灰色に夕焼けを

柊 来飛

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惹かれ合う

いつも通りの、特別な朝

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 いつもの時間に目が覚める。もう目覚ましを設定しなくても自然と目が覚めるほどには体に染みついた。
 僕は起きあがろうとするが、先生の腕が回っていて起きれない。これももう慣れたものだ。

「せーんせ。今日も学校あるので離してください」

「んん…」

「うぐ、」

 もっと力が強まる。僕は一つ息を吐いて先生の頬に手を当てて顎下にキスをする。

「っ、からっ、」

 先生が飛び起きる。僕ものそりと起きて先生に挨拶をする。

「おはようございます、鷹翔さん」

「…おはよう、夕」

「おはようのキスです」

「今度は口にしてくれ」

「……それは、また次回、」

 僕が濁すと、先生は僕をジトリと見つめてから欠伸をする。どうやら見逃してくれるらしい。

「先生はもっと寝てて良いですよ」

「また起こす時キスしてくれるか?」

「……あっと…ま、まぁ…」

「じゃあ起きる。夕」

 先生は僕に近づくと僕の唇にキスを優しく落とす。今度はすぐに離される。

「俺からのおはようのキスだ」

「っあっ、あう、」

 自分がするのはまだ良い。覚悟が決まってるから。でも、不意打ちはずるい。心の準備が出来てないのに。

「さっ、朝飯食おうぜ」

「そうですね」

 僕と先生は一緒に階段を降りる。僕はエプロンを着て手際よくキッチン用品を出していく。先生はキッチンを見て感嘆の声を上げる。

「すげーな。良く手入れされてる」

「…あの、ずっと言ってなかったんですけど、」

「ん?」

「先生の家にあるやつ、全部良いものなんですよ。だからちゃんと使って手入れしないと勿体無いですよ」

「そうなのか。お前が来るまではあまり使ってなかったから分からん」

「買ったのは先生ですよね…?」

「ネットで評価が高いやつを買ってただけからな。よく知らん」

「ええ…」

 気を取り直して、僕は冷蔵庫から材料を取り出そうとすると、先生がその手を止める。

「なあー夕、少し贅沢しようぜ」

 先生はニヤリと笑うと、引き出しからホットケーキミックスを取り出す。

「わあ!まさか、」

「そのまさかだ。先作っててくれ。俺はコンビニ行ってくる」

 先生は上着を着ると、僕の方を振り返る。

「何か必要なのあるか?」

「特には…。あっ、バナナ!売ってたら欲しいです」

「ん。夕、アイスは何味が好きだ?」

「え?んー、バ、バニラ…?」

「分かった」

 ご褒美にアイスを買ってきてくれるのかな。寒い日に食べるアイスは美味しいから嬉しいな。
 僕はホットケーキミックスに必要な材料を混ぜてフライパンに生地を流す。ちゃんと生地の様子を見てひっくり返す。

「じょーでき!!」

 自分で自分を褒める。いい焼き色だ。僕は一枚で良いけど先生は沢山必要だ。僕も何枚も重なり合ったホットケーキを食べてみたいなぁ。そんな思いを抱きながらもう一枚作ろうとすると、先生が帰ってくる。

「バナナあったぞ」

「やったー!」
  
 何枚か作り終わった後、ホットケーキをお皿に乗せていく。綺麗に盛り付けたら周りにバナナやナッツ類を置き、上から粉砂糖と蜂蜜をたっぷりとかける。

「完成!」

「まだだ」

 先生が隣で言う。僕が首を傾げると、さっき買ってきたアイスを取り出してそれを大きめのスプーンで掬い、アイスの上に贅沢に乗せる。

「わあああ!!!!」

 一気にカフェに出てきそうなオシャレな朝ごはんになる。僕のアイスはバニラで先生は抹茶だ。

「これで、完成だ」

「すごーーい!!」

 先生が料理を運んで、僕はコーヒーを淹れる。僕のコーヒーは砂糖をいつもよりも少なめに入れる。

「いただきます!」

 その前に僕と先生は写真を撮る。写真を何枚か撮ったらアイスが溶ける前に食べ始める。

「美味しい!!」

「美味いな」

「せんせ、そっち一口ください」

「良いぞ」

 先生は蜂蜜とアイスを沢山乗せて僕に差し出す。僕は一口でパクリと食べる。

「んー!!おいひぃ!!先生も僕のどうぞ!」

 僕が差し出すと、先生もパクリと食べる。本当に一口が大きい。

「んまいな」

「たまにこれやりましょ!違うのも試したいですね!」

「そうだな」

 先生のホットケーキはあんなにあったのに、僕と食べ終わるのはほぼ同時だった。と言うか、先生の方が早かった。

「洗い物は俺がやっとくから着替えてきちまえ」

 時計を見ると、かなり時間が経っていた。僕は先生に任せて制服に袖を通す。バッグを持って下に降りると、もう洗い物は終わっていた。

「ありがとうございます」

「俺の方こそ、美味しい料理をありがとう。今日は良い1日になりそうだ」

「えへへ、僕もです!」

 出発の時間になり僕は玄関に向かう。先生も付いてきて見送ってくれるようだ。

「じゃあ先生、行ってきます」

「…やっぱり、先生か」

「あっ!ごめんなさい、せ…鷹翔さん」

「ゆっくりで良い。行ってらっしゃい、夕」

 先生は僕のそばに来て唇にキスをする。

「っ、先生!!」

「本当はお前からも欲しいんだがな。これで今日は勘弁してやるよ」

「これから僕学校なんですよ!?それなのに、こんな、朝から、」

「何か聞かれるかもな」

 先生はクククと笑う。僕は先生を睨みつけるが、何も変わらない。

「じゃあ、、今度こそ、行ってきます、鷹翔さん」

「ああ、行ってらっしゃい、夕」

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