ブルー・クレセンツ・ノート

キクイチ

文字の大きさ
87 / 259
ラグ=ナ=ローク

DAS RHEiNGOLD#3

しおりを挟む
────ミヅキ(アシダカ種、ルーノ族)


 ルフィリアさんの指導で、特殊発声という普通の発生とは異なる発声の練習をすることになった。

 正直なところ特殊発声というものが何なのかすらわからない。

 ミユキ、ハルカ、ユキリンはすぐに発声できるようになったが、私だけはうまくできなかった。

 困ったルフィリアさんは、3人に予定時間まで練習を継続するように伝えると、私をククリさんの部屋へつれていってくれた。


「失礼しますね。ククリさん。今よろしいですか?」

「うん。大丈夫だよ。ミヅキも一緒だね。困りごとかい?」

「そうなのです、ミヅキだけうまく発声できないのです」

「……ミヅキ、教えてもらった通りに発声してみてくれる?」

「はい」

「<特殊発声:……………>」

「うん。もういいよ」

「何かわかりました?」

「彼女、軸数おいね。ルガルの特殊発声の軸数よりおおい。しかも位相軸の種類がまるで違う」

「そういうことだったのですか。設計資料の更新ミスですかね……」

「その可能性大だね。イレギュラーってレベルじゃないからね。他にアシダカ種で孵化した子はいるの?」

「いえ、この子達、先輩追い抜いてしまったので、次の子が孵化するのはまだ一ヶ月くらい先になるとおもいます」

「そっか。アシダカ種は後期に設計された新種族みたいだから、かなり高性能になってるみたい。でもデネブは、特殊言語のこと考えずに、とにかく性能を上げまくったのだろうね」

「でもどうすれば?」

「私の知覚範囲だから、なんとかできるとおもう。休暇はいつ?」

「1週間後です」

「じゃ、それまでこの子だけ、練習時間になったら私の部屋に来るようにしてくれる?」

「わかりました。私はどちらに付き添えば?」

「あとで、詳細資料渡すから、3人の面倒をみてあげて」

「はい。では、今からお願いしてしまってもよろしいのでしょうか?」

「うん。そうしてもらえると、こちらもありがたい」

「では、ミヅキ、明日からここにきてね」

「はい」

「では、ククリさん、失礼しました。ミヅキがんばってね」

「おつかれさま」

 ルフィリアさんは行ってしまった。


 ……


 ククリさんは、お茶を入れてくれた。

「テーブル低くてごめんね、しゃがんでもらうとちょうどいいかも。辛くない?」

「ちょうどいいです。それにいつもこうやって休んでます」

「ならよかった。ちょっと待ってね。連絡済ませちゃうから」

「はい」

「ティフォーニア? 今大丈夫?
 うちのアシダカの娘だけど、ルガルの特殊発声よりも軸が多くて、種類がまるで違うんだ。
 この子向けの対応はできるのだけれど、つぎの子に応用できるかわからない。
 つぎのアシダカの子は早くても一ヶ月後だってさ。
 この子だけ、特別扱いするからね。
 ほかの3名は、すでに特殊発声できるようになって、訓練をはじめてる。
 同じペース育てたい。
 資料はいま送った。
 かなりちがうでしょ?
 デネブは、特殊言語をなにも考えずに性能あげることだけに夢中だったみたいだね。
 そこは大丈夫。私の知覚範囲に収まってるから対応できるよ。
 でも、応用はできないと思ってね。
 次の子どうする?
 同じだったらどうにかなるけど、さらに違っていたら全て面倒なんか見切れないよ? 一番人気だって聞いてるけど? 個体数が多いのでしょ?
 ミヅキが指導できるように育てろって? 互換性が確認できない以上は無理だとしか言えないよ。
 固有言語は一緒のはずだから、それが確定できれば汎用性を持たせられるけど、この子、最初の発声がすでに特別だから、今、この子の将来性を潰したくない。
 ミヅキはうちの娘だからね。アストレアのアシダカ種とは別に扱わせてもらう。
 そちらのアシダカ種は、ある程度個体数が揃ってから固有言語の調査にはいるね。
 とりあえず、デネブに資料が違う理由聞いてみてくれる? 
 でも、ミヅキは私のやり方で育てるから。
 もちろんデータは提供するけど、応用は効かないと思ったほうがいい。
 他の3人の娘は、大丈夫。うん。じゃ、よろしく。

 もしもし、ルシーニア? 今大丈夫?
 データ送るから、確認しておいて。
 ティフォーニアとの会話も一緒におくる。うん、よろしくね」

「ミヅキ、ごめんね、もうちょとゆっくりしててね。
 そこの端末はお客さん用だから、好きに触ってもらっていいよ」

「はい、お気遣いすみません」

「お茶のお代わりはそこにあるから、ご自由に。遠慮しないでね。もう家族なのだから」
 ほんとに気さくな人だな、ククリさんは。

「はい、ありがとうございます」
 変に気を使っても失礼なので、お茶のお代わりをいれて、端末を開いた。


 ……


「おまたせ、もう一回発声してくれる? 声は小さくていいから、できるだけながーくね」

「はい」

「<特殊発声:・・・・・・・・・・・・&@・・・*・・*・・・&あーーーーーー>」

「ストップ。それじゃ、もう一回」

「<特殊発声:あーーーーーー>」

「OK」

「発声できました。ありがとうございます」

「いえいえ。たまたま私が対応できる範囲だっただけだよ。本当にデネブの研究バカにも困ったものだ。とりあえず、君だけは今日から私の弟子になってもらうことにしたから、創作活動大変かもしれないけど、それ以外の時間はこの部屋にきてね。もちろん休憩時間と就寝はご自由にどうぞ」

「はい。よろしくお願いします。
 その……私だけ、変だったのでしょうか?」

「いあ、よくあることだよ。でも才能の目を潰されるのが大半。面倒をみられる人材が限られているからね。決まった枠に矯正されちゃうのさ。
 当面は、君しかアシダカ種がいない以上は、才能を潰すのはもったいないからね。
なので変とはおもわずに素敵な個性と思うべきだよ」

「はい、ありがとうございます、これからよろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくね。ルフィリアに連絡しておくね。ゆっくりしていていいよ」

「はい」

「あ、ルフィリア? ミヅキは発声できたよ。データとティフォーニアとの会話送っておくから確認してね。それと、ミヅキだけは今日から私の弟子にするから。そうだね、特殊すぎて今のルフィリアだと持て余す感じだね。情報共有はするから、しっかり勉強しておいて。あと、ほかの3名の言語体系がまとまったから一緒に送っておく、それを使って訓練させてね。あと詳細の技術資料もつけておいたから、つぎから自分で移植出来るようにしておいてね。
 ルナディアとルカティアを使ってくれても構わないけれど、二人の指導は君がしてね。ひどくない。エッチでもない! でないと大切な4人娘がアストレアに没収されちゃうよ? いきなり物分りが良くなったね? あはは。じゃ、よろしく

 おまたせ、じゃ、訓練をはじめようか」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

冷遇された聖女の結末

菜花
恋愛
異世界を救う聖女だと冷遇された毛利ラナ。けれど魔力慣らしの旅に出た途端に豹変する同行者達。彼らは同行者の一人のセレスティアを称えラナを貶める。知り合いもいない世界で心がすり減っていくラナ。彼女の迎える結末は――。 本編にプラスしていくつかのifルートがある長編。 カクヨムにも同じ作品を投稿しています。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

道化たちの末路

希臘楽園
ファンタジー
母亡き後、継承権もない父と愛人母娘が公爵家を狙い始めた。でも私には王太子という切り札がいる。半年間、道化たちが踊るのを、私たちは静かに楽しんで見ていた。AIに書かせてみた第3弾。今回も3000文字程度のお気楽な作品です。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした

黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)

処理中です...