ブルー・クレセンツ・ノート

キクイチ

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シャノニアン・エクスプロージョン

THE QUEEN OF HEART#1

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────アユミ(ヒューマノイド、アストレア近郊改造ヒューマノイド隔離区画、ブリューエル=アウス=レディット)


 改造ヒューマノイド向けの隔離区画に着いたが、空はよく見えてとても開放感があった。
 バベッジ学派のシールド技術を利用して空を見える様にしてくれたらしい。
 隔離施設というので牢獄の様なものを想像したが、アストレアのちょっとした心遣いが嬉しかった。

 この区画内には特別展望台なる塔があって、シールドの天井部ギリギリのところで、隔離区画の周囲を一望できるようになっていた。

 すでに隊は解散され全員が民間人扱いになっており、武器は接収されたが、センサー類は残されていた。私は、倉庫に積み上げられていた光学センサーをもって、特別展望台の最上階まで登った。

 ブリューエル=アウス=レディットになる者は、戦闘バカしかおらず、隊が解散したショックから大半が酒場に入り浸っている状況だ。それ以外の者はなぜかひたすら筋トレを行なっている。アキラくんは筋トレ組だった。

 そのおかげで特別展望台の最上階は、私の貸切だった。

 すでに夜になっていたので、全天を一望できる特別展望台の最上階はまさに絶景だ。

 この世界に来て初めて、感動を覚えた。

 何気なく、外の様子を見たかっただけなのに、戦闘中に見ていたはずのこの星空がこんなに美しかったなんて思いもよらなかった。

 ずーっと、アキラくんの背中ばかり追いかけるのに必死で、生き抜くのに必死で、それ以外なにもみえていなかったのだと気付かされた。

 気がついたら、涙が溢れていた。 
 涙が止まらなくなって、しばらくの間、嗚咽おえつした。



 ようやく気持ちが落ち着いて来た。
  
 私は、大きなソファーに寄りかかり、満天の星空を体全身で浴びた。

 この安堵感は、アキラくんに受け入れてもらった時よりも、人生で感じたどの瞬間よりも愛おしく思えた。

 これが、平穏なのか。

 わたしはこの幸福を思いっきり噛み締めた。


 私は光学センサーを装備し、周辺の様子を眺めて見た。

 他の隔離施設にも同様に特別展望台が備わっていた。
 アストレアは空をみることをとても大切にしているのかもしれない。

 まだ、新種族たちは来ていないため、アストレア近郊の隔離施設の特別展望台には誰もいなかった。

 センサーをアストレア内に向けて見た。
 外壁で、内部はほとんど見えないが、場所的にヒューマノイドの隔離施設のあるあたりから伸びている特別展望台の様子を見ることができた。

 ……。

 なんだ、このカップル率。ちょとムカつく。いあ、かなりムカつく。
 武器があったらあそこに打ち込んでやりたい……。

 たくさんのカップルがより沿って夜空を眺めていた。
 人目を憚《はばか》らず、濃厚なキスをしているカップルも少なからずいた。
 

 そうだ、アキラくんを呼ぼう。

 右手で通信機を操作しようとしたが、もうそんなものはなかった。

 ああ、通信機、もうなかったんだっけ。
 明日誘えばいいや。どうせ時間はあるんだし。

 せっかくいい気分でいたのに、ヒューマノイド区画のカップルのせいで台無しだよ。と思いつつも、なぜか気になり、光学センサーを向けてしまった。


 本当にみんな幸せそうな顔してる。
 うらやましいな。

 そのなかに、古風な天体望遠鏡をつかって天体観測をしているカップルをみつけた。

 なんでそんなショボい天体望遠鏡なんかつかってるんだろ?

 もっと性能のいいセンサーなんていくらでもあるのにね。

 双眼鏡だって、その程度の天体望遠鏡よりずっと性能いいじゃない。
 なにが楽しいのかな?このカップル。

 でも、このカップル、たぶんそこにいるカップルのなかで、一番幸せそうな顔してる。よっぽど仲いいんだろうな。美男美女でお似合いだし、日の打ちどころのないむつまじさだね。

 いいなー、わたしもアキラくんとそんな顔して夜空を眺めたいなー。


 よし、きめた、明日は絶対アキラくんとここにこよう。

 筋トレ馬鹿でも、この夜空の美しさは理解できるはずだ。

 もし、理解できなかったら、アキラくんとの今後は、ちょっと考えるかもしれない。

 やばい、一途な私が、あのカップルの幸せそうな顔を見ただけで、アキラくんへの愛を疑うなんて……。

 でも、それくらい、綺麗な星空なんだよね。

 初めてこの世界にきてよかったと思った。

 根拠はないけど生きる希望が見えて来た気がした。

 明日も晴れるといいな。
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