【完結】シスコン妹は大好きな姉のために、婚約破棄に奔走する

白キツネ

文字の大きさ
54 / 55

ありがとう

しおりを挟む
 パーティーを終え、部屋に戻っていると、コンコンと扉をノックする音が聞こえる。
 扉を開けると、そこにはティアが枕を抱えて寝巻き姿でいた。どうやら今日は私の部屋で寝るらしい。

「いいよ、いらっしゃい」
 
 いつまで経っても小さい頃のままだなと思いながらも、部屋に入る許可を出すと満面の笑みを浮かべて部屋に入ってくる。

「やった~」

 ティアが入ってきても特に変わった事はない。2人で話し込むこともあるし、ティアが私のベッドに入って満足するだけの時もある。

 ティアを部屋に招き入れた後、私は勉強机に戻る。
 
「もしかして、勉強中でしたか?」
「別に大丈夫よ。それで、今日はどうしたの?」
「……お姉様が難しい顔をしていたから気になって」
「……本当に、ティアは私のことをよく見てるね。レオ兄様に言われたことがちょっとね」

 自分に素直に……でも私の選択肢には多くの人が関わってくる。だから慎重にならないと……

「お姉様?」
「ごめんなさい。ティアのお陰でずっとないと思ってた自由が得られて少し困惑しているの。今まで言われたことだけをやって来たから余計に……」

 自分で選ぶ難しさを実感している。今までは自分のことを考える余裕もなかったから。

 ティアがいなければ、私はずっと諦めていたと思う。アレと結婚して、国のために働く。どれだけ邪険にされても、どれだけ罵倒されても、どれだけ邪魔をされても、国を無くさないために私は必死に働いていただろう。

 誰にも、何も伝えないまま、一人きりで全てをこなしていただろう。

 ティアのお陰で自分の弱さを知った。味方の心強さを知った。家族の温かさを知った。

 ふふっ、こう考えてみると私、ティアに貰ってばかりね。

 持っていたペンを机に置き、開いていたノートを閉じる。そのまま、ベッドの上で座っているティアを押し倒し、抱きついた。

「お、お姉様!」

 ティアがここまで驚いた顔をしているのを見るのは初めてかもしれない。私より綺麗で可愛い女の子。私のこと以上に私のことを知っている不思議な子。
 私はティアのことをそれほど知ることができているのだろうか? 私のことが大好きで、時々私物を盗む女の子。最近はアンだけじゃなくてメイドたち全員に監視されるほど大胆に忍び込むようになった子。私の服を着ては何故か喜んでクルクル回る少女。

 私が知っているティアは私に関わる事ばっかり。どれだけ自分のことしか考えていなかったのかが丸わかりになってしまう。それでも――

「お、お姉様……?」

 抱きついたまま何も言わない私に、ティアが困ったような声をあげる。

「……ティア」
「は、はい!」
「ありがとう」

 言葉では言い切れないほどの感謝を。もしこれからティアの身に危険が及ぶならば、私は全てを投げ出してでもティアの元に駆けつけよう。

「私はお姉様がどんな選択をしたとしても、お姉様の側に居続けます。なんと言われようとも、これから先もずっと私がお姉様の一番の味方ですからね」
「ありがとう。でもティアはドルン様との関係を考えて行かないといけないでしょう?」
「うっ……、お姉様の1番の味方ですからね!」
「……まったく、私と同じように誤魔化していたらダメよ。ティアはティアの幸せのために考えなさい」
「……はーい」

 いつまでも一緒にいたいけど、そうもいかないのはお互いにわかってる。姉妹だとしても立場が出てくるとそれはより顕著になってくる。
 それに――

 ティアがドルン様のことを少なからず思っているのはわかる。他の人とは全然態度が違うから私でもわかった。たぶん、ティアの1番がそう遠くない内に変わるだろう。

 ティアの頭を撫でると、嬉しそうに笑顔を浮かべ、もっととせがむように頭をぐりぐりと押し付けてくる。こんな風に甘えて来るのが私以外になるというのはやはり寂しく感じる。
 
 だから今この時を、1日1日を大切に過ごして行きたい。そう思った。

「ありがとうね、ティア」

 幸せそうに眠るティアに、私はもう一度感謝の言葉を述べた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【番外編も完結】で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?

Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。 簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。 一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。 ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。 そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。 オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。 オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。 「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」 「はい?」 ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。 *--*--* 覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾ ★2/17 番外編を投稿することになりました。→完結しました! ★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓ このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。 第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」 第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」 第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」 どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ もしよかったら宜しくお願いしますね!

身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~

湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。 「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」 夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。 公爵である夫とから啖呵を切られたが。 翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。 地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。 「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。 一度、言った言葉を撤回するのは難しい。 そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。 徐々に距離を詰めていきましょう。 全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。 第二章から口説きまくり。 第四章で完結です。 第五章に番外編を追加しました。

美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ

さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。 絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。 荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。 優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。 華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。

手作りお菓子をゴミ箱に捨てられた私は、自棄を起こしてとんでもない相手と婚約したのですが、私も含めたみんな変になっていたようです

珠宮さくら
恋愛
アンゼリカ・クリットの生まれた国には、不思議な習慣があった。だから、アンゼリカは必死になって頑張って馴染もうとした。 でも、アンゼリカではそれが難しすぎた。それでも、頑張り続けた結果、みんなに喜ばれる才能を開花させたはずなのにどうにもおかしな方向に突き進むことになった。 加えて好きになった人が最低野郎だとわかり、自棄を起こして婚約した子息も最低だったりとアンゼリカの周りは、最悪が溢れていたようだ。

悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~

咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」 卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。 しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。 ​「これで好きな料理が作れる!」 ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。 冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!? ​レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。 「君の料理なしでは生きられない」 「一生そばにいてくれ」 と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……? ​一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです! ​美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!

「わざわざ始まるまでまたないで、今のうちに手を打ったってよくない?」

イチイ アキラ
恋愛
アスター公爵令嬢エステルは、夢をみる。それは先を映す夢。 ある日、夢をみた。 この国の未来を。 それをアルフレッド王太子に相談する。彼女を愛して止まない婚約者に。 彼は言う。 愛する君とぼくの国のためなら、未来を変えるのも仕方なくない?

物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜

丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。 与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。 専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、 失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。 そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、 セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。 「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」 彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、 彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。 嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、 広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、 独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。 栄養と愛情を取り戻したセレナは、 誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、 社交界で注目される存在となる。 一方、セレナを失った伯爵家は、 彼女の能力なしでは立ち行かず、 ゆっくりと没落していくのだった――。 虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。

処理中です...