ブルー・クレセンツ・ノート

キクイチ

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シャノニアン・エクスプロージョン

THE QUEEN OF HEART#2

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────ミヅキ(アストレア近郊 孵化用隔離区画 電脳空間内、ダイバー)



「多分、私、男の子じゃないと思う」

 皆んなの小説の品評会を通じて、私は確信した。

「えー? でもミヅキはちょっと3人とちがうとおもうよ?」
 ハルカが反対した。

「うん、頼り甲斐あるし、落ち着いてるし、4人のなかで一番男の子ぽい」
 ミユキも同調した。

「……」
 ユキヒロは、まだ自分は男の子のつもりらしく同調は控えたようだ。
 でも、たぶん、心の中ではミユキ達と同意見だとおもう。


 私は話を続けた。
「あのね、やっぱり、皆んなを同性に感じるのよ。
 なんというか、4人のなかで一番男の子ぽく感じるだろうな、とは私もおもうけど、単に性格がそんな感じになっただけで、体は女子だとおもう」

「性格?」
 ユキヒロが元気なさげに言った。
 ちょっと、かわいそうなこと言っちゃったかな?
 でも、もう私にはユキヒロを男子とは思えない。
 自作小説の品評会を始めてからかなりの日数が経過したが、すでに男の子の言葉を使う女の子にしか感じられなくなってしまったのだ。
 それは他の二人も同意見だろう。

「気持ちの変化が少なくなってるだけなのかなーておもう。
 それ以外は、みんなと違う気がしないの」

「そういうのって男性化したからなんじゃないの?」
 ユキヒロは食い下がる。自分だけ性別が変わったのは認めたくないみたいだ。

「ユキヒロはどうしても私を男性化したことにしたいわけ?」

「いあ……そうじゃないけど、ミヅキはやっぱり男っぽいかんじするし……今もちょっと怖い感じだし……」
 ユキヒロは、妙におどおどしながら返答する。
 私に怯えている感じだ。

「あ、ごめん。ちょっときつく言いすぎたかも。でも、感情が表に出にくくなっただけで、視点はみんなと一緒なんだもの。男性に感情移入はできないよ」


「うーん……男の子役の似合う女子になったとか?」
 ハルカは考え込みながらそう言った。


「男の子役の似合う女子か! あーそうかもー!
 そうだよきっと!
 ユキヒロは完全女子確定だけど、ミヅキはなんか違う気してたのよねー。
 ハルカ、ナイス表現! 小説はダメダメだけどね」
 ミユキがハルカに同調した。

「えー、私の小説サイコーじゃん! なにがだめなの?」

「「「エグいところ!」」」

「……ぅ」
 ハルカは少し傷心気味のようだ。
 でも、本当だから仕方ない。

「ユキヒロはやっぱり私のこと男子だとおもう?」

「確かに言われてみると、そんな感じもする。女の子っぽい華やかさは残ってるしね。でも、どうしてそうなったのか、だよね?」
 ようやくユキヒロも納得してくれたようだ。

「私たちってどんな目的で改造されてるのかな?
 ただの趣味ってわけじゃなくて目的がないとここまで大掛かりな実験なんてできないよね?」
 ミユキが疑問を投げかける。
 
 ユキヒロは何かに気づいたようだ。
「あー、そうか。それだねきっと。多分、戦闘用じゃないかな?
 だと、ミヅキの感情の変化が少なくなったのも理解できるかも」

「どういうこと?」

「戦闘用ってことは喜怒哀楽に振り回されてパニクってたら冷静な判断できずに死んじゃう可能性があるでしょ? だから、脳の機能を変化させて、感情の変化が少なくなるようになったのかもね?」

「なら私たちは、どうして普通なの?」
 ハルカが質問する。

「んー、多分だけど、後方支援とかで、前線向きには設計されていないからじゃない?」

「つまり、ミヅキだけは、前線向きで、私たち3名は後方支援向きってこと?
 そうかもね。それなら、すこし、納得できる。ミユキは納得できない?」
 ハルカが話をまとめてくれた。

「正直、理由については、あまり気にしてない」
 マイペースなミユキらしい返答が帰ってきた。

「ミユキが、質問したんだよね?」
 ユキヒロはいつもミユキに振り回されっぱなしだ。

「いいじゃんべつに、これで、4人とも女子だって確定したんだし!」

「俺はまだ未確定だろ!」

「「「確定済み!」」」

「……」
 ユキヒロも傷心気味だ。彼なりの最後の抵抗なのだろう。
 でも、品評会で他の二人と一緒にヒロインに感情移入して泣きまくってたら誰が見ても女子確定だよ。
 最近は、隠れないでハルカやミユキと一緒に泣くようになったけど、その様子をみても完全に女の子だ。

「じゃぁ、次からの小説は女性向けの泣ける小説ってことでいいかな?」
 ハルカはすこし復活した感じだ。

「ハルカ」

「なに? ミヅキ」

「言いづらいんだけど、ハルカのBLはNGにしてもらっていい?
 エグすぎて泣ける気しないよ、ごめんね」

「……」
 ハルカが固まった。
 ちょっと悪いことしたかな?

 ミユキが気まずい空気を壊してくれた。
「じゃぁ、次回作に取り掛かろっか。ハルカはBL、NGで。
 あ、そうだ、ミヅキも自分が泣けそうな小説書きなよ。
 私、泣きながら書いてる時あるよ?
 きっと効果あるかもよ?」

「そっか、それなら、やってみようかな?」

「それにさ、仕事をミヅキにまかせて小説かいてるだけなのに、よく私たち3人もミヅキと一緒に深いところまですすめるよね?
 もーさ、小説の品評会してる方が、先に進みそうじゃない?
 ミヅキが仕事を4倍やってるのに、みんな深度大差ないでしょ?

 しばらく、仕事放置して試してみよっか?」

 これは、もしかしたらアップリフト技術に関する新発見なのかもしれない……。

 
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