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ありがとう
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パーティーを終え、部屋に戻っていると、コンコンと扉をノックする音が聞こえる。
扉を開けると、そこにはティアが枕を抱えて寝巻き姿でいた。どうやら今日は私の部屋で寝るらしい。
「いいよ、いらっしゃい」
いつまで経っても小さい頃のままだなと思いながらも、部屋に入る許可を出すと満面の笑みを浮かべて部屋に入ってくる。
「やった~」
ティアが入ってきても特に変わった事はない。2人で話し込むこともあるし、ティアが私のベッドに入って満足するだけの時もある。
ティアを部屋に招き入れた後、私は勉強机に戻る。
「もしかして、勉強中でしたか?」
「別に大丈夫よ。それで、今日はどうしたの?」
「……お姉様が難しい顔をしていたから気になって」
「……本当に、ティアは私のことをよく見てるね。レオ兄様に言われたことがちょっとね」
自分に素直に……でも私の選択肢には多くの人が関わってくる。だから慎重にならないと……
「お姉様?」
「ごめんなさい。ティアのお陰でずっとないと思ってた自由が得られて少し困惑しているの。今まで言われたことだけをやって来たから余計に……」
自分で選ぶ難しさを実感している。今までは自分のことを考える余裕もなかったから。
ティアがいなければ、私はずっと諦めていたと思う。アレと結婚して、国のために働く。どれだけ邪険にされても、どれだけ罵倒されても、どれだけ邪魔をされても、国を無くさないために私は必死に働いていただろう。
誰にも、何も伝えないまま、一人きりで全てをこなしていただろう。
ティアのお陰で自分の弱さを知った。味方の心強さを知った。家族の温かさを知った。
ふふっ、こう考えてみると私、ティアに貰ってばかりね。
持っていたペンを机に置き、開いていたノートを閉じる。そのまま、ベッドの上で座っているティアを押し倒し、抱きついた。
「お、お姉様!」
ティアがここまで驚いた顔をしているのを見るのは初めてかもしれない。私より綺麗で可愛い女の子。私のこと以上に私のことを知っている不思議な子。
私はティアのことをそれほど知ることができているのだろうか? 私のことが大好きで、時々私物を盗む女の子。最近はアンだけじゃなくてメイドたち全員に監視されるほど大胆に忍び込むようになった子。私の服を着ては何故か喜んでクルクル回る少女。
私が知っているティアは私に関わる事ばっかり。どれだけ自分のことしか考えていなかったのかが丸わかりになってしまう。それでも――
「お、お姉様……?」
抱きついたまま何も言わない私に、ティアが困ったような声をあげる。
「……ティア」
「は、はい!」
「ありがとう」
言葉では言い切れないほどの感謝を。もしこれからティアの身に危険が及ぶならば、私は全てを投げ出してでもティアの元に駆けつけよう。
「私はお姉様がどんな選択をしたとしても、お姉様の側に居続けます。なんと言われようとも、これから先もずっと私がお姉様の一番の味方ですからね」
「ありがとう。でもティアはドルン様との関係を考えて行かないといけないでしょう?」
「うっ……、お姉様の1番の味方ですからね!」
「……まったく、私と同じように誤魔化していたらダメよ。ティアはティアの幸せのために考えなさい」
「……はーい」
いつまでも一緒にいたいけど、そうもいかないのはお互いにわかってる。姉妹だとしても立場が出てくるとそれはより顕著になってくる。
それに――
ティアがドルン様のことを少なからず思っているのはわかる。他の人とは全然態度が違うから私でもわかった。たぶん、ティアの1番がそう遠くない内に変わるだろう。
ティアの頭を撫でると、嬉しそうに笑顔を浮かべ、もっととせがむように頭をぐりぐりと押し付けてくる。こんな風に甘えて来るのが私以外になるというのはやはり寂しく感じる。
だから今この時を、1日1日を大切に過ごして行きたい。そう思った。
「ありがとうね、ティア」
幸せそうに眠るティアに、私はもう一度感謝の言葉を述べた。
扉を開けると、そこにはティアが枕を抱えて寝巻き姿でいた。どうやら今日は私の部屋で寝るらしい。
「いいよ、いらっしゃい」
いつまで経っても小さい頃のままだなと思いながらも、部屋に入る許可を出すと満面の笑みを浮かべて部屋に入ってくる。
「やった~」
ティアが入ってきても特に変わった事はない。2人で話し込むこともあるし、ティアが私のベッドに入って満足するだけの時もある。
ティアを部屋に招き入れた後、私は勉強机に戻る。
「もしかして、勉強中でしたか?」
「別に大丈夫よ。それで、今日はどうしたの?」
「……お姉様が難しい顔をしていたから気になって」
「……本当に、ティアは私のことをよく見てるね。レオ兄様に言われたことがちょっとね」
自分に素直に……でも私の選択肢には多くの人が関わってくる。だから慎重にならないと……
「お姉様?」
「ごめんなさい。ティアのお陰でずっとないと思ってた自由が得られて少し困惑しているの。今まで言われたことだけをやって来たから余計に……」
自分で選ぶ難しさを実感している。今までは自分のことを考える余裕もなかったから。
ティアがいなければ、私はずっと諦めていたと思う。アレと結婚して、国のために働く。どれだけ邪険にされても、どれだけ罵倒されても、どれだけ邪魔をされても、国を無くさないために私は必死に働いていただろう。
誰にも、何も伝えないまま、一人きりで全てをこなしていただろう。
ティアのお陰で自分の弱さを知った。味方の心強さを知った。家族の温かさを知った。
ふふっ、こう考えてみると私、ティアに貰ってばかりね。
持っていたペンを机に置き、開いていたノートを閉じる。そのまま、ベッドの上で座っているティアを押し倒し、抱きついた。
「お、お姉様!」
ティアがここまで驚いた顔をしているのを見るのは初めてかもしれない。私より綺麗で可愛い女の子。私のこと以上に私のことを知っている不思議な子。
私はティアのことをそれほど知ることができているのだろうか? 私のことが大好きで、時々私物を盗む女の子。最近はアンだけじゃなくてメイドたち全員に監視されるほど大胆に忍び込むようになった子。私の服を着ては何故か喜んでクルクル回る少女。
私が知っているティアは私に関わる事ばっかり。どれだけ自分のことしか考えていなかったのかが丸わかりになってしまう。それでも――
「お、お姉様……?」
抱きついたまま何も言わない私に、ティアが困ったような声をあげる。
「……ティア」
「は、はい!」
「ありがとう」
言葉では言い切れないほどの感謝を。もしこれからティアの身に危険が及ぶならば、私は全てを投げ出してでもティアの元に駆けつけよう。
「私はお姉様がどんな選択をしたとしても、お姉様の側に居続けます。なんと言われようとも、これから先もずっと私がお姉様の一番の味方ですからね」
「ありがとう。でもティアはドルン様との関係を考えて行かないといけないでしょう?」
「うっ……、お姉様の1番の味方ですからね!」
「……まったく、私と同じように誤魔化していたらダメよ。ティアはティアの幸せのために考えなさい」
「……はーい」
いつまでも一緒にいたいけど、そうもいかないのはお互いにわかってる。姉妹だとしても立場が出てくるとそれはより顕著になってくる。
それに――
ティアがドルン様のことを少なからず思っているのはわかる。他の人とは全然態度が違うから私でもわかった。たぶん、ティアの1番がそう遠くない内に変わるだろう。
ティアの頭を撫でると、嬉しそうに笑顔を浮かべ、もっととせがむように頭をぐりぐりと押し付けてくる。こんな風に甘えて来るのが私以外になるというのはやはり寂しく感じる。
だから今この時を、1日1日を大切に過ごして行きたい。そう思った。
「ありがとうね、ティア」
幸せそうに眠るティアに、私はもう一度感謝の言葉を述べた。
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