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九話 動揺
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胸を押さえてみるみる蒼白になっていくのを目の当たりにして、和倉はオロオロとオレの肩に手をかけたがもうその顔を見上げることは無理だった。
ただ片手をあげて、和倉を落ち着かせようとした。
「っ、、だいじょ、ぶ、、っ、、くっ、、」
俯いたまま歯を喰いしばって痛みに耐えるオレの顎から冷や汗が落ちていく。
何か言っている和倉の声を遠くに感じながら首にかけているネックレスを引っ張り出すとペンダントへッドを急いで開ける。このために緊急薬を常に身に付けている。
大丈夫。慣れてる。落ち着け。すぐ終わる。
中から薬を取り出すと舌の裏側へ押し込んで痛みや苦しさが引き始めるのをじっと耐えて待つ。
「大丈夫、、大丈夫、、」
暫くして、震える息を長く吐き出すと、ようやく薄れていた現実が戻ってきた。
ようやく和倉を見上げた。
和倉は真っ青な顔で立ったまま、まだオレの肩を掴んでいた。
「和倉?悪い、驚かせた。ーたまにあるんだ」
「ー、、」
「ちょっと和倉?もう大丈夫だから、手離してよ」
だから休んでるんだよ。こういう顔されるから。こういう姿も見られたくないから、、
オレの肩から手を離せない和倉の服の裾を引っ張って、ともかくベッドのフチに座らせる。
「おーい、お前の方が大丈夫?ほら、深呼吸しろ」
和倉は素直に大きく息を吸って、そうしてやっと震える息で言葉を発した。
「ーあ、あぁ、、あせった、、川原がそのまま死ぬかと思った、、、」
オレはオレの肩を掴むその手をそっと引き離した。
「怖いだろ?人の命が傾く瞬間って、、」
小さく笑ったオレの言葉に和倉はハッとして顔を上げた。
オレの目を見たまま何も言わない。薄暗い部屋の時間が一瞬とまった気がした。
「ー和倉?」
和倉はさっきまでオレの肩を掴んでいた手をふいにオレへ伸ばし、次の瞬間ぎゅっとオレの背中へ腕を回した。
「っうゎっ!おい!?」
「川原、消えないで」
「ははっ、そんな簡単に消えないって」
何故かオレを抱き締めている和倉の後頭部をくしゃりと撫でる。
それで和倉は腕を弛めると、オレの顔をみた。
今にも泣きそうな、心細そうな、心配とか後悔とか、ネガティブな感情を含んだ瞳でオレの目を見て、スッと視線を逸らせる。
ー少し落ち着いたかな。初めて見る方だって相当怖いんだよな。
オレがそんな事を考えているうちに、もう一度ぐいっと引き寄せられ和倉の顔が急に近づいた。
「っっん、、んん!」
和倉がオレにキスをしていると頭が理解するのに3秒はかかっただろう。
和倉の体を押し返した。
「ちょっっと和倉!なに!?何してんの!?」
「っっ!あっ、ごめっ、、」
我に返った和倉は勢いよくオレから離れると、両手をパッと顔の前に広げた。
「わ、やば、、川原が居なくなりそうで、すげぇ焦って、、いや、ごめん。なしなし。今のは流石になし。」
必死に言いながら顔を赤くした和倉を見ていたら、その行動に度肝を抜かれた俺も何だか笑えてきた。
ーきっとオレの緊急事態に和倉の脳みそがバグったんだろう。
オレと和倉はこうして高三の春、薄暗くなったオレの部屋でたった一度だけキスをしたのだった。
ただ片手をあげて、和倉を落ち着かせようとした。
「っ、、だいじょ、ぶ、、っ、、くっ、、」
俯いたまま歯を喰いしばって痛みに耐えるオレの顎から冷や汗が落ちていく。
何か言っている和倉の声を遠くに感じながら首にかけているネックレスを引っ張り出すとペンダントへッドを急いで開ける。このために緊急薬を常に身に付けている。
大丈夫。慣れてる。落ち着け。すぐ終わる。
中から薬を取り出すと舌の裏側へ押し込んで痛みや苦しさが引き始めるのをじっと耐えて待つ。
「大丈夫、、大丈夫、、」
暫くして、震える息を長く吐き出すと、ようやく薄れていた現実が戻ってきた。
ようやく和倉を見上げた。
和倉は真っ青な顔で立ったまま、まだオレの肩を掴んでいた。
「和倉?悪い、驚かせた。ーたまにあるんだ」
「ー、、」
「ちょっと和倉?もう大丈夫だから、手離してよ」
だから休んでるんだよ。こういう顔されるから。こういう姿も見られたくないから、、
オレの肩から手を離せない和倉の服の裾を引っ張って、ともかくベッドのフチに座らせる。
「おーい、お前の方が大丈夫?ほら、深呼吸しろ」
和倉は素直に大きく息を吸って、そうしてやっと震える息で言葉を発した。
「ーあ、あぁ、、あせった、、川原がそのまま死ぬかと思った、、、」
オレはオレの肩を掴むその手をそっと引き離した。
「怖いだろ?人の命が傾く瞬間って、、」
小さく笑ったオレの言葉に和倉はハッとして顔を上げた。
オレの目を見たまま何も言わない。薄暗い部屋の時間が一瞬とまった気がした。
「ー和倉?」
和倉はさっきまでオレの肩を掴んでいた手をふいにオレへ伸ばし、次の瞬間ぎゅっとオレの背中へ腕を回した。
「っうゎっ!おい!?」
「川原、消えないで」
「ははっ、そんな簡単に消えないって」
何故かオレを抱き締めている和倉の後頭部をくしゃりと撫でる。
それで和倉は腕を弛めると、オレの顔をみた。
今にも泣きそうな、心細そうな、心配とか後悔とか、ネガティブな感情を含んだ瞳でオレの目を見て、スッと視線を逸らせる。
ー少し落ち着いたかな。初めて見る方だって相当怖いんだよな。
オレがそんな事を考えているうちに、もう一度ぐいっと引き寄せられ和倉の顔が急に近づいた。
「っっん、、んん!」
和倉がオレにキスをしていると頭が理解するのに3秒はかかっただろう。
和倉の体を押し返した。
「ちょっっと和倉!なに!?何してんの!?」
「っっ!あっ、ごめっ、、」
我に返った和倉は勢いよくオレから離れると、両手をパッと顔の前に広げた。
「わ、やば、、川原が居なくなりそうで、すげぇ焦って、、いや、ごめん。なしなし。今のは流石になし。」
必死に言いながら顔を赤くした和倉を見ていたら、その行動に度肝を抜かれた俺も何だか笑えてきた。
ーきっとオレの緊急事態に和倉の脳みそがバグったんだろう。
オレと和倉はこうして高三の春、薄暗くなったオレの部屋でたった一度だけキスをしたのだった。
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