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十話 土産
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夏。
季節が一周回ってオレはまた川岸の草原にいた。
青い空を見上げてただ寝転がっている。
3年になってから、修学旅行や体育祭がオレの横を通り過ぎていった。
もしも健康な体であったなら自分にも当たり前の青春があったのだろうか。
友人たちとじゃれ合い時には悩みを抱えたりケンカなんかもしたんだろうか。
恋人とのキスやセックスに夢中になったり失恋に涙を流したりもしたんだろうか。
時間はオレを置いてどんどん進んで行く。
じっと空を見上げるオレに草を踏む足音が近付いて、すぐ横に座り込んだ。
「ここで会うの久しぶりだね」
「和倉もさぼり?」
「そ。ー、、川原こんなとこ居たら何かあった時人から見えんくない?危ないよ?」
「あー、、まぁ。そん時はそん時。」
オレが鼻で笑うのを見て和倉は眉をひそめた。
「何かすげぇ落ちてんじゃん。」
「、、、」
「彼女とケンカでもした?」
「彼女じゃないって」
「それさぁ、リナちゃんの事そういう感情じゃないからってこと??」
和倉の言葉が煩くて、自分の身の上に苛ついていたオレは真実をぶつけて和倉を困らせてやろうと思った。
「ーオレの彼女になったとするじゃん。こないだの和倉みたいにオレの発作を何度も横でみることになったら?運動は駄目だからセックスは無理。そもそも恋人が死んだっていう過去を誰かに背負わせたくない。」
想像した通りオレの言葉に和倉はショックを受けた顔をした。その反応を見てオレの心のどこかがホッとして、そしてどこかが後悔をしている。
ただの八つ当たりだという自覚があった。自分のガキさ加減に呆れ返って仰向けのまま目を閉じると、いつもそうしてきたように静かな風を感じて心を落ち着ける。
どうしてか夏には妙にイラついてしまう。たぶん自分の身の上と抜ける様な青空に、他の季節よりギャップを感じるからなんだろう、、。
オレの八つ当たりの言葉に和倉は何も言わなかった。その代わりオレの寝転がるすぐ横でカバンをガサゴソさせる音がして、すぐに和倉の手がオレの胸の上へ置かれた。
「っぅわ!なに?」
胸の上に置かれた小さな紙の袋。
「修学旅行の土産。やるよ。」
「土産?オレに??」
寝転がったまま和倉の顔を見れば、耳を心なしか赤くしてそっぽを向いている。
小さな袋から出て来たのは、薄くて四角い木の箱だった。
「伏見稲荷大社」の名前が入っているから本当に修学旅行で買ってきたようだ。
小さな箱を開けて、咄嗟に言葉が出て来なかった。
じっとそれを見つめているオレを、和倉はチラッと見てから
「みんな買ってて、、学業とか恋愛とか、、それでオレは別に願いなんてなくて、だから代わりに川原にって、、。っふは、オレから土産とかキモい?」
顔を赤らめたまま照れて笑う和倉につられてオレの心がほどけていく気がする。
1年留年していろいろなものを諦めたり逃したりしたオレの存在を、修学旅行なんて貴重な時間の中で考えてくれたヤツがいたんだ、、。病気に怯えて、地に足がついてる気が全くしないオレだけど、家族でもないこいつがオレを案じてくれてるのか、、。
紫色の“病気平癒御守り”を持ったまま、オレはもう一度目を閉じて一度だけ深呼吸をした。
「和倉、さんきゅ」
「おう。」
ふいに目頭が熱くなって焦ったけれど、和倉はまだ照れ臭そうにそっぽを向いていてこちらを振り返ったりはしなかった。
季節が一周回ってオレはまた川岸の草原にいた。
青い空を見上げてただ寝転がっている。
3年になってから、修学旅行や体育祭がオレの横を通り過ぎていった。
もしも健康な体であったなら自分にも当たり前の青春があったのだろうか。
友人たちとじゃれ合い時には悩みを抱えたりケンカなんかもしたんだろうか。
恋人とのキスやセックスに夢中になったり失恋に涙を流したりもしたんだろうか。
時間はオレを置いてどんどん進んで行く。
じっと空を見上げるオレに草を踏む足音が近付いて、すぐ横に座り込んだ。
「ここで会うの久しぶりだね」
「和倉もさぼり?」
「そ。ー、、川原こんなとこ居たら何かあった時人から見えんくない?危ないよ?」
「あー、、まぁ。そん時はそん時。」
オレが鼻で笑うのを見て和倉は眉をひそめた。
「何かすげぇ落ちてんじゃん。」
「、、、」
「彼女とケンカでもした?」
「彼女じゃないって」
「それさぁ、リナちゃんの事そういう感情じゃないからってこと??」
和倉の言葉が煩くて、自分の身の上に苛ついていたオレは真実をぶつけて和倉を困らせてやろうと思った。
「ーオレの彼女になったとするじゃん。こないだの和倉みたいにオレの発作を何度も横でみることになったら?運動は駄目だからセックスは無理。そもそも恋人が死んだっていう過去を誰かに背負わせたくない。」
想像した通りオレの言葉に和倉はショックを受けた顔をした。その反応を見てオレの心のどこかがホッとして、そしてどこかが後悔をしている。
ただの八つ当たりだという自覚があった。自分のガキさ加減に呆れ返って仰向けのまま目を閉じると、いつもそうしてきたように静かな風を感じて心を落ち着ける。
どうしてか夏には妙にイラついてしまう。たぶん自分の身の上と抜ける様な青空に、他の季節よりギャップを感じるからなんだろう、、。
オレの八つ当たりの言葉に和倉は何も言わなかった。その代わりオレの寝転がるすぐ横でカバンをガサゴソさせる音がして、すぐに和倉の手がオレの胸の上へ置かれた。
「っぅわ!なに?」
胸の上に置かれた小さな紙の袋。
「修学旅行の土産。やるよ。」
「土産?オレに??」
寝転がったまま和倉の顔を見れば、耳を心なしか赤くしてそっぽを向いている。
小さな袋から出て来たのは、薄くて四角い木の箱だった。
「伏見稲荷大社」の名前が入っているから本当に修学旅行で買ってきたようだ。
小さな箱を開けて、咄嗟に言葉が出て来なかった。
じっとそれを見つめているオレを、和倉はチラッと見てから
「みんな買ってて、、学業とか恋愛とか、、それでオレは別に願いなんてなくて、だから代わりに川原にって、、。っふは、オレから土産とかキモい?」
顔を赤らめたまま照れて笑う和倉につられてオレの心がほどけていく気がする。
1年留年していろいろなものを諦めたり逃したりしたオレの存在を、修学旅行なんて貴重な時間の中で考えてくれたヤツがいたんだ、、。病気に怯えて、地に足がついてる気が全くしないオレだけど、家族でもないこいつがオレを案じてくれてるのか、、。
紫色の“病気平癒御守り”を持ったまま、オレはもう一度目を閉じて一度だけ深呼吸をした。
「和倉、さんきゅ」
「おう。」
ふいに目頭が熱くなって焦ったけれど、和倉はまだ照れ臭そうにそっぽを向いていてこちらを振り返ったりはしなかった。
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