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止められない想い
雨の中のお姫様
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「あれ、」
学校終わり、今日は予報通り雨が降っていた。かなり強い雨だ。だから僕は傘を持ってきたはず、だったのだが…。
「無い…」
普通のビニール傘だけど、持ち手にちゃんとシールも貼っていたし、間違えられるはずないんだが。
ふと前を見ると、そこには女の子2人が。片方の子の傘の持ち手には、僕が今日の朝貼った目印のシールが。
あー、やられたな。
僕は他人事のように考える。別に、自分で買ったビニール傘だし良いんだけど。
偶然か、はたまた分かっていてやったのか。僕の傘を取った女の子は、例のサッカー部の男の子のファンの子だ。昨日と今日、僕に何かと言ってきたが、僕は無視して行ってしまった。その腹いせだろうか。
どちらにしろ、傘が無くなってしまった。
走れば…。いや、この雨だと1分経たずにずぶ濡れだろう。折り畳み傘を持ってくるべきだった。
せめて、バッグだけでも雨を防げないかな…。そう思ってバッグを漁ると、大きめのビニール袋があった。これを上から被せれば濡れないな。かなり不恰好だけど。
僕はガサガサとそのビニール袋にバッグを入れ、持ち手だけ出す。
そして、僕は全速力で走り出す。
しかし、ローファーだし足元も滑るため、あまり早く走れない。
前の女の子のそばを通り過ぎるとき、会話が聞こえた。
「あれ、それ烏坂さんのやつじゃない?走ってるよ」
「え?ああ、これ、あいつのだったんだ。いいよいいよ、あいつのでしょ。それよりほら見てよ、コンビニのビニール袋でカバーしてるよ。それに、こんな大雨なのに傘無くて。かわいそー、みっともなー」
そうさせたのはどこの誰だろうか。
僕は気にせず走り去る。昇降口から校門までの短い距離までで、かなり濡れてしまった。
学校を出て少し行ったところで雨宿りをする。帰りはいつもスーパーに寄って買い物をするのだが、こんなに濡れては買い物は出来ないな。一回家に帰ってから買い物をしよう。
これからの予定を決め、足を一歩踏み出そうとして止まる。ここまで濡れてしまったら同じだ。
ならば、思う存分濡れてやろうではないか。
幸い、僕のバッグは濡れない。濡れるのは僕だけだ。
足を踏み出し、水たまりに躊躇なく踏み入れる。靴下が濡れ、中に水が染み込んでくる。ぐちゃぐちゃとした不快な感覚も、今は美味しいスパイスだ。
制服も雨を吸収して重くなってくるが、そんなの気にしない。
走って勢いをつけ、くるりと回ってみせる。スカートは水に濡れて綺麗に広がらないから、片手で裾を持ち上げる。なんだかお姫様みたいだ。お姫様はこんな事しないけど。
強い雨だからか、周りに人はいない。僕だけだ。僕だけが、この景色を知っている。
雨に濡れた土と木の匂い、灰色の重い雲、濡れて光るアスファルト、水溜りの中に映るもう一つの景色、雨が奏でる様々な音。
映画のワンシーンのようなこの世界で、僕は踊る。鼻歌だって歌ってみせる。母が好きだった歌だ。
くるくると回っていると、不意に腕を掴まれる。さっきまで僕に当たっていた雨が止まる。
後ろを向くと、そこに背の高い人が。空と同じ色をした瞳をこちらに向けている。
「どーしたんだ、こんなところで。雨の中のお姫様」
そう問いかけるのは、黒の傘を差した先生だった。
学校終わり、今日は予報通り雨が降っていた。かなり強い雨だ。だから僕は傘を持ってきたはず、だったのだが…。
「無い…」
普通のビニール傘だけど、持ち手にちゃんとシールも貼っていたし、間違えられるはずないんだが。
ふと前を見ると、そこには女の子2人が。片方の子の傘の持ち手には、僕が今日の朝貼った目印のシールが。
あー、やられたな。
僕は他人事のように考える。別に、自分で買ったビニール傘だし良いんだけど。
偶然か、はたまた分かっていてやったのか。僕の傘を取った女の子は、例のサッカー部の男の子のファンの子だ。昨日と今日、僕に何かと言ってきたが、僕は無視して行ってしまった。その腹いせだろうか。
どちらにしろ、傘が無くなってしまった。
走れば…。いや、この雨だと1分経たずにずぶ濡れだろう。折り畳み傘を持ってくるべきだった。
せめて、バッグだけでも雨を防げないかな…。そう思ってバッグを漁ると、大きめのビニール袋があった。これを上から被せれば濡れないな。かなり不恰好だけど。
僕はガサガサとそのビニール袋にバッグを入れ、持ち手だけ出す。
そして、僕は全速力で走り出す。
しかし、ローファーだし足元も滑るため、あまり早く走れない。
前の女の子のそばを通り過ぎるとき、会話が聞こえた。
「あれ、それ烏坂さんのやつじゃない?走ってるよ」
「え?ああ、これ、あいつのだったんだ。いいよいいよ、あいつのでしょ。それよりほら見てよ、コンビニのビニール袋でカバーしてるよ。それに、こんな大雨なのに傘無くて。かわいそー、みっともなー」
そうさせたのはどこの誰だろうか。
僕は気にせず走り去る。昇降口から校門までの短い距離までで、かなり濡れてしまった。
学校を出て少し行ったところで雨宿りをする。帰りはいつもスーパーに寄って買い物をするのだが、こんなに濡れては買い物は出来ないな。一回家に帰ってから買い物をしよう。
これからの予定を決め、足を一歩踏み出そうとして止まる。ここまで濡れてしまったら同じだ。
ならば、思う存分濡れてやろうではないか。
幸い、僕のバッグは濡れない。濡れるのは僕だけだ。
足を踏み出し、水たまりに躊躇なく踏み入れる。靴下が濡れ、中に水が染み込んでくる。ぐちゃぐちゃとした不快な感覚も、今は美味しいスパイスだ。
制服も雨を吸収して重くなってくるが、そんなの気にしない。
走って勢いをつけ、くるりと回ってみせる。スカートは水に濡れて綺麗に広がらないから、片手で裾を持ち上げる。なんだかお姫様みたいだ。お姫様はこんな事しないけど。
強い雨だからか、周りに人はいない。僕だけだ。僕だけが、この景色を知っている。
雨に濡れた土と木の匂い、灰色の重い雲、濡れて光るアスファルト、水溜りの中に映るもう一つの景色、雨が奏でる様々な音。
映画のワンシーンのようなこの世界で、僕は踊る。鼻歌だって歌ってみせる。母が好きだった歌だ。
くるくると回っていると、不意に腕を掴まれる。さっきまで僕に当たっていた雨が止まる。
後ろを向くと、そこに背の高い人が。空と同じ色をした瞳をこちらに向けている。
「どーしたんだ、こんなところで。雨の中のお姫様」
そう問いかけるのは、黒の傘を差した先生だった。
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