気にしているのは。
「僕、明日もあるのでそろそろ寝ますね」
「…あんまり、1人で抱え込むなよ」
頭をひと撫でされてから、僕はその場を去る。
ベッドに入っても、眠気は来ないし、目は冴えるばかりだ。
初めての間接キスは、苦いビールの味だった。
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