45 / 150
2章 領都
08 唐揚げ
しおりを挟む
「美味いっ、マサト君、君の作った唐揚げという料理は肉の可能性を感じさせるような料理だな」
まあ、この世界では焼くのはもちろん、油で食材を揚げるなんてことはないからな。
「レイジはどうだ?」
「美味しいよ、マサト兄ちゃん。噛みしめる度に肉の中から油と肉汁が出てきて口の中から幸せになっていくような感じだよ」
俺とミーナも味見で先に一つだけ食べてみたが外はザクザク、中はジューシーでこれで米があったら茶碗で二、三杯は食べられそうな感じの味だった。
周りのテーブルではまだ食べられていない騎士の人たちが恨めしそうな目でレイジとウィリアムさんを見つめている。
食堂内には大容量のフライヤーがあるとはいえ、流石に二十人分以上の分量を一回で揚げることは不可能なので先にレイジとウィリアムさんに出したというわけだ。
本日のメニューは、ヘビースネークの唐揚げ、緑菜と白根のコンソメスープ、それになけなしのパンが一個だ。
定食というには少し弱いが、唐揚げは一人当たり一キロほど用意できるからおかわり自由にしてあるから、流石に満腹にはなるだろう。
「皆さんの分も直ぐに揚がりますから、もう少しだけ待っててくださいね」
ヘビースネークは野生の獣だから、中身が生にならないように揚げ時間は多めにしてある。
これが管理された鶏とかならそこまで気を使わなくてもいいのだろうが、病原菌やら寄生虫やらが怖すぎる。
まあ、そんなことをこの世界の人間に言ったら、ポーションがあるから大丈夫、とか言われそうだが……。
「よし、揚がったぞ。ミーナ、近いほうから順にカウンターに置いて行ってくれ」
食堂として経営するなら客席まで運ぶのがいいのだろうが、従業員が足りないのと客が騎士の人たちだけということで自分の席に運んでもらう形をとっている。
まあ、この食堂はセルフサービスの形態もとれるようになっているのか、大量のお盆も食堂内にあったので何とかなっている。
「美味いっ!」
「こんなことならあの時も牙だけ採っていくんじゃなくて肉も確保しておくんだった」
ヘビースネークの牙は武器として優秀だからか、それなりの技量を持っている騎士ならば出会ったら倒すのが当たり前らしい。
ただ、これまでは牙以外には需要がなかったために、牙を取り出したら死体は魔獣の生息エリアに捨てていたらしい。
人里近くにそのまま放置すると魔獣が下りてくる切っ掛けになるし、あの巨体を埋めるのは重労働なので捨てに行くのが効率的らしい。
とはいえ、肉の味を知ってしまった以上これからは捨てるなんてことはしなくなるのだろう。
ただ、ヘビースネークは個体数がそんなに多くないのか、牙の需要に供給が間に合っていない状況らしいので次に出会えるのがいつになるかはわからないらしい。
だから、今日、明日で食べつくしてしまえば当分の間はヘビースネークを食べられることはないのだろう。
「団長、明日からはヘビースネーク中心に探しましょうよ」
「そうですよ、鍛冶師連中も槍の数が足りないってぼやいてたじゃないですか」
「アホかお前ら、俺たちが第一にするのはマサト君たちを領都まで連れていくことだ。確かにこの料理はうまいが、そこをはき違えるなよ」
ですよね、確かにこの唐揚げはおいしいがそれだけで予定を変えることはできないだろう。
「まあまあ、皆さん。領都についてキラーバードが食用可能でしたら、そちらの肉で唐揚げを作ることも可能ですし、卵が使えればデビルボアの肉も揚げ物にできますから」
「そうか、領都についたら新しい料理が食べられるのか」
「いやでも、領都についたら領主様が優先されるだろうし、俺たちが食べられるのか?」
「ってことは気兼ねなく食べられる今回の任務は役得ってことか」
「お前らいい加減にしろっ! マサト君がこれからどうするかは領主様とマサト君の話し合いで決まる。あと、このことで領都に残ったやつらに自慢話なんかするなよ、私が責められるんだからな」
まあ、簡単な任務だから見習いに任せてベテランが残ったのに、その見習いは旨いもの食って帰ってきたなんて聞いたら残ったベテランからは文句が出るだろうな。
「マサト兄ちゃん、僕食べ終わったから手伝うよ」
「おっ、そうか。じゃあ、ミーナと代わって唐揚げを皿に盛ってカウンターに出してくれ。ミーナは俺と代わってフライヤーのほうを頼む。俺は明日の仕込みに入るから」
明日はヘビースネークの残りの肉を照り焼きにして出そう、あとは斑芋のほうもメニューに載せたいから毒抜きだけでも済ませておかないとな。
騎士団のほうで運んでいる斑芋は領主様に渡すようだから使えないが、食堂内には大量の斑芋があるから毒抜きの時間が取れるなら積極的に使っていきたい。
とはいえ、パンは焼く予定だから粉ふきいもにするのもアレだな……。
フライドポテトかマッシュポテトか……。
そうだな、マッシュポテト、というか具無しのポテトサラダにするか。
本当は水瓜なんかを入れて食感を変えたいんだが、二十人分の水瓜は用意できない、というか水瓜は種でもらっただけでまだ植えてもいないから食糧庫にも冷蔵庫にも入っていないだよな。
マッシュポテトは基本的に牛乳を入れる料理なんだが、牛乳、というかミルクはまだ発見できてないし、マッシュポテトを牛乳なしで作るとポテトサラダとの違いがどれだけ芋を潰すかくらいしかないから、荒く潰しても許されるポテトサラダのほうがいいだろう。
あとは、パンやショートブレッドを作る時のためにバターを常温に戻しておくくらいか。
そういえば、夜飯の準備をしているときに気が付いたんだが昼に準備をして放置していた唐揚げ用のヘビースネークの肉や白根と緑菜のスープが食堂を消した時の状態だったんだ。
どういうことかというと、肉は漬けた時の状態で見つかって漬け具合が足りなかったから揚げるまでに三十分ほど放置する必要があったし、スープのほうは温度がそのままだったので温めなおす手間がなかった。
要するに、この食堂内は消した瞬間に時間が止まって出した瞬間に時間が進み始めるらしい。
ということは、肉を冷蔵庫に入れなくても食堂を消してしまえば腐ることはないということだ。
逆に言えば、パン生地なんかを出発前に大量に用意しておいても食堂を消してしまえば発酵はそこで止まるので、朝にパン生地を用意して昼に止まった時に焼く、といったことはできないらしい。
あと、変化が分からないのは畑の方だな。
こちらは変化が出るまで時間がかかるから、食堂を消している間に作物が成長しているのか、止まっているのかがわからない。
もし、畑の方も時間が止まっているのなら旅の最中は畑の作物が育たたないことになるから、拠点を移動する際には多めに野菜や肉を仕入れておかないとまずいことになるな。
まあ、この世界では焼くのはもちろん、油で食材を揚げるなんてことはないからな。
「レイジはどうだ?」
「美味しいよ、マサト兄ちゃん。噛みしめる度に肉の中から油と肉汁が出てきて口の中から幸せになっていくような感じだよ」
俺とミーナも味見で先に一つだけ食べてみたが外はザクザク、中はジューシーでこれで米があったら茶碗で二、三杯は食べられそうな感じの味だった。
周りのテーブルではまだ食べられていない騎士の人たちが恨めしそうな目でレイジとウィリアムさんを見つめている。
食堂内には大容量のフライヤーがあるとはいえ、流石に二十人分以上の分量を一回で揚げることは不可能なので先にレイジとウィリアムさんに出したというわけだ。
本日のメニューは、ヘビースネークの唐揚げ、緑菜と白根のコンソメスープ、それになけなしのパンが一個だ。
定食というには少し弱いが、唐揚げは一人当たり一キロほど用意できるからおかわり自由にしてあるから、流石に満腹にはなるだろう。
「皆さんの分も直ぐに揚がりますから、もう少しだけ待っててくださいね」
ヘビースネークは野生の獣だから、中身が生にならないように揚げ時間は多めにしてある。
これが管理された鶏とかならそこまで気を使わなくてもいいのだろうが、病原菌やら寄生虫やらが怖すぎる。
まあ、そんなことをこの世界の人間に言ったら、ポーションがあるから大丈夫、とか言われそうだが……。
「よし、揚がったぞ。ミーナ、近いほうから順にカウンターに置いて行ってくれ」
食堂として経営するなら客席まで運ぶのがいいのだろうが、従業員が足りないのと客が騎士の人たちだけということで自分の席に運んでもらう形をとっている。
まあ、この食堂はセルフサービスの形態もとれるようになっているのか、大量のお盆も食堂内にあったので何とかなっている。
「美味いっ!」
「こんなことならあの時も牙だけ採っていくんじゃなくて肉も確保しておくんだった」
ヘビースネークの牙は武器として優秀だからか、それなりの技量を持っている騎士ならば出会ったら倒すのが当たり前らしい。
ただ、これまでは牙以外には需要がなかったために、牙を取り出したら死体は魔獣の生息エリアに捨てていたらしい。
人里近くにそのまま放置すると魔獣が下りてくる切っ掛けになるし、あの巨体を埋めるのは重労働なので捨てに行くのが効率的らしい。
とはいえ、肉の味を知ってしまった以上これからは捨てるなんてことはしなくなるのだろう。
ただ、ヘビースネークは個体数がそんなに多くないのか、牙の需要に供給が間に合っていない状況らしいので次に出会えるのがいつになるかはわからないらしい。
だから、今日、明日で食べつくしてしまえば当分の間はヘビースネークを食べられることはないのだろう。
「団長、明日からはヘビースネーク中心に探しましょうよ」
「そうですよ、鍛冶師連中も槍の数が足りないってぼやいてたじゃないですか」
「アホかお前ら、俺たちが第一にするのはマサト君たちを領都まで連れていくことだ。確かにこの料理はうまいが、そこをはき違えるなよ」
ですよね、確かにこの唐揚げはおいしいがそれだけで予定を変えることはできないだろう。
「まあまあ、皆さん。領都についてキラーバードが食用可能でしたら、そちらの肉で唐揚げを作ることも可能ですし、卵が使えればデビルボアの肉も揚げ物にできますから」
「そうか、領都についたら新しい料理が食べられるのか」
「いやでも、領都についたら領主様が優先されるだろうし、俺たちが食べられるのか?」
「ってことは気兼ねなく食べられる今回の任務は役得ってことか」
「お前らいい加減にしろっ! マサト君がこれからどうするかは領主様とマサト君の話し合いで決まる。あと、このことで領都に残ったやつらに自慢話なんかするなよ、私が責められるんだからな」
まあ、簡単な任務だから見習いに任せてベテランが残ったのに、その見習いは旨いもの食って帰ってきたなんて聞いたら残ったベテランからは文句が出るだろうな。
「マサト兄ちゃん、僕食べ終わったから手伝うよ」
「おっ、そうか。じゃあ、ミーナと代わって唐揚げを皿に盛ってカウンターに出してくれ。ミーナは俺と代わってフライヤーのほうを頼む。俺は明日の仕込みに入るから」
明日はヘビースネークの残りの肉を照り焼きにして出そう、あとは斑芋のほうもメニューに載せたいから毒抜きだけでも済ませておかないとな。
騎士団のほうで運んでいる斑芋は領主様に渡すようだから使えないが、食堂内には大量の斑芋があるから毒抜きの時間が取れるなら積極的に使っていきたい。
とはいえ、パンは焼く予定だから粉ふきいもにするのもアレだな……。
フライドポテトかマッシュポテトか……。
そうだな、マッシュポテト、というか具無しのポテトサラダにするか。
本当は水瓜なんかを入れて食感を変えたいんだが、二十人分の水瓜は用意できない、というか水瓜は種でもらっただけでまだ植えてもいないから食糧庫にも冷蔵庫にも入っていないだよな。
マッシュポテトは基本的に牛乳を入れる料理なんだが、牛乳、というかミルクはまだ発見できてないし、マッシュポテトを牛乳なしで作るとポテトサラダとの違いがどれだけ芋を潰すかくらいしかないから、荒く潰しても許されるポテトサラダのほうがいいだろう。
あとは、パンやショートブレッドを作る時のためにバターを常温に戻しておくくらいか。
そういえば、夜飯の準備をしているときに気が付いたんだが昼に準備をして放置していた唐揚げ用のヘビースネークの肉や白根と緑菜のスープが食堂を消した時の状態だったんだ。
どういうことかというと、肉は漬けた時の状態で見つかって漬け具合が足りなかったから揚げるまでに三十分ほど放置する必要があったし、スープのほうは温度がそのままだったので温めなおす手間がなかった。
要するに、この食堂内は消した瞬間に時間が止まって出した瞬間に時間が進み始めるらしい。
ということは、肉を冷蔵庫に入れなくても食堂を消してしまえば腐ることはないということだ。
逆に言えば、パン生地なんかを出発前に大量に用意しておいても食堂を消してしまえば発酵はそこで止まるので、朝にパン生地を用意して昼に止まった時に焼く、といったことはできないらしい。
あと、変化が分からないのは畑の方だな。
こちらは変化が出るまで時間がかかるから、食堂を消している間に作物が成長しているのか、止まっているのかがわからない。
もし、畑の方も時間が止まっているのなら旅の最中は畑の作物が育たたないことになるから、拠点を移動する際には多めに野菜や肉を仕入れておかないとまずいことになるな。
6
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
異世界の片隅で引き篭りたい少女。
月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!
見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに
初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、
さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。
生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。
世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。
なのに世界が私を放っておいてくれない。
自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。
それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ!
己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。
※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。
ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。
男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる
暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。
授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる