灰色に夕焼けを

柊 来飛

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惹かれ合う

結果

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「皆さん、色々あると思いますがまだまだ学校は続きますからね」

 先生に言われるが、もうみんな気にしていない。早い子はもう受験の結果が出ているのだ。後は不祥事を起こしてせっかく貰った入学許可を取消にならないように気をつけるだけなのだから。

「お前はいいよなー、もう結果出てて」

「いやもう背負ってたもの全部がなくなって空跳べるわ」

 教室で男子たちが話す。
 僕はずっと気分が晴れない。結果を早く知って楽になりたいのと、結果が出たと言うことはもう先生の側にいられないと言うことだ。
 もしも僕が大学に落ちたら、先生はもう一年あの家で暮らしていいと言ってくれるだろう。僕だってまだ先生と離れたくない。一生離れたくない。
 でも、そんなこと出来ない。僕に出来ることは、この恋の火を消して先生のそばから去ることだから。だから沢山勉強した。必ず受かるように。

「夕はまだ結果出てないんだよね?」

「うん。でも、もうすぐ出るよ」

 彩葉は専門学校に行くようで、もう結果が出ている。僕の結果は来週だ。

「夕なら絶対受かってるよ」

「そうだといいなぁ」

 そうじゃないと困る。そうではなくてはいけないのだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ほんっとに心配だ……」

「あの、前回みたいに早く帰ってきたりします?」

「………分からん」

「ええ…。僕もう3回目ですよ。大丈夫ですから」

「何かあったら直ぐに電話しろよ。俺は授業で電話切ってるから大学に直接連絡しろ。俺の大学のホームページに飛べば電話出来るからそこからかけてくれ」

「わかりました」

 先生に凄い念を押される。もう僕は立派な大人なのに。ただ、僕は不幸な巻き込まれ体質だから心配なのだろう。

 今日はいよいよ合格者発表日だ。僕は大学にそれを見に行く。先生は仕事で来れないから僕の結果を知るのは仕事の後となる。

「結果の連絡入れときましょうか?」

「…………いや、やめといてくれ。受かってたら受かってたで俺は何かやらかしそうだ」

「わ、分かりました。じゃあ家帰ったらで」

 先生はずっと難しい顔をしている。先生と暮らしてわかったことがある。先生はクールに見えて意外と感情豊かだ。だからこそギャップに萌える人がいるのだろう。

「鷹翔さん、行ってきます」

「気をつけろよ、夕」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 電車とバスを乗り継いで大学の敷地に足を踏み入れる。たくさんの人が受験票片手に自分の番号を探している。周りを見ると、泣いている人や喜んでいる人、時には悲しんでいる人もいた。
 僕は遠くから自分の番号を探す。

「あ」

 僕の番号は直ぐ見つけた。と言うか、分かりやすかった。

 

  僕の番号には、特待生を表す印があった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「っ~、危ねぇ…」

 階段を降りる際、足を滑らせそうになる。間一髪で手すりを掴んで資料も抱えたから良かったものの、ここから落ちたらひとたまりもない。

「はあ…」

 合格結果はまだしも、無事に試験会場に着いたとか、それくらいの連絡は取っていいよな。何で気づかなかったのだろう。今から連絡するか。予定通りなら今頃結果を見ているはずだ。
 俺はスマホを取り出して文字を打ち込みメッセージを送信すると、直ぐに既読がつく。

「早いな」

 思わず口に出すと、近くを通りかかった男子生徒が俺に話しかける。

「え!先生相手誰それ!?彼女!?」

「知り合いだ」

 適当に流してスマホを視線を戻すと、無事着いたと連絡があった。これから少しお店を巡ってから帰るらしい。文面はいつもと変わらない。
 何事も無かったようで胸を撫で下ろす。これで少し授業に集中出来そうだ。
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「先生、お帰りなさい」

「ああ、ただいま」

 僕が出迎えると、先生は直ぐに自室に荷物を置きに行ってしまう。最近は直ぐハグをしてたから少し物足りない気がするが、そんなこと言ってられない。

「その、烏坂」

「えへへ、わかってます。結果、ですよね」

 僕は目を伏せる。先生は何も言わない。

「………先生」

「何だ?」

 僕はそのまま目を上げる。そして、助走をつけて先生に飛びつく。腕は先生の首に、足は先生の腰に回して蝉のように先生にしがみついている状態だ。

「から、」

「先生ぇ!!」

「お、おう」

 僕はばっと体を逸らして先生と向かい合う。


     

     「先生、受かりました!!」



僕が大声で言うと、先生はニヤリと笑って僕を高く上げる。

「わっああ!」

「おめでとう!烏坂!!」

 先生は僕を上げたままくるくると回る。何だか鳥になった気分だ。そのまま僕は降ろされて先生に抱きつく。

「えへへ、受かりましたよ!先生!」

「ああ!信じてた」

 先生は僕の頭を撫でながら言う。しかし、まだこれで終わりではない。

「先生、これ」

「写真?」

 僕はスマホを操作して合格者発表の紙の写真を見せる。

「……お、まえ、」

「えへへ、なんと僕、特待生です」

 照れながら言うと、先生は固まっている。

「あ、あの、先生…?」

 不安になって先生に話しかける。自分で言うのもアレだが、特待生って凄いと思う。それを取ったのだ。もう少し、褒めてもらっても…。

「お前マジか!!」

 先生は驚きの声を上げる。

「お前が受かることは知ってた。お前は頭がいいしよく頑張ってたからな。まさかとは思ったが、お前特待生か!!」

 先生は僕を褒めちぎる。嬉しいけどどんどん恥ずかしくなる。僕は顔を真っ赤にして俯く。

「前向け!胸張れ!」

 先生は僕の顎を掴んでグッと顔を上げさせる。僕の目にはキラキラと輝いた目をしている先生が映る。

「ふあ、」

「おめでとう!!今日はパーティーだな!!」
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