料理を作って異世界改革

高坂ナツキ

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5章 帝国

15 報告

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「マサトさん、どうでした?」

「ああ、グラタンとかに使えそうなのとか、米とか麦の主食系とかそこそこあったよ」

「マサト様、醤油や味噌の原料は?」

「あったけど、豆自体があったわけじゃないからまだ確定じゃないかな」

 ミーナは料理全般に使える食材を、ミレーヌは発酵食品に使える食材を求めてるのが両者の料理に関するスタンスの違いを表していて面白いな。
 結局、帝都近郊で見つかった植物に関してはリヒトに丸投げしてきたので、俺が食堂に持ち帰ってきたものは何もない。

「陛下に仔細をお尋ねしないといけませんね」

「農家の天職持ちの人にも協力してもらうって言ってたから時間がかかると思うぞ……レイジ、実物がそろったら帝都に作った畑に植えるらしいからその時には協力してやってくれるか?」

「兵士の人たちと狩りに行く時と被らなければいいよ」

 レイジには王国の時と同じように、魔獣や獣の狩りにも行ってもらってるからな、それと被った時には仕方がないだろう。

「作物だから植える時期もあるしな、リヒトには伝えておくから大丈夫だよ」

「でも、僕は農家の天職持ちでもないのにお手伝いになってるのかな?」

「天職は確かに有用だけど、蓄積してきた経験値もばかにはできないからな。料理だって別に天職を持ってなくてもレイジはそこそこできるだろ?」

 この世界に降り立って帝国で三か国目だが、やはりこの世界は天職ありきで回っている世界だ……まあ、その天職を有効に活用できているかって言うと現時点では微妙だが。
 とはいえ、長年蓄積した経験値が無駄かというとそうでもなく、肉体を鍛えれば戦闘系の天職持ちに関わらずきちんと筋肉はつくし、料理の練習をすれば天職持ちじゃなくてもそれなりの料理は作れるようになる。
 結局、天職は素のブースト、いわゆる才能なだけでそれだけで何もかもうまくいくというものでもないし、天職がなくても努力すれば何とかなるものなのだ。

「そうですね。わたくしもマサト様からいろいろな料理を習っていますけど、レイジさんほどには知りませんし」

「レイジとミーナは俺と一緒にずっと旅をしてきたからな」

 王国には王国でしか採れない、聖王国は聖王国でしか採れない食材があった。
 植物関係は食堂にほとんど植えてあるから、少数であれば確保できるが、やはり土地ごとの食材を使った方が制限がないので土地ごとに料理も移り変わってきている。
 だから、帝国にいるミレーヌに伝えられる料理はレイジやミーナに教えた料理の三分の一にも満たないんだよな。

「じゃあ、わたくしにも何か新料理を教えてください」

「新料理か」

 最近はパスタばかりを作ってたから、そろそろパンに合う料理でも作りたかったし、ちょうどいいかな。

「リヒトから牛はミルクを取るためにしばらくは確保したいって聞いてるから、豚を使って豚カツでも作るか」

「やった! じゃあ今日はパスタじゃないんだね」

「まあ、ここ最近パスタやシチューばっかりだったから流石に飽きてきただろ」

「種類がたくさんありますからわたくしは特に飽きてませんけど」

「僕はやっぱりたまにはお肉をガツンと食べたいかな」

「わたしはどちらでも」

 聞いてみればミレーヌやミーナはパスタでも特に問題なさそうだが、レイジや兵士の人たちはパスタよりも肉を食べたいようだ。
 まあ、この辺も食の多様化からくる好みの変化なんだろうな。

「まあ、俺もたまにはガツンと肉を食いたいし、パスタ系は新しい食材が入らないとこれ以上は難しいから今日は豚カツってことで」

 豚カツもサンドイッチの具材としては作ったことはあるが、米と合わせると別物になるからな。
 パンにはさむ以上、ある程度薄く作らないと食べにくいし……今回は食堂にいるメンバーには米で食べてもらって、帝城にいる人たちにはパンと合わせてもらうかな。
 リヒトあたりは文句を言いそうだが、食堂で栽培している分だと帝室全員分の米は厳しいからな。
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