108 / 128
惹かれ合う
貴方と一緒だから
しおりを挟む
「ただいま…」
「えっ!?」
ガチャリとドアが開く音がする。僕はバタバタと玄関に行くと、そこには疲れた顔をした先生がいた。
「先生!?仕事じゃ…」
「早めに上がって来た…烏坂…」
「せっ、、せんせっ、」
先生が手をこいこいと動かす。僕は急いで先生に駆け寄ると、そのままハグをされる。バッグは玄関端にちょこんと置いてある。
「無事でよかった…。何もされてないよな?」
「えっ?は、はい。無事です」
「良かった…」
ん?、まさか、僕のことが気掛かりで集中出来なくて帰ってきたのか?今日の朝も仕事が手に付かないと言っていたし。嘘だろ、僕、先生をすごい心配させてる。もっとしっかりしないと。
「先生!報告です!難しかったですが、書けました!」
「おお、頑張ったな」
「えへへ!」
僕が笑うと、先生も釣られて笑う。疲れた顔が少し柔らかくなる。
「今日はどこか食べに行こう。どこが良い?」
「えっと…」
僕は迷う。何を食べたいか決まらないわけではない。ここで素直にはいと言ったらすごい豪華なところに連れて行かれる。
前、どこか食べに行こうと言われて気軽にお寿司と答えた。僕は回転寿司だと確信していたのに、先生が行ったところは回らないお寿司屋さんだった。何でも、かなり有名なところで評価も高いが、それなりに値段も張る。お寿司一貫だけで僕が回転寿司で食べる料金を超えていた。僕はちまちまと食べていたが、先生はひょいひょいと食べていってしまった。
お会計の時、チラリと見たらそこには目を張る金額が出されていて僕は目を逸らした。先生はカード払いでスマートに会計してその場を後にした。
さて、こんなことがあった後だ。焼肉やらステーキやらを言ったらとんでもないところに連れて行かれる。僕は今日使い切った頭をまたフル回転させる。
「えっと、せん、先生と、家でゆっくり食べたい…です…」
僕が導き出した答えはこれだった。だって、何言っても無理じゃないか、こんなの。
先生は少し驚いた顔をして、僕に確認する。
「本当にそれで良いのか?」
「はい!先生と家で食べるご飯が1番美味しいです」
ここまで言って気づく。これ、僕のご飯が美味しいって言ってるものだろ。自画自賛じゃないか、ナルシストすぎる。
「そうか。俺も、お前と食べる飯が1番美味しい」
先生は笑う。その笑顔は心の底からのもので、嘘をついていない。
「でもお前疲れてるだろ、俺が何か…」
「いえ!僕さっきまで休んでましたし、何か作ります!先生こそ休みましょ」
「………ん、なぁ、飯買いに行くの何時だ?」
「えっと、割引される時間がいいから夕方ですかね」
「分かった」
先生はそれまで休むのだろう。僕は先生から離れて残っている家事を終わらせようとするが、先生が僕の腕を掴む。
「先生?」
「ご褒美、今日の夜な」
「……ひゃ、ひゃい、」
何でもない、ただのあの約束のことなのに。僕の頭はそれをとても色っぽいことと受け取る。何もないのに、何も。それなのに僕は腑抜けた声を出してしまう。
先生はそれだけ言うとフラフラと自室にこもってしまった。
「……はぁああ、」
僕はその場にへたれ込む。あんなの、ずるいじゃないか。
疲れた顔をしてたのに、僕をハグしたら少し柔らかくなって、僕と一緒に食べるご飯が美味しいって言ってくれて、端麗な顔であんな単語を言って。
「………好き、だなぁ……」
口に出してみて後悔する。もっと身体中が熱くなる。そして、もう手遅れだと気づく。
この恋の火を消せるのなら、それは先生の拒絶だけだろう。
「えっ!?」
ガチャリとドアが開く音がする。僕はバタバタと玄関に行くと、そこには疲れた顔をした先生がいた。
「先生!?仕事じゃ…」
「早めに上がって来た…烏坂…」
「せっ、、せんせっ、」
先生が手をこいこいと動かす。僕は急いで先生に駆け寄ると、そのままハグをされる。バッグは玄関端にちょこんと置いてある。
「無事でよかった…。何もされてないよな?」
「えっ?は、はい。無事です」
「良かった…」
ん?、まさか、僕のことが気掛かりで集中出来なくて帰ってきたのか?今日の朝も仕事が手に付かないと言っていたし。嘘だろ、僕、先生をすごい心配させてる。もっとしっかりしないと。
「先生!報告です!難しかったですが、書けました!」
「おお、頑張ったな」
「えへへ!」
僕が笑うと、先生も釣られて笑う。疲れた顔が少し柔らかくなる。
「今日はどこか食べに行こう。どこが良い?」
「えっと…」
僕は迷う。何を食べたいか決まらないわけではない。ここで素直にはいと言ったらすごい豪華なところに連れて行かれる。
前、どこか食べに行こうと言われて気軽にお寿司と答えた。僕は回転寿司だと確信していたのに、先生が行ったところは回らないお寿司屋さんだった。何でも、かなり有名なところで評価も高いが、それなりに値段も張る。お寿司一貫だけで僕が回転寿司で食べる料金を超えていた。僕はちまちまと食べていたが、先生はひょいひょいと食べていってしまった。
お会計の時、チラリと見たらそこには目を張る金額が出されていて僕は目を逸らした。先生はカード払いでスマートに会計してその場を後にした。
さて、こんなことがあった後だ。焼肉やらステーキやらを言ったらとんでもないところに連れて行かれる。僕は今日使い切った頭をまたフル回転させる。
「えっと、せん、先生と、家でゆっくり食べたい…です…」
僕が導き出した答えはこれだった。だって、何言っても無理じゃないか、こんなの。
先生は少し驚いた顔をして、僕に確認する。
「本当にそれで良いのか?」
「はい!先生と家で食べるご飯が1番美味しいです」
ここまで言って気づく。これ、僕のご飯が美味しいって言ってるものだろ。自画自賛じゃないか、ナルシストすぎる。
「そうか。俺も、お前と食べる飯が1番美味しい」
先生は笑う。その笑顔は心の底からのもので、嘘をついていない。
「でもお前疲れてるだろ、俺が何か…」
「いえ!僕さっきまで休んでましたし、何か作ります!先生こそ休みましょ」
「………ん、なぁ、飯買いに行くの何時だ?」
「えっと、割引される時間がいいから夕方ですかね」
「分かった」
先生はそれまで休むのだろう。僕は先生から離れて残っている家事を終わらせようとするが、先生が僕の腕を掴む。
「先生?」
「ご褒美、今日の夜な」
「……ひゃ、ひゃい、」
何でもない、ただのあの約束のことなのに。僕の頭はそれをとても色っぽいことと受け取る。何もないのに、何も。それなのに僕は腑抜けた声を出してしまう。
先生はそれだけ言うとフラフラと自室にこもってしまった。
「……はぁああ、」
僕はその場にへたれ込む。あんなの、ずるいじゃないか。
疲れた顔をしてたのに、僕をハグしたら少し柔らかくなって、僕と一緒に食べるご飯が美味しいって言ってくれて、端麗な顔であんな単語を言って。
「………好き、だなぁ……」
口に出してみて後悔する。もっと身体中が熱くなる。そして、もう手遅れだと気づく。
この恋の火を消せるのなら、それは先生の拒絶だけだろう。
0
あなたにおすすめの小説
婚活に疲れたアラサーOLの私、癒やし的存在の弟分(高校生)に「もう待てない」と外堀を埋められています ~10年分の執着は、甘すぎて重すぎる~
ダルい
恋愛
「29歳? 子供産むならもっと若い子がよかったな」
中堅企業で働く早川結衣(29)は、婚活市場における年齢の壁と、デリカシーのない男たちにすり減らされる日々を送っていた。
そんな結衣の唯一の癒やしは、マンションの隣に住む幼馴染の高校生・瀬戸湊(16)。
両親が共働きの彼に代わって、幼い頃はお世話をしてあげていた……はずが、いつの間にか立場は逆転。
手料理を振る舞われ、愚痴を聞かれ、マッサージまでされる始末。「湊がお嫁さんならいいのに」なんて冗談を言っていたけれど。
「今の結衣姉が一番綺麗だよ。……早く、誰も手出しできない『おばさん』になってくれればいいのに」
可愛い弟分だと思っていた彼が、時折見せる『オス』の顔。
16歳の高校生と、もうすぐ30歳のアラサー。
13歳差の常識と理性に抗いながら、生意気な年下男子に外堀を埋められていく、甘くて重い現状維持(ラブストーリー)。
「俺が大人になるまで、誰とも結婚しないで」
癒やされたいすべての女性に贈る、最強の年下幼馴染による溺愛包囲網、開始。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています
紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、
ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。
「もう君は、僕の管理下だよ」
退院と同時に退職手続きは完了。
住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。
外出制限、健康管理、過保護な独占欲。
甘くて危険な“保護生活”の中で、
私は少しずつ彼に心を奪われていく――。
元社畜OL×執着気味の溺愛社長
囲い込み同棲ラブストーリー。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
嘘コクのゆくえ
キムラましゅろう
恋愛
アニーは奨学金とバイトで稼いだお金で魔法学校に通う苦学生。
生活は困窮、他の学生みたいに愛だの恋だのに現を抜かしている暇などない生活を送っていた。
そんな中、とある教授の研究室で何らかの罰としてアニー=メイスンに告白して来いと教授が学生に命じているのを偶然耳にしてしまう。
アニーとは自分のこと、そして告白するように言われていた学生は密かに思いを寄せる同級生のロンド=ハミルトンで……
次の日、さっそくその命令に従ってアニーに嘘の告白、嘘コクをしてきたロンドにアニーは……
完全ご都合主義、ノーリアリティノークオリティのお話です。
誤字脱字が罠のように点在するお話です。菩薩の如き広いお心でお読みいただけますと幸いです。
作者は元サヤハピエン主義を掲げております。
アンチ元サヤの方は回れ右をお勧めいたします。
小説家になろうさんにも時差投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる