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「転入生が女の子で、その子が隣に引っ越してきた。……これだけを見たら喜ぶことはあっても嫌がることはないよな……」
諒真は自室のクローゼットに制服をかけながらひとりごちる。諒真自身、咲良に対する悪感情というものはなかった。確かに昨日はズタボロにはされたが、それは訓練を行う上で必須のようなものだったので恨みはない。それどころか、新しく手に入れた能力に対していろいろ教えてくれた咲良に対しては感謝の念が絶えない。
「……能力…………能力か」
ふと、一昨日の夜からの一連の流れが夢だったのではないかという疑念がむくむくとわいてきた諒真は教わった通りに能力を発動しようと試みる。
「スイッチをイメージして、それを……オンにする」
昨日教わった通りに能力の発動を開始する。イメージしたスイッチは昨日と全く同じブレーカーのように大きくて力強い。そのスイッチをバチンと切り替えたとたん体がカッと熱くなり次の瞬間には諒真の右腕は異形のソレへと変貌していた。もちろん昨日感じたように右腕が変化してしまったことへの違和感はない。
「やっぱり、夢なんかじゃ……ない……よな」
ゆっくりと一つ一つ確かめるように手のひらを握りこんだり離したりしてみるがカチャカチャと硬質感のある音が響き渡るだけで夢から醒める気配等はもちろんない。変化のない左手で触ってみるも人と同じ体温を持つソレは鉄のような硬さと触ったことも無いような肌触りが感じられる。
「いつまでも現実逃避をしてても仕方ない……か」
教わった通りに能力の解除をして現実へと帰っていく。夕食の準備はもちろん今日の授業で出た宿題にまだ読み終わっていない本もある。能力を得たと言ってもその使い道がなければ、優先順位は実生活の方が上である。
普通の高校生ならば待っていれば親が食事を作ってくれるし、洗濯や風呂掃除もやってくれるだろう。しかし、父親を亡くし母親もイギリスに移り住んでいる諒真にとってはすべては自分一人で行わなければならないものだった。もちろん、既にこんな生活を始めてから一年以上が立っている現在ではそれは日常と化していて考えなくても最適な順番で行えるルーチンワークのようなものだった。
「俺はすでに慣れたものだけど、芦沢さんは平気かな?」
独り言が多くなるのも一人暮らしの弊害だろうか、諒真は隣の部屋にいるであろう少女のことを思い呟く。諒真自身、最初の頃には数々の失敗を経験していたからこそ出てきた言葉だったのかもしれない。
そんな風に咲良のことを考えていたからだろうか、不意にチャイムが鳴り響いたのは。
「こんな時間に来客……か。珍しいな」
稀に新聞や宗教の勧誘などが来ることがあってもそのほとんどは休日か祝日の昼間に来る。また、宅配便なども考えられるがこの家の住所を知っていて荷物を送ってくるような人物は諒真の母親くらいしかいないので配達日も諒真の学校の無い日に指定しているはずである。
訝しみながらもインターホンの画面を覗くとそこには先ほど別れたばかりの咲良が映っていた。
「えっと、芦沢さん? どうかした?」
モニター越しに諒真が話すとそれまで所在なさげにしていた咲良は沈痛な面持ちを見せた。
「えっと、諒真さん。先ほど別れたばかりで申し訳ないんですけど少し相談させていただいてもいいですか?」
咲良の見せる悲痛な表情に焦りを覚え、諒真は慌てて玄関の扉を開ける。
「どうしたの、芦沢さん。なにか問題でも起きたの?」
「えっと、ここではなんですから中に入れてもらってもいいですか?」
「あ、うん……そうだね、こんな所じゃ話しづらいこともあるよね」
諒真は、どうぞと言って咲良を家の中へと案内する。もちろん自室にいきなり入れるわけにもいかないので案内するのはリビングだ。
学校に行っていない土日には必ず掃除洗濯などをまとめて行ってしまうのでリビングが散らかって誰も入れないという状況にはない。ただ、それでも年頃の、それも出会ったばかりの少女を自宅に招くにあたって諒真は些かばかりの緊張をしていた。
「えっと……ですね。非常に伝えにくいことなんですが……」
咲良はいかにも話しづらいといった雰囲気を醸しながらも諒真に一言一言説明をしていく。
「…………お風呂を……貸していただけませんか……?」
「…………え?」
お風呂、何かの隠語だろうか、などと諒真が考えていると咲良が顔を真っ赤にしながら叫ぶ。
「だから、お風呂ですよっ! うちの所長が入居の手続きをしたみたいなのですが、ガスの開通工事を忘れていたみたいでお湯が全くでないんですよ」
「……?…………あ、ああっ、お風呂か。お風呂ね」
顔を真っ赤にする咲良に迫られてようやく諒真の咲良の言っていることを理解する。
確かに一人暮らしの少女がお湯もなしに一晩を過ごすことは難しいだろう。このマンションはオール電化にはなっていないはずだから、普通のガステーブルを設置していれば料理をするのも難しいし、風呂に入るのなんて夢のまた夢だろう。
田舎でも都会でもないよくあるベッドタウンに建っているこのマンションの周辺には昔ながらの銭湯も温泉が用意されているSPAなんてものもない。
「そうです、お風呂です。最悪、料理の方は外で食べるか買ってくれば問題ないんですけどお風呂はどうにもならないんですっ! 転校して次の日にお風呂にも入らずに登校するのは避けたいんですっ」
「う、うん、そうだよね。女の子がお風呂に入らずに一日を終わらせるなんてできないよね。わかるよ」
正確には周りにいる女子がそう言っているのをよく聞く程度なのだが、諒真はさも咲良の言い分は理解できるという風に話をまとめた。
もちろんそれは、咲良の勢いに押されたということもあるが、それよりもなによりもそう言わなければ咲良が泣き出しそうだったからである。
普段、彩夏と一緒になって重吾をからかっている諒真ではあっても流石に出会ったばかりの女の子に泣かれたのではバツが悪い。
「そうなんです。私はこう見えても綺麗好きですからお風呂に入らないと一日が終わった気になれないんです。……それをあの所長が肝心なところで手続きを適当にするから」
諒真の理解が得られたからか、咲良はぶつぶつとブライアンへの恨み言を吐き始める。
「えっと、まあ要するに敵が襲ってきたとか、研究所の方で何か問題が起きたとかではないんだよね?」
「……あっ、はい。そんなことはありませんよ? ……まあ、ただ研究所では所長に天罰が落ちていればいいと願うところではありますけどね」
「っていうことは、玄関先でのあの表情はお風呂を借りる気恥ずかしさとブライアンさんへの恨みから来ていたってことか」
確かに年頃の少女が出会って数日の同い年の少年のところに風呂を借りに来るのは相当に恥ずかしい行為なのだろう。
「……私、そんなひどい顔してました?」
「気づいてなかった? 俺はまたてっきり研究所の方にでも敵が襲ってきたのかと思ったよ」
「うう、恥ずかしいです……」
自分の表情からそこまでの機器を感じ取っていた諒真の言葉を聞いて思わず恥ずかしがる咲良。
「あっ、ということは芦沢さんは今日の夕食も用意できないんだよね」
「はい。でも、食材を仕入れていないのでガスが使えたとしても食事は外で済ませたでしょうけど」
「それなら、夕食もウチで食べれば? 別に一人分も二人分も大して手間は変わらないし」
「いえいえ、そこまでお世話になるわけにはいきませんよ」
パタパタと手を振って諒真の誘いを断る咲良。
「遠慮することはないよ、芦沢さんは引っ越してきたばかりだし。困ったときはお互い様だからさ」
そう言いつつ、諒真はキッチンの方に移動して冷蔵庫の中をあさっている。既に咲良と夕食を食べることは諒真の中では確定事項なのか家にある食材で何が造れるかを思案している。
「だ、だったら、私もお手伝いします」
「そう? それは助かるけど、ちなみに芦沢さんは料理の経験は?」
「……ありません」
「じゃあ、今日のところは俺一人で作ろうかな」
「い、言い訳をさせてください。研究所では専用の食堂で食事をとるので自分で料理を作る機会がなかっただけなんです」
「うん、だから料理の経験はないんだよね?」
「で、ですから、きっとやってみればそれはもう上手に料理できると思うんですよ」
「うん、大体料理をしたことない人はそういう風によくわからない自信を持っていたりするけど、その自信はまやかしだから早めに捨てといた方がいいよ」
「……うう」
諒真の心無い一言によって、咲良は先ほどと同じかそれ以上に顔を真っ赤にさせて恥ずかしがる。
「まあ、家庭科の授業には調理実習もあるから時間がある時にでも軽く基礎を教えるくらいはするよ? でも、シゲも彩夏も全くと言っていいほど料理ができないしそんなに恥ずかしがることないって」
「彩夏さんとシゲさんも……ですか?」
「そうそう、二人とも得意料理はカップ麺だとかお茶漬けだとか平然とした顔で言い放つような奴だからね。それよりも、芦沢さんは何か食べられないものとかある?」
「あっ、いえ。アレルギーも好き嫌いもありません。子供の頃は日本に住んでいたので納豆も生魚も大丈夫です」
「そっか、それじゃあ今日のところはから揚げとサラダにでもしようかな」
諒真はそう呟きながら既に下準備の済んでいる鶏肉を冷蔵庫から取り出す。
放課後に屋上で話していたのと、二人で話しながら帰宅したことですでに夕飯の準備に入ってもおかしくない時間帯になっていた。
「でしたら、ここで諒真さんのことを見ていてもいいですか?」
「見てて面白いものでもないと思うけど、芦沢さんがそれでいいなら別に構わないよ」
諒真は言いつつエプロンをつけると調理の準備に入った。
とは言っても、ご飯は既に炊けているしから揚げの方も下準備は済んでいて、あとは粉を付けた後に油で揚げるだけだ。もちろん、サラダには特別な準備など必要なく野菜を適当に切って盛り付け、市販のドレッシングを出すだけだ。
諒真は自室のクローゼットに制服をかけながらひとりごちる。諒真自身、咲良に対する悪感情というものはなかった。確かに昨日はズタボロにはされたが、それは訓練を行う上で必須のようなものだったので恨みはない。それどころか、新しく手に入れた能力に対していろいろ教えてくれた咲良に対しては感謝の念が絶えない。
「……能力…………能力か」
ふと、一昨日の夜からの一連の流れが夢だったのではないかという疑念がむくむくとわいてきた諒真は教わった通りに能力を発動しようと試みる。
「スイッチをイメージして、それを……オンにする」
昨日教わった通りに能力の発動を開始する。イメージしたスイッチは昨日と全く同じブレーカーのように大きくて力強い。そのスイッチをバチンと切り替えたとたん体がカッと熱くなり次の瞬間には諒真の右腕は異形のソレへと変貌していた。もちろん昨日感じたように右腕が変化してしまったことへの違和感はない。
「やっぱり、夢なんかじゃ……ない……よな」
ゆっくりと一つ一つ確かめるように手のひらを握りこんだり離したりしてみるがカチャカチャと硬質感のある音が響き渡るだけで夢から醒める気配等はもちろんない。変化のない左手で触ってみるも人と同じ体温を持つソレは鉄のような硬さと触ったことも無いような肌触りが感じられる。
「いつまでも現実逃避をしてても仕方ない……か」
教わった通りに能力の解除をして現実へと帰っていく。夕食の準備はもちろん今日の授業で出た宿題にまだ読み終わっていない本もある。能力を得たと言ってもその使い道がなければ、優先順位は実生活の方が上である。
普通の高校生ならば待っていれば親が食事を作ってくれるし、洗濯や風呂掃除もやってくれるだろう。しかし、父親を亡くし母親もイギリスに移り住んでいる諒真にとってはすべては自分一人で行わなければならないものだった。もちろん、既にこんな生活を始めてから一年以上が立っている現在ではそれは日常と化していて考えなくても最適な順番で行えるルーチンワークのようなものだった。
「俺はすでに慣れたものだけど、芦沢さんは平気かな?」
独り言が多くなるのも一人暮らしの弊害だろうか、諒真は隣の部屋にいるであろう少女のことを思い呟く。諒真自身、最初の頃には数々の失敗を経験していたからこそ出てきた言葉だったのかもしれない。
そんな風に咲良のことを考えていたからだろうか、不意にチャイムが鳴り響いたのは。
「こんな時間に来客……か。珍しいな」
稀に新聞や宗教の勧誘などが来ることがあってもそのほとんどは休日か祝日の昼間に来る。また、宅配便なども考えられるがこの家の住所を知っていて荷物を送ってくるような人物は諒真の母親くらいしかいないので配達日も諒真の学校の無い日に指定しているはずである。
訝しみながらもインターホンの画面を覗くとそこには先ほど別れたばかりの咲良が映っていた。
「えっと、芦沢さん? どうかした?」
モニター越しに諒真が話すとそれまで所在なさげにしていた咲良は沈痛な面持ちを見せた。
「えっと、諒真さん。先ほど別れたばかりで申し訳ないんですけど少し相談させていただいてもいいですか?」
咲良の見せる悲痛な表情に焦りを覚え、諒真は慌てて玄関の扉を開ける。
「どうしたの、芦沢さん。なにか問題でも起きたの?」
「えっと、ここではなんですから中に入れてもらってもいいですか?」
「あ、うん……そうだね、こんな所じゃ話しづらいこともあるよね」
諒真は、どうぞと言って咲良を家の中へと案内する。もちろん自室にいきなり入れるわけにもいかないので案内するのはリビングだ。
学校に行っていない土日には必ず掃除洗濯などをまとめて行ってしまうのでリビングが散らかって誰も入れないという状況にはない。ただ、それでも年頃の、それも出会ったばかりの少女を自宅に招くにあたって諒真は些かばかりの緊張をしていた。
「えっと……ですね。非常に伝えにくいことなんですが……」
咲良はいかにも話しづらいといった雰囲気を醸しながらも諒真に一言一言説明をしていく。
「…………お風呂を……貸していただけませんか……?」
「…………え?」
お風呂、何かの隠語だろうか、などと諒真が考えていると咲良が顔を真っ赤にしながら叫ぶ。
「だから、お風呂ですよっ! うちの所長が入居の手続きをしたみたいなのですが、ガスの開通工事を忘れていたみたいでお湯が全くでないんですよ」
「……?…………あ、ああっ、お風呂か。お風呂ね」
顔を真っ赤にする咲良に迫られてようやく諒真の咲良の言っていることを理解する。
確かに一人暮らしの少女がお湯もなしに一晩を過ごすことは難しいだろう。このマンションはオール電化にはなっていないはずだから、普通のガステーブルを設置していれば料理をするのも難しいし、風呂に入るのなんて夢のまた夢だろう。
田舎でも都会でもないよくあるベッドタウンに建っているこのマンションの周辺には昔ながらの銭湯も温泉が用意されているSPAなんてものもない。
「そうです、お風呂です。最悪、料理の方は外で食べるか買ってくれば問題ないんですけどお風呂はどうにもならないんですっ! 転校して次の日にお風呂にも入らずに登校するのは避けたいんですっ」
「う、うん、そうだよね。女の子がお風呂に入らずに一日を終わらせるなんてできないよね。わかるよ」
正確には周りにいる女子がそう言っているのをよく聞く程度なのだが、諒真はさも咲良の言い分は理解できるという風に話をまとめた。
もちろんそれは、咲良の勢いに押されたということもあるが、それよりもなによりもそう言わなければ咲良が泣き出しそうだったからである。
普段、彩夏と一緒になって重吾をからかっている諒真ではあっても流石に出会ったばかりの女の子に泣かれたのではバツが悪い。
「そうなんです。私はこう見えても綺麗好きですからお風呂に入らないと一日が終わった気になれないんです。……それをあの所長が肝心なところで手続きを適当にするから」
諒真の理解が得られたからか、咲良はぶつぶつとブライアンへの恨み言を吐き始める。
「えっと、まあ要するに敵が襲ってきたとか、研究所の方で何か問題が起きたとかではないんだよね?」
「……あっ、はい。そんなことはありませんよ? ……まあ、ただ研究所では所長に天罰が落ちていればいいと願うところではありますけどね」
「っていうことは、玄関先でのあの表情はお風呂を借りる気恥ずかしさとブライアンさんへの恨みから来ていたってことか」
確かに年頃の少女が出会って数日の同い年の少年のところに風呂を借りに来るのは相当に恥ずかしい行為なのだろう。
「……私、そんなひどい顔してました?」
「気づいてなかった? 俺はまたてっきり研究所の方にでも敵が襲ってきたのかと思ったよ」
「うう、恥ずかしいです……」
自分の表情からそこまでの機器を感じ取っていた諒真の言葉を聞いて思わず恥ずかしがる咲良。
「あっ、ということは芦沢さんは今日の夕食も用意できないんだよね」
「はい。でも、食材を仕入れていないのでガスが使えたとしても食事は外で済ませたでしょうけど」
「それなら、夕食もウチで食べれば? 別に一人分も二人分も大して手間は変わらないし」
「いえいえ、そこまでお世話になるわけにはいきませんよ」
パタパタと手を振って諒真の誘いを断る咲良。
「遠慮することはないよ、芦沢さんは引っ越してきたばかりだし。困ったときはお互い様だからさ」
そう言いつつ、諒真はキッチンの方に移動して冷蔵庫の中をあさっている。既に咲良と夕食を食べることは諒真の中では確定事項なのか家にある食材で何が造れるかを思案している。
「だ、だったら、私もお手伝いします」
「そう? それは助かるけど、ちなみに芦沢さんは料理の経験は?」
「……ありません」
「じゃあ、今日のところは俺一人で作ろうかな」
「い、言い訳をさせてください。研究所では専用の食堂で食事をとるので自分で料理を作る機会がなかっただけなんです」
「うん、だから料理の経験はないんだよね?」
「で、ですから、きっとやってみればそれはもう上手に料理できると思うんですよ」
「うん、大体料理をしたことない人はそういう風によくわからない自信を持っていたりするけど、その自信はまやかしだから早めに捨てといた方がいいよ」
「……うう」
諒真の心無い一言によって、咲良は先ほどと同じかそれ以上に顔を真っ赤にさせて恥ずかしがる。
「まあ、家庭科の授業には調理実習もあるから時間がある時にでも軽く基礎を教えるくらいはするよ? でも、シゲも彩夏も全くと言っていいほど料理ができないしそんなに恥ずかしがることないって」
「彩夏さんとシゲさんも……ですか?」
「そうそう、二人とも得意料理はカップ麺だとかお茶漬けだとか平然とした顔で言い放つような奴だからね。それよりも、芦沢さんは何か食べられないものとかある?」
「あっ、いえ。アレルギーも好き嫌いもありません。子供の頃は日本に住んでいたので納豆も生魚も大丈夫です」
「そっか、それじゃあ今日のところはから揚げとサラダにでもしようかな」
諒真はそう呟きながら既に下準備の済んでいる鶏肉を冷蔵庫から取り出す。
放課後に屋上で話していたのと、二人で話しながら帰宅したことですでに夕飯の準備に入ってもおかしくない時間帯になっていた。
「でしたら、ここで諒真さんのことを見ていてもいいですか?」
「見てて面白いものでもないと思うけど、芦沢さんがそれでいいなら別に構わないよ」
諒真は言いつつエプロンをつけると調理の準備に入った。
とは言っても、ご飯は既に炊けているしから揚げの方も下準備は済んでいて、あとは粉を付けた後に油で揚げるだけだ。もちろん、サラダには特別な準備など必要なく野菜を適当に切って盛り付け、市販のドレッシングを出すだけだ。
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