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1章 名もなき村
25 くるみ割り
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「マサト兄ちゃん、ミーナ、戻ったよ」
すべての料理が完成したところでレイジが戻ってきた。
「じゃあ、レイジはテーブルを拭いておいてくれるか? ミーナはパンと肉を持って行ってくれ」
流石にスープは重いし、ドラゴンマッシュルームは俺が食べることになっているから俺が持っていこう。
「あ、レイジ。このくるみ割り器で龍グルミを割っておいてくれないか」
そう言って、皿と龍グルミ、くるみ割り器を渡しておく。
俺やミーナでも割れるとは思うが、レイジが一番、力のステータスが高いからな。
「あ、ミーナもやってみたい」
「ははっ、じゃあ二人で仲良くやってみてくれよ。くれぐれも力を入れすぎて中身まで砕かないようにな」
龍グルミ、外側は茶色だったけど中身は一体どんな形をしているのだろうか。
「マサト兄ちゃん、これ結構硬いよ」
「お兄ちゃん、ミーナにもやらせて」
まあ、二人が楽しんでやってるから今はそれでいいかな。
「二人とも、ほどほどにしとかないと夜飯を食べる時間が無くなるぞ」
一人当たり二、三個程度しか渡してないからそんなに時間はかからないだろうけど一応忠告はしておく。
「「はーい」」
二人が龍グルミ割に夢中な間にそれぞれにスープを盛りミーナが持ってきてくれたパンもそれぞれの皿に置いておく。
あとは俺の前にはドラゴンマッシュルームを茹でたものを置き、白根の根をおろし器で大根おろしにしておく、……いや、この場合は白根おろし……か。
おろした白根をドラゴンマッシュルームの上からかけて、めんつゆを適量、一味唐辛子を軽く振りかけたら完成だ。
「さ、二人もそろそろいいだろう、食べようか。」
二人が龍グルミを割り切るタイミングで声をかける。
「うん、マサト兄ちゃん」
「すみません、マサトさん。残りの準備全部やってもらって」
「いいさ、初めてやる作業は楽しいもんな。俺は龍グルミみたいに硬いと割り切れないかもしれないし、二人にやってもらって感謝してるよ」
そして、三人での夕食となる。
「マサト兄ちゃん、この肉はホーンラビットの?」
「いやいや、ホーンラビットはまだ使ってないんだ。なんか、調べてみたら肉は解体してから温度の低いところで寝かせたほうが美味くなるらしいって出たから、少し冷蔵庫で寝かしておこうと思ってな」
まあ、村には冷蔵庫なんてものは存在しないので解体後、すぐに食べるのが基本となるだろう。
「マサトさん、やっぱりそれ、食べるんですね」
ミーナが指し示す先はもちろん、ドラゴンマッシュルームの白根おろし和え。
白根の白さ、めんつゆの黒、そして何よりドラゴンマッシュルームの赤さが目を引く一品だ。
「まあ、毒じゃないっぽいから味を見ておかないとな」
まずは一口、ドラゴンマッシュルームに軽く白根おろしが乗るような形で箸ですくい、口に運ぶ。
んー、キノコの旨味加減としてはあんまりないほうかな、ほのかに香る程度には旨味があるものの、白根おろしと一味唐辛子の辛味、めんつゆの甘味のほうが主張してくる。
ただし、食感のほうは面白くて、繊維に沿って歯を入れると簡単にほぐれるくせに繊維に逆らって噛むとギュモギュモと歯ごたえばっちりの感触が返ってくる。
「マサト兄ちゃん、美味いのか?」
「マサトさん、どうなの?」
二人も興味があるのか他の皿には目もくれずに俺の様子を見守っている。
「ああ、美味いよ。ドラゴンマッシュルームは味自体はそんなにないけど食感が面白いし、味が主張しないから薬味の味がダイレクトに来て美味いよ。二人も少し食べてみるか?」
二人は恐る恐る、といった具合に少しだけそれぞれのスプーンに乗せて口に含む。
味の主体がめんつゆと白根のおろしだから、これはパンというよりも米に合う味だな。
「……なんだろ?」
「……美味しいんだけど、やっぱりこの見た目が少し怖い……かな」
まあ、野菜しか口にしないこの世界の住人にとってはハードルが高いか、肉も初めて目にする食材だろうけど、キノコは食材そのものの形が残るからな。
その内、干しキノコにでもして出汁にでも使うかな。
「まあ、これは俺が責任もって食べるから二人はスープのほうの感想をお願いするよ」
言いつつ、俺もスープに手を出す。
まず来るのは、やはりコンソメの味だ。
緑菜自身も、火を通すと甘みを増すのか生で使うよりもおいしい。
そして、白根はその全ての味をしみこませており、味の複雑さが段違いだ。
「美味いっ。なんでなんだろ、いつもと同じ味なんだけど、この白根が入るとすっごく美味く感じる」
「白根自身の味はそんなにないはずなのに、普通に飲むスープよりも白根から出てくるスープのほうが美味しく感じますね」
鍋とかまどが手に入れば、白根は村の食料の選択肢にも入るだろうな。
明日はとりあえず村長と話して、村の中でかまどを作る場所を選定して、かまどをちゃちゃっと作らないとな。
「で、最後に龍グルミだな」
外側の果実部分は鬼のように、というか龍のように硬かった龍グルミだが、中身の種子部分はそうではなく、むしろ手でも押しつぶせそうなほどに柔らかい。
甘味が強く、デザートとしてはいいものの食べ過ぎたら脂肪分のとりすぎで太りそうだな。
やはり、パンに混ぜたり、はちみつで固めて非常食にするのがいいかな。
すべての料理が完成したところでレイジが戻ってきた。
「じゃあ、レイジはテーブルを拭いておいてくれるか? ミーナはパンと肉を持って行ってくれ」
流石にスープは重いし、ドラゴンマッシュルームは俺が食べることになっているから俺が持っていこう。
「あ、レイジ。このくるみ割り器で龍グルミを割っておいてくれないか」
そう言って、皿と龍グルミ、くるみ割り器を渡しておく。
俺やミーナでも割れるとは思うが、レイジが一番、力のステータスが高いからな。
「あ、ミーナもやってみたい」
「ははっ、じゃあ二人で仲良くやってみてくれよ。くれぐれも力を入れすぎて中身まで砕かないようにな」
龍グルミ、外側は茶色だったけど中身は一体どんな形をしているのだろうか。
「マサト兄ちゃん、これ結構硬いよ」
「お兄ちゃん、ミーナにもやらせて」
まあ、二人が楽しんでやってるから今はそれでいいかな。
「二人とも、ほどほどにしとかないと夜飯を食べる時間が無くなるぞ」
一人当たり二、三個程度しか渡してないからそんなに時間はかからないだろうけど一応忠告はしておく。
「「はーい」」
二人が龍グルミ割に夢中な間にそれぞれにスープを盛りミーナが持ってきてくれたパンもそれぞれの皿に置いておく。
あとは俺の前にはドラゴンマッシュルームを茹でたものを置き、白根の根をおろし器で大根おろしにしておく、……いや、この場合は白根おろし……か。
おろした白根をドラゴンマッシュルームの上からかけて、めんつゆを適量、一味唐辛子を軽く振りかけたら完成だ。
「さ、二人もそろそろいいだろう、食べようか。」
二人が龍グルミを割り切るタイミングで声をかける。
「うん、マサト兄ちゃん」
「すみません、マサトさん。残りの準備全部やってもらって」
「いいさ、初めてやる作業は楽しいもんな。俺は龍グルミみたいに硬いと割り切れないかもしれないし、二人にやってもらって感謝してるよ」
そして、三人での夕食となる。
「マサト兄ちゃん、この肉はホーンラビットの?」
「いやいや、ホーンラビットはまだ使ってないんだ。なんか、調べてみたら肉は解体してから温度の低いところで寝かせたほうが美味くなるらしいって出たから、少し冷蔵庫で寝かしておこうと思ってな」
まあ、村には冷蔵庫なんてものは存在しないので解体後、すぐに食べるのが基本となるだろう。
「マサトさん、やっぱりそれ、食べるんですね」
ミーナが指し示す先はもちろん、ドラゴンマッシュルームの白根おろし和え。
白根の白さ、めんつゆの黒、そして何よりドラゴンマッシュルームの赤さが目を引く一品だ。
「まあ、毒じゃないっぽいから味を見ておかないとな」
まずは一口、ドラゴンマッシュルームに軽く白根おろしが乗るような形で箸ですくい、口に運ぶ。
んー、キノコの旨味加減としてはあんまりないほうかな、ほのかに香る程度には旨味があるものの、白根おろしと一味唐辛子の辛味、めんつゆの甘味のほうが主張してくる。
ただし、食感のほうは面白くて、繊維に沿って歯を入れると簡単にほぐれるくせに繊維に逆らって噛むとギュモギュモと歯ごたえばっちりの感触が返ってくる。
「マサト兄ちゃん、美味いのか?」
「マサトさん、どうなの?」
二人も興味があるのか他の皿には目もくれずに俺の様子を見守っている。
「ああ、美味いよ。ドラゴンマッシュルームは味自体はそんなにないけど食感が面白いし、味が主張しないから薬味の味がダイレクトに来て美味いよ。二人も少し食べてみるか?」
二人は恐る恐る、といった具合に少しだけそれぞれのスプーンに乗せて口に含む。
味の主体がめんつゆと白根のおろしだから、これはパンというよりも米に合う味だな。
「……なんだろ?」
「……美味しいんだけど、やっぱりこの見た目が少し怖い……かな」
まあ、野菜しか口にしないこの世界の住人にとってはハードルが高いか、肉も初めて目にする食材だろうけど、キノコは食材そのものの形が残るからな。
その内、干しキノコにでもして出汁にでも使うかな。
「まあ、これは俺が責任もって食べるから二人はスープのほうの感想をお願いするよ」
言いつつ、俺もスープに手を出す。
まず来るのは、やはりコンソメの味だ。
緑菜自身も、火を通すと甘みを増すのか生で使うよりもおいしい。
そして、白根はその全ての味をしみこませており、味の複雑さが段違いだ。
「美味いっ。なんでなんだろ、いつもと同じ味なんだけど、この白根が入るとすっごく美味く感じる」
「白根自身の味はそんなにないはずなのに、普通に飲むスープよりも白根から出てくるスープのほうが美味しく感じますね」
鍋とかまどが手に入れば、白根は村の食料の選択肢にも入るだろうな。
明日はとりあえず村長と話して、村の中でかまどを作る場所を選定して、かまどをちゃちゃっと作らないとな。
「で、最後に龍グルミだな」
外側の果実部分は鬼のように、というか龍のように硬かった龍グルミだが、中身の種子部分はそうではなく、むしろ手でも押しつぶせそうなほどに柔らかい。
甘味が強く、デザートとしてはいいものの食べ過ぎたら脂肪分のとりすぎで太りそうだな。
やはり、パンに混ぜたり、はちみつで固めて非常食にするのがいいかな。
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