ブルー・クレセンツ・ノート

キクイチ

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ラグ=ナ=ローク

VÖLUSPÁ

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────ルフィリア(人狼ルガルルーノ種、英知の湖ミーミル守人もりと、ニダヴェリール宮廷第一補佐官)


 ククリさんの試合が終わってからというもの、ロクシーさまは、時間を見つけてはククリさんの部屋にいますね。
 しっかり結界まで張っちゃって、中で何してるかバレバレじゃないですかー。

 うっかり部屋の中に入ってみたくてしかたありません。

 でも、ククリさんが無事でよかったです。肉体的には重症ですけど。

 あれだけの怪我をたくさん作ったら、すこし触られただけでも痛くて堪らないはずなのに、どうして普通にしていられるのでしょう?
 質問したくて仕方ありませんが、ククリさんの辛い過去に絡んでいそうですからやめておいた方がよいのかな?

 
 しかし、ロクシーさまが張った結界は、どうやって破ればよいのでしょうか?

 近寄るだけででビリビリしますね。
 透過の法術式でもためしてみましょうか?
 すごい! この結界、法術式を察知して崩壊させてくる!
 和声干渉するにも複雑すぎて知覚しきれないし……。

 もしかしたら、ククリさんならこの結界を突破できるかもしれませんね。
 あとで教えてもらいましょう。

 そういえばククリさん、試合の時、普通の法術式は一切使いませんでしたね。
 あれ、いったいなんなのでしょう?
 きっとチートですよね。
 それも、しっかり問いただしましょう。

 このさい、洗いざらい、性壁も含めて全て教えていただくことにしましょうか。

 まだかなー……。
 
 どんなことしてるのかなー……。

「ルフィリア、そんなところでしゃがんで何してるの?」

「あ、ロクシー様!
 もちろん結界をうっかり破る方法を考えているに決まっているではありませんか」

「……用事はすんだから、いって大丈夫よ」

 ロクシーさまは結界を解くと執務室に向かった。

「ククリさん、失礼しまーす」

「いらっしゃい」

「最近は、昼間もラブラブですねー」

「うん、ご褒美を要求したんだ、当分はこんな感じだねー」

「そうですか。ところで、ロクシー様の結界、うっかり解く方法とかご存知ありませんか?」

「うーん、そうだねー、教えてもいいけど、何くれる?」

「セクハラをやめてあげますよ」

「おお! それは素晴らしい取引だね」

「でしょ? ぜひおしえてください」

「言う通りにやってごらん。結界の前で、服を脱ぎます。そのつぎに……」

「セクハラはやめてください! もぅ、セクハラ強化確定ですね」

「冗談だよ、普通の方法じゃ無理」

「ククリさんなら、うっかり突破できるのです?」

「バレずに突破はむりだろうね」

「バレてもいいですよ。うっかりですし。服を脱がないで済むやつを教えてくださいね」

「生命の基礎法術はどこまで理解してる?」

「あの一番難しい奴ですよね? まったく手も足も出ません、発声すらできません」

「じゃぁ、高階法術理論とか、法術関手は?」

「そんなのありました?」

「高次元法術理論の一部だよ」

「あー、さらにわからない奴ですね。放置状態です。どうにもなりません……」

「免許皆伝もまだ先だね」

「新種族の言語体系の整備で手一杯ですよ。ロクシーさまとエッチなことしてないで、助けてください」

「私のご褒美を取り上げないで。妹たちは役に立ってる?」

「私より、さらに使えない状況ですね。懸命に勉強しているみたいですが、最近は夢にまで出てきてうなされるそうです」

「とりあえず、前に進めているなら、現状維持でいいよ。急がせるつもりはないから。むしろ今回のことで腹が立ってるから、遅らせてくれてもかまわない」

「そうとうご立腹ですね」

「怒るべき時には怒らないとまた同じことされるからね、これも仕事のうちだよ」

「……たしかに」

「じゃ、今の仕事後回しにして、生命の基礎法術か高次元法術理論に手をつけてみる?」

「……あ、そうです忘れていましたー。怪我の具合確認させてくださいねー」

「話をそらしてきたね」

「まず、服を脱いでくださいね!」

「セクハラはやめてね」

「するに決まってるじゃありませんかー。
 いつも、どこを攻められているのでしょうか?
 今日こそは白状してください」

「早く検査すませちゃってー」

「やっぱり、痛みを切り離す訓練をさせられていたのですか?」

「いあ、そんなことしたら、知覚が鈍るでしょ?
 殺してくださいっていってるようなものだよ?」

「じゃぁ、痛いの我慢してるだけ?」

「うん。それが一番簡単だしね」

「ほんとに呆れた方ですね。えいっ!」

「なにしてるの?」

「あれ? 飛び上がるほどいたくなかったですか?」

「痛いにきまってるでしょ! 怪我人に変なことしないでよ!」

「ククリさん、出産の時も平然としてましたよね?」

「痛かったよ! あと、あの体勢は恥ずかしくて仕方なかったね。
 産んだ後は嬉しかったけど」

「生理痛に悩んでるって話も全然しませんよね?」

「異常がなければ、我慢すればいいだけでしょ?
 悩む程のことではないよ、生活の一部だし」


 ……


「そういえば、復元希望者と転生希望者、なにか変化あった?」

 ククリさんは、あの試合を観戦したヒューマノイドの反応が気になっているようだ。

「はい、あの映像は衝撃だったみたいですね」

「よかった。どんな感じになったの?」

「復元希望者が大量に増えましたね。あと転生を見送る人も大量に増えました」

「ヒューマノイドを選んだってこと?」

「性別が変わってでもヒューマノイドとして暮らして、考える時間を確保したいって人がほとんどでした。『もしかしたらもっと強力な新種族が開発されて転生できるかも』って考えている人も少しだけいましたね」

「そっか、その先の選択を知りたいのだけどね。
 もっとも是弱な種族がどんな選択をするかってことをさ」

「そんなにヒューマノイドにご興味ありましたっけ?」

「ううん。ルガルの将来を先に見られるような気がしているだけだよ」

「たしかに、そうですよね。完全言語が当たり前の時代になったら、ルガルは用済みになっちゃうでしょうね、なんだか寂しいですね……」

「ヒューマノイドは、短命で是弱な分、知的生命体の縮図みたいな存在だから、興味深いね。ティフォーニアが低次元世界を観察しているのもわかる気がする」

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