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第二王子・クリス視点
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はぁ、やっと第一王子支持層の貴族どもを片付けることができた。あいつら、愚兄を操り人形にして、戦争を引き起こそうとしやがって。これ以上問題を積み上げられてたまるものか。
「荒れてるな。クリス」
「アレンか。どうした、また報告か?」
「ああ、お前に朗報を持ってきたぞ」
「朗報?やめてくれ、何か嫌な予感がする」
アレンはすぐに厄介ごとを俺に持ってくる。必要なことだとわかっているし、しなければ酷くなることがわかっていることなので断りづらいのがタチが悪い。
「そうか、フィーに関することだったのだがな。お前が聞きたくないというのであれば、仕方がない。今日は帰るとしよう」
「まあ、待て。お茶でも飲んでゆっくりしていってくれないか」
「手のひら返がすごいな。そんなに気になるか?」
「当たり前だ」
フィーア姉様に何かあったのなら、アレンがこんなに悠長にしているわけがない。そのことは安心できるのだが、僕に対して朗報というのが怖い。もしかして、婚約者が決まったとかか。
「これ以上焦らしたら、悪い方に進みそうだな。お前もフィーももう少し顔に見えるのをなんとかしろよ。考えていることがだだ漏れだぞ。まあ、他のことに関してはできているのは知っているが…」
「それはいい。それで、フィーア姉様に何かあったのか?」
「ああ、お前のことを思い出したぞ」
「ああ、それはよかった。……待て、本当かそれは!」
我慢できずにアレンに掴みかかる。
「俺がこの手のことで嘘をついたことがあるか?お前が努力しているのがわかったから手助けしてやったんだぞ。感謝しろ」
フィーア姉様が思い出した。僕のことを。こんな、こんな嬉しいことはない。
「泣くなよ。王になるんだろう。これぐらいのことで泣くな」
「うるさい!今ぐらいは許せよ!十年だぞ。名前を呼ばれなくなって、十年、ずっと我慢してきたんだ」
「フィーがお前のことを思っているかどうかもわからないのに、名前を呼ばれるだけでこれか。先が思いやられるな」
「うるさいなぁ!いいだろ。今だけなんだから」
こいつの前だけは泣きたくなかったのに、涙が止まらない。拭ってもすぐに溢れてしまう。
「それで、あの貴族どもを黙らせることができたのか?」
「ああ、もう終わりだ。商人との繋がりはお前が証拠を見つけてくれたし、貴族同士の繋がりはあいつが見つけてくれた」
「そうか。なら心配することはもうないのか?」
「そう…だな。あとは父上があの愚兄をどうするかを判断するだけだ」
「操られていただけだと庇うか、問題を起こしたとして罰するか、か…」
「ああ、だが、そんな穏便に済ませるつもりはない」
「そのためのあいつか」
彼女には愚兄を突き落とすために近づいてもらったんだ。もう二度とフィーア姉様に悲しい思いをさせてたまるか。
「まあいい。せいぜいフィーに嫌われないようにするんだな」
「…わかってる」
たとえ嫌われてしまっても、あの愚兄だけは許せない。この気持ちも十年間ずっと持っているんだから。
「荒れてるな。クリス」
「アレンか。どうした、また報告か?」
「ああ、お前に朗報を持ってきたぞ」
「朗報?やめてくれ、何か嫌な予感がする」
アレンはすぐに厄介ごとを俺に持ってくる。必要なことだとわかっているし、しなければ酷くなることがわかっていることなので断りづらいのがタチが悪い。
「そうか、フィーに関することだったのだがな。お前が聞きたくないというのであれば、仕方がない。今日は帰るとしよう」
「まあ、待て。お茶でも飲んでゆっくりしていってくれないか」
「手のひら返がすごいな。そんなに気になるか?」
「当たり前だ」
フィーア姉様に何かあったのなら、アレンがこんなに悠長にしているわけがない。そのことは安心できるのだが、僕に対して朗報というのが怖い。もしかして、婚約者が決まったとかか。
「これ以上焦らしたら、悪い方に進みそうだな。お前もフィーももう少し顔に見えるのをなんとかしろよ。考えていることがだだ漏れだぞ。まあ、他のことに関してはできているのは知っているが…」
「それはいい。それで、フィーア姉様に何かあったのか?」
「ああ、お前のことを思い出したぞ」
「ああ、それはよかった。……待て、本当かそれは!」
我慢できずにアレンに掴みかかる。
「俺がこの手のことで嘘をついたことがあるか?お前が努力しているのがわかったから手助けしてやったんだぞ。感謝しろ」
フィーア姉様が思い出した。僕のことを。こんな、こんな嬉しいことはない。
「泣くなよ。王になるんだろう。これぐらいのことで泣くな」
「うるさい!今ぐらいは許せよ!十年だぞ。名前を呼ばれなくなって、十年、ずっと我慢してきたんだ」
「フィーがお前のことを思っているかどうかもわからないのに、名前を呼ばれるだけでこれか。先が思いやられるな」
「うるさいなぁ!いいだろ。今だけなんだから」
こいつの前だけは泣きたくなかったのに、涙が止まらない。拭ってもすぐに溢れてしまう。
「それで、あの貴族どもを黙らせることができたのか?」
「ああ、もう終わりだ。商人との繋がりはお前が証拠を見つけてくれたし、貴族同士の繋がりはあいつが見つけてくれた」
「そうか。なら心配することはもうないのか?」
「そう…だな。あとは父上があの愚兄をどうするかを判断するだけだ」
「操られていただけだと庇うか、問題を起こしたとして罰するか、か…」
「ああ、だが、そんな穏便に済ませるつもりはない」
「そのためのあいつか」
彼女には愚兄を突き落とすために近づいてもらったんだ。もう二度とフィーア姉様に悲しい思いをさせてたまるか。
「まあいい。せいぜいフィーに嫌われないようにするんだな」
「…わかってる」
たとえ嫌われてしまっても、あの愚兄だけは許せない。この気持ちも十年間ずっと持っているんだから。
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