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5章 帝国
06 説得
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「……おいしいっ」
そうなんだよな。塩味のパスタがまずいってわけじゃないんだけど、醬油を使った和風パスタっていうのはそれとは別ベクトルの味なんだよな。
そーいや、聖王国でミルクが手に入ったからカルボナーラも作ってみたいんだよな……うーん、チーズがないと味気ないかな?
「マサト様、この味付けのためにわたくしの天職が必要なのですか?」
「いや、別になくても作ることは可能だと思うぞ。ただ、ミレーヌが手伝ってくれればかなり早い段階で完成度の高いものができるってことだな」
異界のレシピがあるし、食堂内には温度を一定に管理できる部屋もある。
だから時間さえかけて試行錯誤を重ねれば、醤油や味噌を作り出すのは可能なんだよな。
あとは、材料の調達と時間をかけて試行錯誤ができる環境があればいいという状況。
食べられるかどうか、成功したのか失敗して腐ったのかの判断も食材鑑定があれば難しくはないしな。
「……少し、考えさせてください」
「おう、作るとしても帝都に腰を据えて食材がそろったらになるから、いつでも大丈夫だぞ」
とりあえず、ミレーヌに手伝ってもらうには発酵食品の魅力を伝えるしかないんだよな。
夜は唐揚げにすることは決定なんで、こっちも塩味と醤油味の二種類を作っておくか。
「レイジ、食べ終わったらキラーバードの肉を一口大に切っておいてくれるか」
「夜ご飯の準備? わかったよ」
「ミーナは夜用のパン生地を作るのを手伝ってくれ」
「兵士の方に作り方を教えつつ作ればいいんですね?」
「そんなわけで、料理人の天職持ちの人たちはもう少し手伝ってください」
俺が声をかけるとみんないい声で返事をしてくれる。
おそらく上層部から料理を教えてもらえるのなら、積極的に教われとでも指示されているのだろう。
まあ、それ以前に天職はその人の性質に合ったものが多いから、料理を作ってみたら楽しかったっていうのもありそうだけどな。
料理人の天職を持っている兵士の中にはミレーヌやイーリスみたいに何かに特化した人はいなかったから、やっぱり特化型の天職持ちは珍しいんだろうな。
「マサト兄ちゃん、キラーバードのお肉はもも肉?」
「そうそう、夜は唐揚げにしようと思ってるから、もも肉を切っておいてくれ。俺も食べ終わったら漬ける液を作っておくからさ」
「味付けは二種類?」
「レイジが醤油味のパスタが食べられなかったからな。塩味のから揚げと醤油味の唐揚げにするよ」
「やったー」
「マサトさん、唐揚げの味付けにはタイガージンジャーとスターオニオンを使いますか?」
「いや、量が量だから食堂の調味料を使おう」
生姜の味がするタイガージンジャーとニンニク代わりになるスターオニオンは便利なんだが、種ができるまで成長させるのに時間がかかるからストックが微妙なんだよな。
それに比べて食堂内の調味料は神様のおかげか無限に使えるから、ありがたい。
「わたくしもここで見ていていいですか?」
「もちろんいいですよ。夜ご飯の準備が終わるまでは移動を待ってもらうわけですしね」
この辺は王国で最初に領都に向かった時と同じだな。
大人数で移動しながら食事を用意するのは難しいから、ある程度事前に下準備が必要になるんだよな。
「レイジ君は料理人の天職ではないんですよね?」
「そうだよ。僕の天職は剣士だってマサト兄ちゃんが言っていたよ」
「その割には包丁さばきが様になっていますね」
「何か作るときはよく手伝ってるからね」
「戦闘系の天職持ちは刃物に適性があるらしいからな。食材を切るのが上手なんだよ。まあ、それ以上にレイジが努力してるのが大きいけどな」
戦闘系の天職持ちの人に手伝ってもらうことは多いけど、獲物を切り出すのは得意だけど、枝肉になった後に細かく切るのは苦手っていう人は多かった。
天職自体は有用で便利なものだけど、努力で埋められないものではないということなんだろうな。
「マサトさん、パンのほうは夕ご飯用だけでいいんですか?」
「ああ、明日の分は夜飯を食べた後に改めて作ろう。……あ、でも途中で合流してくる人がいるかもしれないから少し多めに作っておいてもらえるか?」
「わかりました」
合流は明日の昼以降とは言っていたけど、近くにいた人が合流してくる可能性がゼロとは言えないしな。
余分に作っておけば適当に処理はできるけど、パンなんかは少なかったからと言って急に量を増やすことは出来ないからな。
「ああ、パンはミルクとバターを入れてふわふわ系にしようか」
「そうですね。聖王国で手に入れてから結構作っていたので大丈夫だと思います」
「んじゃあ、丸パン系と食パンの二種類用意しようか」
「はいっ」
多分、兵士の人たちは丸パン系のほうが食べ応えがあって良さそうだけど、唐揚げなら上に乗せられる食パンのほうが食べやすいかもしれないしな。
あと、明日以降は昼飯を食パンを使ったサンドイッチにするつもりだから、その練習も兼ねてって感じだな。
そうなんだよな。塩味のパスタがまずいってわけじゃないんだけど、醬油を使った和風パスタっていうのはそれとは別ベクトルの味なんだよな。
そーいや、聖王国でミルクが手に入ったからカルボナーラも作ってみたいんだよな……うーん、チーズがないと味気ないかな?
「マサト様、この味付けのためにわたくしの天職が必要なのですか?」
「いや、別になくても作ることは可能だと思うぞ。ただ、ミレーヌが手伝ってくれればかなり早い段階で完成度の高いものができるってことだな」
異界のレシピがあるし、食堂内には温度を一定に管理できる部屋もある。
だから時間さえかけて試行錯誤を重ねれば、醤油や味噌を作り出すのは可能なんだよな。
あとは、材料の調達と時間をかけて試行錯誤ができる環境があればいいという状況。
食べられるかどうか、成功したのか失敗して腐ったのかの判断も食材鑑定があれば難しくはないしな。
「……少し、考えさせてください」
「おう、作るとしても帝都に腰を据えて食材がそろったらになるから、いつでも大丈夫だぞ」
とりあえず、ミレーヌに手伝ってもらうには発酵食品の魅力を伝えるしかないんだよな。
夜は唐揚げにすることは決定なんで、こっちも塩味と醤油味の二種類を作っておくか。
「レイジ、食べ終わったらキラーバードの肉を一口大に切っておいてくれるか」
「夜ご飯の準備? わかったよ」
「ミーナは夜用のパン生地を作るのを手伝ってくれ」
「兵士の方に作り方を教えつつ作ればいいんですね?」
「そんなわけで、料理人の天職持ちの人たちはもう少し手伝ってください」
俺が声をかけるとみんないい声で返事をしてくれる。
おそらく上層部から料理を教えてもらえるのなら、積極的に教われとでも指示されているのだろう。
まあ、それ以前に天職はその人の性質に合ったものが多いから、料理を作ってみたら楽しかったっていうのもありそうだけどな。
料理人の天職を持っている兵士の中にはミレーヌやイーリスみたいに何かに特化した人はいなかったから、やっぱり特化型の天職持ちは珍しいんだろうな。
「マサト兄ちゃん、キラーバードのお肉はもも肉?」
「そうそう、夜は唐揚げにしようと思ってるから、もも肉を切っておいてくれ。俺も食べ終わったら漬ける液を作っておくからさ」
「味付けは二種類?」
「レイジが醤油味のパスタが食べられなかったからな。塩味のから揚げと醤油味の唐揚げにするよ」
「やったー」
「マサトさん、唐揚げの味付けにはタイガージンジャーとスターオニオンを使いますか?」
「いや、量が量だから食堂の調味料を使おう」
生姜の味がするタイガージンジャーとニンニク代わりになるスターオニオンは便利なんだが、種ができるまで成長させるのに時間がかかるからストックが微妙なんだよな。
それに比べて食堂内の調味料は神様のおかげか無限に使えるから、ありがたい。
「わたくしもここで見ていていいですか?」
「もちろんいいですよ。夜ご飯の準備が終わるまでは移動を待ってもらうわけですしね」
この辺は王国で最初に領都に向かった時と同じだな。
大人数で移動しながら食事を用意するのは難しいから、ある程度事前に下準備が必要になるんだよな。
「レイジ君は料理人の天職ではないんですよね?」
「そうだよ。僕の天職は剣士だってマサト兄ちゃんが言っていたよ」
「その割には包丁さばきが様になっていますね」
「何か作るときはよく手伝ってるからね」
「戦闘系の天職持ちは刃物に適性があるらしいからな。食材を切るのが上手なんだよ。まあ、それ以上にレイジが努力してるのが大きいけどな」
戦闘系の天職持ちの人に手伝ってもらうことは多いけど、獲物を切り出すのは得意だけど、枝肉になった後に細かく切るのは苦手っていう人は多かった。
天職自体は有用で便利なものだけど、努力で埋められないものではないということなんだろうな。
「マサトさん、パンのほうは夕ご飯用だけでいいんですか?」
「ああ、明日の分は夜飯を食べた後に改めて作ろう。……あ、でも途中で合流してくる人がいるかもしれないから少し多めに作っておいてもらえるか?」
「わかりました」
合流は明日の昼以降とは言っていたけど、近くにいた人が合流してくる可能性がゼロとは言えないしな。
余分に作っておけば適当に処理はできるけど、パンなんかは少なかったからと言って急に量を増やすことは出来ないからな。
「ああ、パンはミルクとバターを入れてふわふわ系にしようか」
「そうですね。聖王国で手に入れてから結構作っていたので大丈夫だと思います」
「んじゃあ、丸パン系と食パンの二種類用意しようか」
「はいっ」
多分、兵士の人たちは丸パン系のほうが食べ応えがあって良さそうだけど、唐揚げなら上に乗せられる食パンのほうが食べやすいかもしれないしな。
あと、明日以降は昼飯を食パンを使ったサンドイッチにするつもりだから、その練習も兼ねてって感じだな。
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