灰色に夕焼けを

柊 来飛

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惹かれ合う

答え合わせ

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「その、先生。酔ってないですよね?」

「は?ああ、これはノンアルだ」

 先生が缶を僕に見せる。そこにはしっかりとノンアルコールと書かれている。
 よかった、これで酔っていて本心ではなかったら僕は今頃立ち直れていなかっただろう。
 先生は缶を戻すと僕の後ろに手を回す。

「僕、先生のことかなり最初から好きだったんです」

 僕は先生に抱きしめられたまま話し始める。

「最初はこの気持ちの名前が分からなくて、でも、友達が教えてくれたんです。それが、恋でした」

「そうだったのか。具体的にはいつ頃からだ?」

「えっと……んー、体育祭の後頃から…?先生は、いつから僕のこと、好きだったんですか?」

 僕は先生に問うと、先生は少し考えてから話す。

「詳しくは分からないが、多分お前よりも早い」

「えっ!?!?」

 僕は素直に驚く。僕の方だってかなり早いのに、先生はそれよりも早いのか!?

「最初は、ほんとに素直で良い奴だ思った。男に慣れてない反応が可愛くて。ただ、それだけ。でも、いつの間にか好きになってた」

 先生は続ける。

「それで好きになって、色々やった。ちょっかいかけて、意識させて。お前はただのスキンシップだと思ってたようだが」

 先生が恨めしく言う。僕は抗議の声を上げる。

「仕方ないですよ!僕友達も何もいなかったから距離感が分からないんですよ!」

「男に慣れてないのは別に良いんだ、それで良い。ただ、かなり鈍感で苦労した。それで諦める俺じゃないがな」

「鈍感ですみませんね」

 僕は形だけで謝る。先生は僕の頭を撫でてから話を続ける。

「なぁ烏坂、贈り物にも意味があるって知ってるか?」

「あー、なんか聞いたことあります」

「ただ、お前は何も気にしないで贈ってたよな」

「えっ、あっ、ごめんなさい、」

「いや違う。ただ、俺が贈ったものを覚えてるか?」

「沢山もらいました」

「そうだな。じゃあピックアップして、時計とネックレスと口紅あげただろ?」

「はい!貰いました!」

「時計を送る意味は、同じ時間を過ごしたい。ネックレスはずっと一緒にいたいとか、あなたを独占したいとかだな。口紅は、キスがしたい」

「……ん?、待ってください、」

「俺は、全て意味を知ってた上で、その意味を込めて贈った」

「待って!」

 僕は静止を求める。僕の顔がどんどん赤くなっていく。

「時計も、ネックレスも、口紅も、全部、僕に対して、そう思ってる…?、ってこと、ですか?」

「そうだ」

「ふぇ…」

 僕は抜けた声しか出せない。先生が言った通り、かなり先生は僕に対してアプローチしてる。だから先生から口紅を貰ったと言ったとき、鬼神さんと蝶先生は生温かい目をしたんだ。

「ちなみにピアスは自分の存在を感じて欲しい。ネクタイは相手に首ったけ、つまり明確な好意だな」

「うわあああ!!!」

 僕は先生の胸に顔を埋める。僕、かなり恥ずかしいことしてる!意味知らなかったとはいえ、かなり恥ずかしことしてる!!

「今この意味を知ったが、贈り物を取り消したいか?」

「………いえ、その意味のまま贈ります」

 先生はニヤリと笑う。とても嬉しそうだ。

「それでだ。俺が一生懸命アプローチしてるのにナンパされて、暴漢に襲われて、罰ゲームで告白されて、挙句の果てに施設に戻されそうになる。この俺の気持ちがわかるか?」

 一気に怖い雰囲気になる。僕を抱きしめる力が強くなる。

「俺の獲物を横取りされそうになるんだ。そりゃ殺したいって思うだろ」

 低い声で喋る先生はまるで猛獣だ。自分の獲物に手を出すものは何人たりとも許さない。そんな威厳と圧がひしひしと伝わってくる。

「で、でも、殺しちゃダメです、」

「マジで殺したいんだよな…」

「ダメです!」

 僕が言うと、先生は溜息をつく。納得していない様子だ。

「まぁ許そう。で、烏坂」  

「は、はい」

「俺たちは、付き合うということでいいのか?」

「お付き合い…」

 絶対振られると思っていたからそこまで考えていなかった。でも、両思いならそういうことなのだろう。

「えっと、そ、そう、です」

「これからよろしくな、烏坂」

「はい、こちらこそよろしくお願いします、先生」

 僕と先生はまた抱き合う。先生の温もりが心地いい。

「先生と恋人同士なんて夢みたいです」

「俺はお前を逃す気はなかったが」

「ひょわ…」

 もしかして先生、僕が思っている以上に僕のこと好きじゃないのか?こんなに愛されてたんだ、僕は。それが嬉しい。

「烏坂」

「何ですか?」

「…夕」

「っ………、せん、」

「鷹翔だ、鷹翔。前にも言ってくれただろ」

「………た、鷹、翔、さん」

 僕が先生の名前を言うと、先生は満足そうな笑顔になる。そして、僕の顎を持って顔を上に向ける。

「夕、大学で勉強頑張れるか?」

「え?そりゃ、特待生になった訳ですから頑張りますよ」

 僕はごもっともな回答をする。特待生なのだから頑張らなくては意味がないだろう。先生はその回答を聞くと、ふむと少し考える。

「よし分かった。夕」




        「結婚しよう」
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