灰色に夕焼けを

柊 来飛

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惹かれ合う

いつもと違う雰囲気

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「夕」

「彩葉」

 彩葉に話しかけられて、僕は顔を上げる。いつも朝は自習をやっていたのだが、今は休止中だ。

「その、大学、」

「ああ」

 彩葉は恐る恐る聞く。僕は立って彩葉に抱きつく。

「受かってた!」

「っ!おめでとう、夕!」

 彩葉は珍しく大きな声を出す。僕は彩葉から離れて写真を見せる。

「見て!しかもね、特待生なの!」

「え、えっ!?す、、凄い!凄いよ夕!!」

 彩葉はその場でピョンピョンと跳ねる。

「凛!夕、特待生だって!」

「えっ!?凄い!!」

 伊集院君も驚いて立ち上がる。その勢いでメガネと持っていた本が下に落ちる。

「わっ、と、」

「あはは!」
 
 彩葉は声を出して笑う。こんな彩葉は珍しい。伊集院君はそれを拾うと彩葉をジトリと睨みつけた後、僕の方に来る。

「おめでとう、烏坂さん。もう学校には伝えたの?」

「うん。職員室全体が凄かったな」

 電話越しからもその興奮が伝わってきた。特に体育教師の声が響いていたのを覚えてる。

「良かった、夕。さっきまで何かずっと顔伏せてたから。眠いの?」

 僕は指摘されて息を呑む。それは朝のことを思い出して恥ずかしくなってたからだ。

「そ、そ、そう、は、恥ずかしいことだけど、その、嬉しくて、寝れなかったんだよね、」

 僕は濁す。眠いのは嘘だ。でも、嬉しいことがあったのは事実だ。特待生も嬉しいけど、何より先生と両思いだったから。

「そりゃ特待生だったらみんな嬉しいよ。何も恥ずかしがることなんてないよ、むしろ胸張って」

 伊集院君は純粋に言葉をかけてくれる。それに僕は申し訳なくなって、引き攣った笑みを貼り付けることしかできなかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 朝の会議をするために集まると、声をかけられる。

「灰月先生、何かいいことありました?」

「え?」

「顔がいつもよりも優しいです」

「あー…」

 指摘されて気づく。かなり浮かれているらしい。俺は口元を抑え、なるべくいつものような感じを演じる。

「いいこと…。その、迎え入れている高校生が大学に無事受かりまして、」

「おおお!皆さん、灰月さんのところの子、受かったて!!」

「本当ですか!?」

 集まった教授みんながわいわいと騒いでいく。ここにいる人は皆俺が高校生を引き取ったことを知っている。流石に、恋人だとは知らないが。

「良かったですね!だから笑顔なんだ」

「…自分、そんなに顔緩いですか?」

「ええ!そりゃもう」

「…はあ…」

「生徒みんなびっくりすると思いますよ」

 これだけ言われて仕舞えばもう繕うことも出来ないだろう。絶対生徒に何か色々聞かれる。

「めでたいですね。では気持ちを切り替えて、会議を始めます」

 指揮を取るのが上手いな。俺は真面目にしっかりと話を聞くが、頭の隅はずっと浮かれていた。
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