捨てたいキミ、拾いたい僕。

ふじのはら

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五話 告白②

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和倉はオレの顔を見ずに黙っていた。
「和倉、、?」
「何でそんなの聞きたいの?聞いてどうすんのさ?」
彼の声がどこか弱々しくてオレはドキリとした。

ー聞いてどうする?ハッキリさせてどうしたいんだ?ーでも、、

「オレさ、あの日の光景を今でも思い出すんだ。1日だって忘れられない。あの時の暑さも、空がやたら青かったことも、人の落ちるスピードも、、大切なものを投げ出した人間の顔も、、ずっと思い出すんだぞ?おまえの責任だろ?」
「あー、、トラウマってやつ?」
「聞く権利あるだろ?」
「、、、うーん、、まぁ」

和倉はため息をひとつつくと空を仰いだ。きっと自分があの日飛び降りたあの橋を見上げたんだろう。自分が落ちる姿を、オレの目線から確認したのかも知れない。

「ー本気で死ねると思ったわけじゃないよ、、」
そう和倉は静かに話し始めた。

「この川確実に死ねるような大きさじゃないし。橋だって命を落とすほどの高さなのか微妙だろ?ーでも、、そうだなぁ、川原の言う通り、俺は自分で飛び降りた、、あの日、自分を消したかった、、消えないなら苦しめば良いと思った、、」

ーあぁ、やっぱり。
オレは納得すると同時に後悔した。オレを振り返らずに話す和倉の姿が弱々しくて、オレの前から消えてしまいそうだと思ったから、、。

「まぁ、どっちでも良いとか思ったのかも。別に死んでも、ー、、」
オレは和倉の言葉を遮るように咄嗟に後ろから肩を掴んだ。和倉は驚いて振り返った。
「川原?どうした、、何でそんな泣きそうな顔してんの?」
「あー、、おまえさ、、、」
「川原、、?おい、涙、、、」
「ー捨てなくて良かったよ」
「え、、?」

言葉と同時に溢れそうになった涙をゴシと腕で拭って、呆気にとられている和倉を見返した。
「入院してたって言ったじゃん。死にそうだったんだ。心臓も止まって。だからむしろそっちがトラウマで。ー悪い、自分の理由で熱くなった。」
「え、、それ、ガチのやつ?」
「だよ。」
「そっか、、そうだったんだ、、」

和倉が何を考えたかはわからない。ただこの日から和倉が河原へ来ることは無くなった。まぁ元々待ち合わせていたわけでもお互いに会いに来ていたわけでもないし、秋になり寒くて居心地が悪くなっただけかもしれない。“友だち”というほどの仲でもないオレ達はこの日から話をすることもパタリと無くなってしまった。

その代わり、うわさ通り和倉は学校へ来るようになった。隣のB組だ。クラスのヤツらが言っていたように、和倉はいつも賑やかな友人の輪の中にいて男友だちとも女友だちとも楽しそうに笑い合っていた。そこにいるのはオレの知っている和倉ではなかった。

ただ、いつも賑やかに騒いでいる和倉の友人たちが「和倉がいない」と、たびたび探している姿を目にしては、オレは言いようのない不安を感じる。和倉がオレに助けを求めているような錯覚に陥るくらいだ。
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