Fランク【竜化】もできない俺は無能と罵られて帝国を追放されたが、SSSランク【竜化】ならできることが判明し、聖女たちとともに最強へ。

ざらざら

文字の大きさ
13 / 42

13 追放サイド:没落への道(その3)

しおりを挟む
「ラウダ小隊長、お待ち下さい! 危険です!」

「やかましい! 一刻も早くSSS級ドラゴンを手に入れるんだ。とっと来い!」

 俺様、ラウダ・ゴードン率いる帝国第七小隊はSSS級ドラゴンである「グングニル」が眠ると言われるダンジョンへとやって来ていた。

 陛下から手紙を受け取ってから、早三日。洞窟内で俺様は文面を思い出す。

「くそ! なんなんだ、あの忌々しい内容は」

 手紙には荷物持ちのジン・カミクラがSSS級ランカーであり、褒章授与式にはジンも連れてくるようにと指示があった。ふざけやがって! 俺様は怒りのあまり、部下の頭を殴りつけた。

「な、なにをするのですか!」

「ああん!? 何か文句があるのかあ!?」

「い、いえ。なんでも、ありません……」

 ち。いちいち反論するんじゃねえよ。雑魚部下の分際で! だが――まあいい。要するに陛下はSSSが欲しいだけだ。何もジン・カミクラが必要なわけではない。

 ならば話は簡単だ。俺様がSSSになればいい! 最上位ドラゴンと契約をし、俺様自身が最強となれば、陛下も文句はないはずだ。

 くくく。相変わらず、俺様は頭が冴える――はずだった。

「うおっ!? お前ら、これはどうなってんだ!」

「も、もう限界です! 引き返しましょう……」

 急激に辺りが凍りついていく! 本来、グングニルの眠るこのダンジョンは全てが氷で覆われている。それを魔法使いたちの火属性魔法で溶かしながら、進んでいた。

「おい、もっとファイアを唱えろ! 寒いだろうが!」

「無理です……全員、もう魔力切れです」

「ふざけんなっ!」

 寝言をぬかす部下を蹴りつけると、遠くのほうで何かの声が聞こえた。全員が静まり返る。この声は――氷雪地域に現れるアイススパイダーだ。

 やたらと馬鹿でかい蜘蛛だが、以前も戦ったことがある。というか向こうから俺様に恐れをなして逃げていった程度の敵だ。余裕で屠れる相手。そういえば、あの時もジン・カミクラは何の役にも立たなかった。

 あんなクズがSSSのはずがない。

 俺様はロングソードを抜き、小隊に号令をかけた。

「総員! 陣形をとれ。なあにただの雑魚モンスターだ。体を温めるのにちょうどいい運動になる」

 そう思っていた。

 ――だが。

 ひゅん!

 風切り音が洞窟に響くと、部下の一人が派手に吹っ飛んだ。

「何っ!?」

「た、隊長! 助けてえ!」

 見ると、飛ばされた部下は糸の玉のようなもので壁に貼り付けられていた。逃れようと暴れるほどに糸が身体中に絡んでいく。

「小隊長、来ます!」

 視線を前方に戻すと、牛の二倍ほどの体躯をしたアイススパイダーが俺様に突進してきた。

「ぐっ!!」

 衝撃が走る。ものすごい力だ! 俺様はどうにか、蜘蛛の牙を剣で防ぐ。だが相手は八本の脚を使って、こちらを拘束しようとしていた。

「おまえらっ! なんとかしろおっ!」

「りょ、了解!」

 副長がバトルアックスを振るい、牽制を試みた。ガキンと火花が散り、蜘蛛の硬い脚に弾かれる。だが、その間にどうにか距離を取ることに成功した。

「ど、どういうことだあっ! な、何故、雑魚モンスターのくせにこんなに強いんだ!?」

 そこで、俺様ははっとした。以前、部下が言っていた言葉を思い返す。

 ――ジン・カミクラがいなくなってから、高ランクドラゴンやモンスターたちに狙われるようになった、と。

 それから部下はジンが、牽制魔法か、魔除けの香などを使っていたのではないか、とも言っていた。まさか。まさか……。

「ああ、めんどうだ! 竜化で一気に片付けるぞ!」

「了解!」

 部下たちがそれぞれフュージョンしていく。こいつらはFやEランク程度ばかりで部分的な武装竜化しかできない。

 だが俺様は違う。見せてやろうA級ランクの竜化というものを!

「来いライトニング! ドラグ・フュージョン」

 ……何も起こらない。

 何? どういうことだ。俺様はもう一度、契約したA級ドラゴンであるライトニングを呼ぶ。やはり何も起こらない。

「な、なんだ! おいライトニング! 何故、来ない! お前は俺様の下僕だろうがああ! とっとと来やがれ、能無しドラゴンがあっ!」

 それでもライトニングは来なかった。な、何故だ!? 何故!

「ラウダ隊長! 来ます!」

 部下の叫びに顔を上げた。アイススパイダーが糸を撒き散らし、赤い瞳を光らせている。

「う……うわあああああ! お前ら、俺が逃げるまで時間を稼げっ!」

 俺様は敵に背中を向けて、洞窟の出口へと向かって全力で走った。後ろから部下たちの声が聞こえるが、全て無視して走り続けた。

 こんな、こんなことがあってたまるか! 今日は自分でも気づかないうちに体調を崩していたのに違いない! そうでなければ、そうでなければ説明がつかない。

 俺様は涙と鼻水を垂らしながら、出口を目指して走り続けた。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...