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止められない想い
掻っ攫い
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今日の仕事は早めに切り上げて貰わせた。
最近、烏坂のことで頭がいっぱいだ。
今日の天気は生憎の雨だ。傘を開き、烏坂に連絡を入れる。あまりに酷かったら迎えに行ってしまおう。その思いで俺は家に帰った。
そろそろ烏坂の学校が終わる時間だが、連絡が無い。いつもならすぐに連絡をしてくれるのだが。
今日の朝はちゃんと傘を持って行ってたし、大丈夫だとは思うが心配になり、俺は傘を差して学校に向かう。車でも良いが、歩きの方が見つけやすい。
烏坂の通学路を歩いていると、傘も何も差さないで走っている人影を見つけた。
走っていると言うか、途中クルクルと回っている。こんな雨の中どうしたんだ。
そう思ったのも束の間、それは烏坂と気づく。俺は急いで烏坂に近づくが、そこで足が止まる。
烏坂は笑顔で歌を歌って踊っていた。
雨なんか気にせず、童話に出てくる姫のようにクルクルと軽やかに回って鼻歌を歌っている。
俺の瞳にその情景が映る。まるで映画のワンシーンだ。俺の目がカメラだったら、迷わず撮っていただろう。そのくらい、とても綺麗だった。
しかし、いつまでも雨に濡れさす訳にもいかない。
俺は烏坂の腕を引っ張り、自分の傘の中に入れる。烏坂は驚きの表情でこちらを見る。
濡羽色の髪は艶やかに光り、頬に濡れた髪が張り付く。服もシドシドと濡れて体のラインを強調し、女性らしい細く柔い輪郭をくっきりと作り出す。
いつもの烏坂よりもずっと艶かしいその姿に、俺はゴクリと喉を鳴らす。
ここに誰もいなくてよかった。もし居たら俺が全員殺しているだろう。
「先生?な、んでここに、今日仕事のはずじゃ、」
「早めに終わらせて上がってきた。で、どうしたんだ傘は」
「取られました」
「ったく…。なんでこうも他人の傘を取っていくかな…」
「でも、こういう日じゃないと、こんなことしないですからね。楽しかったです」
雨に濡れるのも楽しんでしまう。要は考えようなのだ。烏坂は柔らかくはにかむ。
「楽しいのは良いが、風邪を引くぞ、お姫様」
「風邪を引いたら、また、看病してくれますか?」
上目遣いでそんなことを聞いてくる。当たり前だが、そう答えると烏坂はじっとしてくれないだろう。俺はため息をついて、傘を閉じる。
「先生、濡れちゃいますよ、」
「もう濡れてるだろ」
「僕じゃなくて、先生です!」
「俺も濡れてる」
アワアワとする烏坂の手を、俺は取る。
「さあ、攫いにきたぞ、お姫様」
俺がそう言うと、烏坂は夕焼け色の瞳をユラリと揺らす。周りは灰色なのに、色々な色が瞳に映る。
「ー僕を、攫ってよ。悪人さん」
烏坂は俺の手を握り返す。
ああ、本当に物好きなお姫様だ。こんな俺を選ぶなんて。
俺はその手を繋いだまま一歩を踏み出すと、烏坂もそれに合わせて踏み出す。
一緒にバシャリと水溜りの中に足を踏み入れる。俺のワイシャツもジーパンも水を含んでいく。しかし、そんなのどうでも良かった。
俺が烏坂の手を引いてエスコートする。烏坂は軽いステップを踏んでクルクルと回る。
どちらも泥だらけになりながら、笑い合いながら帰路に着く。家に着く頃にはびしょ濡れだった。幸い、風呂を沸かして出てきたからすぐに体を温められる。
こんなに心の底から笑ったのは久しぶりだ。
この純粋な少年心を取り戻してくれたのは、思春期を生きる少女だった。
最近、烏坂のことで頭がいっぱいだ。
今日の天気は生憎の雨だ。傘を開き、烏坂に連絡を入れる。あまりに酷かったら迎えに行ってしまおう。その思いで俺は家に帰った。
そろそろ烏坂の学校が終わる時間だが、連絡が無い。いつもならすぐに連絡をしてくれるのだが。
今日の朝はちゃんと傘を持って行ってたし、大丈夫だとは思うが心配になり、俺は傘を差して学校に向かう。車でも良いが、歩きの方が見つけやすい。
烏坂の通学路を歩いていると、傘も何も差さないで走っている人影を見つけた。
走っていると言うか、途中クルクルと回っている。こんな雨の中どうしたんだ。
そう思ったのも束の間、それは烏坂と気づく。俺は急いで烏坂に近づくが、そこで足が止まる。
烏坂は笑顔で歌を歌って踊っていた。
雨なんか気にせず、童話に出てくる姫のようにクルクルと軽やかに回って鼻歌を歌っている。
俺の瞳にその情景が映る。まるで映画のワンシーンだ。俺の目がカメラだったら、迷わず撮っていただろう。そのくらい、とても綺麗だった。
しかし、いつまでも雨に濡れさす訳にもいかない。
俺は烏坂の腕を引っ張り、自分の傘の中に入れる。烏坂は驚きの表情でこちらを見る。
濡羽色の髪は艶やかに光り、頬に濡れた髪が張り付く。服もシドシドと濡れて体のラインを強調し、女性らしい細く柔い輪郭をくっきりと作り出す。
いつもの烏坂よりもずっと艶かしいその姿に、俺はゴクリと喉を鳴らす。
ここに誰もいなくてよかった。もし居たら俺が全員殺しているだろう。
「先生?な、んでここに、今日仕事のはずじゃ、」
「早めに終わらせて上がってきた。で、どうしたんだ傘は」
「取られました」
「ったく…。なんでこうも他人の傘を取っていくかな…」
「でも、こういう日じゃないと、こんなことしないですからね。楽しかったです」
雨に濡れるのも楽しんでしまう。要は考えようなのだ。烏坂は柔らかくはにかむ。
「楽しいのは良いが、風邪を引くぞ、お姫様」
「風邪を引いたら、また、看病してくれますか?」
上目遣いでそんなことを聞いてくる。当たり前だが、そう答えると烏坂はじっとしてくれないだろう。俺はため息をついて、傘を閉じる。
「先生、濡れちゃいますよ、」
「もう濡れてるだろ」
「僕じゃなくて、先生です!」
「俺も濡れてる」
アワアワとする烏坂の手を、俺は取る。
「さあ、攫いにきたぞ、お姫様」
俺がそう言うと、烏坂は夕焼け色の瞳をユラリと揺らす。周りは灰色なのに、色々な色が瞳に映る。
「ー僕を、攫ってよ。悪人さん」
烏坂は俺の手を握り返す。
ああ、本当に物好きなお姫様だ。こんな俺を選ぶなんて。
俺はその手を繋いだまま一歩を踏み出すと、烏坂もそれに合わせて踏み出す。
一緒にバシャリと水溜りの中に足を踏み入れる。俺のワイシャツもジーパンも水を含んでいく。しかし、そんなのどうでも良かった。
俺が烏坂の手を引いてエスコートする。烏坂は軽いステップを踏んでクルクルと回る。
どちらも泥だらけになりながら、笑い合いながら帰路に着く。家に着く頃にはびしょ濡れだった。幸い、風呂を沸かして出てきたからすぐに体を温められる。
こんなに心の底から笑ったのは久しぶりだ。
この純粋な少年心を取り戻してくれたのは、思春期を生きる少女だった。
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