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学園・・・その前に
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高位貴族にとって、学園とは勉強をする以上に将来の交友関係を築く場である。もっとも、学力が備わっていればの話だが。
アレがいるという時点でリリアは学園生活に期待をしていなかった。交友を築くにしてもアレの存在は邪魔になるのは必須であるし、そもそも公爵令嬢であるリリアは多くの者からすれば高嶺の花である。
期待してはいなかった。でも少しぐらいは……。そんなリリアの気持ちを早々にして打ち砕かれることになった。
学園について早々絡まれることになるなんて思いませんでした。それもご令嬢ではなく、この学園で一番位が高く、私が知る最も愚かな者に。
「おいっ! 私の婚約者だからといって大きな態度にでるんじゃないぞ。俺はお前の事が嫌いなんだ。こうやって話しかけてもらえたことだけでもありがたいと思え!」
まだ学園の校門をくぐってすらないのに、門の真ん中に仁王立ちをしながら叫ぶ男。無視できばいいのですが、そんなことはできるはずがないので立ち止まる。
こんな迷惑な場所で朝から……、初日ぐらい大人しくできないんでしょうか? できないんですね。はぁ……。
「そんなに私の事が嫌いなのであれば婚約破棄すればいいじゃないですか」
「なにっ!?」
ティアが私の心の奥底に秘めていることを話させるので、最近では家で秘密にしている事はなくなった。その弊害がここで出るなんて……。
ですが、私が言い返すと思っていなかったのか、目の前の男は驚いたような顔をしています。
――何をそんなに驚くのかしら? こんなことされて我慢している方がバカじゃない。私だってあなたなんかと会いたくなんてないわよ
私のそんな心情をよそに、周りで様子を見ていたご令嬢たちは興味津々でこちらを見ている。もしかしたら自分が婚約者になれるかもしれない。そう思っているのでしょうか?
ええ、代わってくださいまし。私には必要ありませんわ。
「お前……何を言っているのかわかっているのか!?」
ワナワナと震える目の前の男。怒っているのでしょうか? 自分はあんなことを言っているくせに? 本当に自分勝手な男ですね。
「聞こえなかったのですか? 私が嫌いなら婚約破棄すればいいでしょう? 私だってこんな婚約話嫌なんですから。王族の命令だから仕方ないんですよ。ですからあなたが破棄してくれたらいいじゃないですか」
「お前……! そうか、そんなことを言って俺の気を引くつもりだろう。そうはいくか! やっぱりお前は最低な奴だな。私の気を引きたいからと言って悪知恵を働かして本当に醜いな」
何故かニヤニヤと勝ち誇ったように私を見る男。言葉が通じない。相手はこの国一番の教育を幼少から受けているはずなのに……
どうして私がコレの気を引くためになっているのでしょうか? 理解ができません。
「ふんっ、俺はお前ほど暇じゃない。いいかっ! 決して俺の婚約者だと言いふらさないことだ。わかったな!」
言いたいことだけを言って学園に入っていく愚か者の後ろ姿を見ながら、私はボーとしてしまう。
「じゃあさっさと破棄してくれたらいいじゃない」
小さな声で呟いたつもりの言葉は思っていたよりも大きかったらしく、周りのご令嬢たちは婚約者の私がアレと不仲な事に歓喜している。
「お父様に報告しなければ!」
「あなた! 急いでこの件を父に伝えなさい!」
少し遠くの方でそんな声が聞こえたような気がする。
――アレの何がいいのでしょうか? 私にはさっぱり良さというものがわかりません。それに……
アレが好きなのは妹のティアです。言い寄った所で頷くとは思えません。
それを私のせいにされるのが今からでも分かりきっているので、とても憂鬱な気持ちになる。
――はぁ……。帰ってすぐにティアを抱きしめて癒されたい。
今すぐに回れ右をして帰りたい気持ちを律して、学園の門をくぐる。
「3年間の我慢、我慢……」そう繰り返し呟きながらリリアは歩き始めた。
アレがいるという時点でリリアは学園生活に期待をしていなかった。交友を築くにしてもアレの存在は邪魔になるのは必須であるし、そもそも公爵令嬢であるリリアは多くの者からすれば高嶺の花である。
期待してはいなかった。でも少しぐらいは……。そんなリリアの気持ちを早々にして打ち砕かれることになった。
学園について早々絡まれることになるなんて思いませんでした。それもご令嬢ではなく、この学園で一番位が高く、私が知る最も愚かな者に。
「おいっ! 私の婚約者だからといって大きな態度にでるんじゃないぞ。俺はお前の事が嫌いなんだ。こうやって話しかけてもらえたことだけでもありがたいと思え!」
まだ学園の校門をくぐってすらないのに、門の真ん中に仁王立ちをしながら叫ぶ男。無視できばいいのですが、そんなことはできるはずがないので立ち止まる。
こんな迷惑な場所で朝から……、初日ぐらい大人しくできないんでしょうか? できないんですね。はぁ……。
「そんなに私の事が嫌いなのであれば婚約破棄すればいいじゃないですか」
「なにっ!?」
ティアが私の心の奥底に秘めていることを話させるので、最近では家で秘密にしている事はなくなった。その弊害がここで出るなんて……。
ですが、私が言い返すと思っていなかったのか、目の前の男は驚いたような顔をしています。
――何をそんなに驚くのかしら? こんなことされて我慢している方がバカじゃない。私だってあなたなんかと会いたくなんてないわよ
私のそんな心情をよそに、周りで様子を見ていたご令嬢たちは興味津々でこちらを見ている。もしかしたら自分が婚約者になれるかもしれない。そう思っているのでしょうか?
ええ、代わってくださいまし。私には必要ありませんわ。
「お前……何を言っているのかわかっているのか!?」
ワナワナと震える目の前の男。怒っているのでしょうか? 自分はあんなことを言っているくせに? 本当に自分勝手な男ですね。
「聞こえなかったのですか? 私が嫌いなら婚約破棄すればいいでしょう? 私だってこんな婚約話嫌なんですから。王族の命令だから仕方ないんですよ。ですからあなたが破棄してくれたらいいじゃないですか」
「お前……! そうか、そんなことを言って俺の気を引くつもりだろう。そうはいくか! やっぱりお前は最低な奴だな。私の気を引きたいからと言って悪知恵を働かして本当に醜いな」
何故かニヤニヤと勝ち誇ったように私を見る男。言葉が通じない。相手はこの国一番の教育を幼少から受けているはずなのに……
どうして私がコレの気を引くためになっているのでしょうか? 理解ができません。
「ふんっ、俺はお前ほど暇じゃない。いいかっ! 決して俺の婚約者だと言いふらさないことだ。わかったな!」
言いたいことだけを言って学園に入っていく愚か者の後ろ姿を見ながら、私はボーとしてしまう。
「じゃあさっさと破棄してくれたらいいじゃない」
小さな声で呟いたつもりの言葉は思っていたよりも大きかったらしく、周りのご令嬢たちは婚約者の私がアレと不仲な事に歓喜している。
「お父様に報告しなければ!」
「あなた! 急いでこの件を父に伝えなさい!」
少し遠くの方でそんな声が聞こえたような気がする。
――アレの何がいいのでしょうか? 私にはさっぱり良さというものがわかりません。それに……
アレが好きなのは妹のティアです。言い寄った所で頷くとは思えません。
それを私のせいにされるのが今からでも分かりきっているので、とても憂鬱な気持ちになる。
――はぁ……。帰ってすぐにティアを抱きしめて癒されたい。
今すぐに回れ右をして帰りたい気持ちを律して、学園の門をくぐる。
「3年間の我慢、我慢……」そう繰り返し呟きながらリリアは歩き始めた。
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