異世界に転生したので錬金術師としてダラダラ過ごします

高坂ナツキ

文字の大きさ
28 / 46

028 なわとびも作る

しおりを挟む
 結局スライムボールは錬金術師協会の錬金術師が作ることになり、リバーシと五目並べのボードは木工師、五目並べの駒は石細工師が作ることで協会同士の交渉が済んだらしい。
 とりあえず師匠は自分の仕事が増えなかったことで、ご機嫌だ。

「そういえば、師匠。あの空地は結局どうなったんですか?」

「ああ、お父様に相談したら、子供が自由に遊べる広場に改装するって。昔に没落した貴族から買い取った土地らしいけど、公爵家には他にタウンハウスがあるから持て余してたらしいわ」

 は~、お金ってのはあるところにはあるんだなぁ。まさか土地を持て余すとは。

「子供達には伝えたんですか?」

「ええ、公爵家からの寄付ってことで、スライムボールもいくつか設置してあるから好きに遊んでいるんじゃない?」

「設置?」

「ええ、棚を設置して使い終わったら、そこに戻すように子供たちに伝えてあるわ」

「それって盗まれたりしません?」

 スライムボールは、そこまで高い商品にはならないと聞いているけれど、それでも遊びというか、一時の快楽を得るために盗もうと考える人は出てくるだろう。

「公爵家の家紋を入れてあるから、盗んだ人は公爵家の所有物を盗んだことになるのよ? 普通の盗人なら、そんなリスクの高いものは盗まないし、それでも盗む人は何をやっても盗むわ」

 師匠の生家である公爵家は、第一王子の婚約者を出せるほどの有力な家……そこの家紋が入っていれば、簡単には盗まれないか。

「じゃあ、みんなスライムボールで遊んでいるわけですね」

「まあね。ボールで遊ぶのが苦手な子は、カズの教えたマルバツゲームで遊んでるみたいよ」

 ははぁ、やっぱりボールで遊ぶのが苦手って子は、どうしても出てしまうんだなぁ。
 前の世界でも運動自体は好きだけど、球技は苦手って子は結構いたからな。

「うーん、それなら他の遊びも用意したほうが良いですかね?」

「また何か作る気?」

 ジロっと、師匠がこちらを睨みつけてくる。

「いやいや、何も特殊なものじゃないですよ。適当にナワでも置いておこうかなと」

「ナワ? ナワってあの紐をより合わせた?」

「そうですそうです。前の世界じゃ、なわとびって言って、自分の身長の二倍くらいのナワをもって跳んだり、もっと長いナワを使ってみんなで遊んだりしていたんですよ」

 大なわとびに使えるような長いものなら、簡単な綱引きとかにも使えるし、子供たちに与えれば適当に遊ぶだろう。

「ごめん、想像できない」

「あー、そうですよね」

 スライムボールもそうだが、概念のないものを教えるには実践が一番だ。
 幸いにもギルド内には作成した小型の魔導具を縛るための紐があるから、これで実践してみるか。

「この紐を少しもらいますね。……このくらいかな?」

 なわとびをする時みたいに、中心を足で押さえながら僕の身長に合うように紐を調整して切る。
 流石にギルド内でなわとびをやるのは危険なので、師匠と一緒に外の一目が少ない場所に移動する。

「さ、やってみて」

「はいはい。こんな感じで普通に跳んだり……一回跳ぶ間に二回、腕を回したり……腕を交差させて跳んだり」

 適当になわとびの技を披露しながら、師匠に説明をする。
 とはいえ、なわとびなんて小学生? 中学生か? 以来なのでまともに跳べるわけでもないし、技もそこまで知らないけれど。

「ふーん? 楽しい?」

「一人でやる分には運動って感じで楽しくないですけど、何人かでこれができる、これができないってワイワイやれば楽しいんじゃないですか?」

 前の世界でも授業でやらされている時は楽しめなかったが、休み時間に友達と一緒にやっていた時には楽しかったものだ。

「材料はナワだけ?」

「今は紐なんで簡単に持てますけど、ナワだと持ちづらいので木とかで持ち手を作ったほうが良いですね」

「まあ、まずはナワを買ってきて、試作品ね。カズ、買い物に行くわよ」

「はい、師匠。完成したら、広場にいる子供たちに遊んでもらって、感触が良かったら大量生産のために協会へ相談ですね」

「はあ、また協会から文句言われそう」

 そのまま、師匠と一緒に雑貨屋にてナワを購入、ギルドに戻って子供たちの身長に合うように何種類かの長さに切って、錬金術で作った木の持ち手と、これまた錬金術で合成。
 いや~、前の世界だったら絶対に作れないもので、錬金術を利用すると簡単に作れるってのは気分が良いな。

「長いやつには持ち手を付けなくていいの?」

「こっちは一緒に遊ぶ人数によって持つところが変わるので、このままでいいと思います」

 もしかしたら綱引きに使うかもしれないし、大なわとび用の方は下手に持ち手を付けないほうが良いだろう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした

茜カナコ
ファンタジー
魔法使いよりも錬金術士の方が少ない世界。 貴族は生まれつき魔力を持っていることが多いが錬金術を使えるものは、ほとんどいない。 母も魔力が弱く、父から「できそこないの妻」と馬鹿にされ、こき使われている。 バレット男爵家の三男として生まれた僕は、魔力がなく、家でおちこぼれとしてぞんざいに扱われている。 しかし、僕には錬金術の才能があることに気づき、この家を出ると決めた。

悪役令嬢の身代わりで追放された侍女、北の地で才能を開花させ「氷の公爵」を溶かす

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の罪は、万死に値する!」 公爵令嬢アリアンヌの罪をすべて被せられ、侍女リリアは婚約破棄の茶番劇のスケープゴートにされた。 忠誠を尽くした主人に裏切られ、誰にも信じてもらえず王都を追放される彼女に手を差し伸べたのは、彼女を最も蔑んでいたはずの「氷の公爵」クロードだった。 「君が犯人でないことは、最初から分かっていた」 冷徹な仮面の裏に隠された真実と、予想外の庇護。 彼の領地で、リリアは内に秘めた驚くべき才能を開花させていく。 一方、有能な「影」を失った王太子と悪役令嬢は、自滅の道を転がり落ちていく。 これは、地味な侍女が全てを覆し、世界一の愛を手に入れる、痛快な逆転シンデレラストーリー。

ダンジョンがある現代社会に転生したので、前世を有効活用しようと思います

竹桜
ファンタジー
 ダンジョンがある現代社会に転生した。  その世界では探索者という職業が人気だったが、主人公には興味がない。  故に前世の記憶を有効活用し、好きに生きていく。  

1つだけ何でも望んで良いと言われたので、即答で答えました

竹桜
ファンタジー
 誰にでもある憧れを抱いていた男は最後にただ見捨てられないというだけで人助けをした。  その結果、男は神らしき存在に何でも1つだけ望んでから異世界に転生することになったのだ。  男は即答で答え、異世界で竜騎兵となる。   自らの憧れを叶える為に。

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!

悪徳領主の息子に転生しました

アルト
ファンタジー
 悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。  領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。  そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。 「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」  こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。  一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。  これなんて無理ゲー??

没落貴族と拾われ娘の成り上がり生活

アイアイ式パイルドライバー
ファンタジー
 名家の生まれなうえに将来を有望視され、若くして領主となったカイエン・ガリエンド。彼は飢饉の際に王侯貴族よりも民衆を優先したために田舎の開拓村へ左遷されてしまう。  妻は彼の元を去り、一族からは勘当も同然の扱いを受け、王からは見捨てられ、生きる希望を失ったカイエンはある日、浅黒い肌の赤ん坊を拾った。  貴族の彼は赤子など育てた事などなく、しかも左遷された彼に乳母を雇う余裕もない。  しかし、心優しい村人たちの協力で何とか子育てと領主仕事をこなす事にカイエンは成功し、おまけにカイエンは開拓村にて子育てを手伝ってくれた村娘のリーリルと結婚までしてしまう。  小さな開拓村で幸せな生活を手に入れたカイエンであるが、この幸せはカイエンに迫る困難と成り上がりの始まりに過ぎなかった。

処理中です...