料理を作って異世界改革

高坂ナツキ

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4章 聖王国

11 交渉

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「ふーん、これがブラックカウの乳で作ったスープ?」

「見てた通りだよ。小麦は種を畑に植えたから採れるとして、ラージキャロットとかの種も植えとかないとな」

「マサト兄ちゃん、食べてもいい?」

「そうだな。ホワイトシチューは冷めにくいけど、温かいうちに食べようか」

 初めて作った割には小麦粉もダマになってないし、上手くいった方だな。
 ミーナに任せればホワイトクリーム自体を作ってもダマにはならないだろうし、グラタンとかドリアに挑戦してみてもいいかもな。

「美味しいっ!」

「……何というか、普段のスープよりもとろっとしてる分、熱がこもりやすいんですね」

「そうそう、だから王国では結構微妙な料理になるんだけど、聖王国は王国よりも北側にあるからか冬は寒くなるし、ちょうどいいかなって」

 王国は四季がないというか、年中春、みたいな気候だったから特別熱い料理とか冷たい料理があんまり受けなかったんだよな。
 肉料理は冷めると固くなるから熱いうちに食べてたけど、パンとかスープみたいのは別に冷めててもいいじゃんって感じだったもんな。

「……へー、あの地面にまき散らされてたものがこんな味になるんだー……」

「ああ、そうそう。ミルク単体でも味わってくれよ、本当は加熱して殺菌した方がいいんだろうけど、そのままでも飲めるらしいからな」

 とりあえず、グラスに4人分ミルクを注ぐ。
 まあ、みんなが飲めなそうなら俺が飲むしかなくなるから量は少なめでいいかな。

「味とか匂いが独特だろうから、飲めなさそうなら残していいぞ」

 んー、加熱してないからかミルク単体の甘みが凄いな。
 これなら、王国で手に入れてきたフルーツと一緒にミキサーにかければ、砂糖なしでもフルーツ牛乳として扱えるな。

「……すごいおいしい……でも、なんだろう……懐かしいような……」

「マサト兄ちゃん、これそのままでも美味しいね!」

「これからも飲めるようになるんですか?」

「うーんどうだろうな。加熱殺菌して冷蔵庫に入れておけば一週間くらいは持つだろうけど、味は落ちるだろうな」

 家畜小屋自体は結構余ってるから、連れていこうと思えば連れていけるだろうけどストレスやなんやかんやでミルクが出るような状態で連れていけるかどうかは微妙だ。

「連れていくことは出来るんですか?」

「リリーが手伝ってくれれば連れていくのには問題ないよ」

 問題なのは家畜小屋に入れるまで……素直に入って快適だと思えば自然とミルクは出してくれるだろう……と、思いたい。

「……あの子たちを連れていきたいのー? いいよって言ってくれる子がいたら手伝うくらいはいいけどー」

「いいのか?」

 リリーはブラックカウをかなり大切にしていた、それこそ村の子供たち以上に。

「無理やり連れていくなら考えるけどー……あの子たちがいいよって言うなら止める権利は私にはないよー」

「そうか……いや、助かる」

「でも、どうやって連れていくのー?」

「その辺のことは付いていきたいっていうブラックカウが居たら話すよ」

 食堂内の客席ならともかく、裏庭畑はもちろん、調理スペースに入るにも契約が必要だからな。
 ブラックカウを連れていけるのならリリーにも契約してもらわないとな。
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