【完結】城入りした伯爵令嬢と王子たちの物語

ひかり芽衣

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第一章 女王と五人の王子たち

8:第ニ王子イーサン③

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「イーサンはどうだった?」

その夜書斎に呼び出されたアシュリーは、エリザベスに質問された。

「はい。一見威圧感があり近寄り難い印象ですが、実際は気遣いをして下さるなど、優しい方なのだろうと思いました。そして、アダム第一王子殿下と同様、陛下のことをとても心配していらっしゃいました」

「そうなの。怖そうに見えるけど、実際は優しい子なのよ。わかってくれて嬉しいわ」

うんうんと頷きながら、嬉しそうにエリザベスは言う。

「イーサンは武術にとても優れていてね。元々才能もあるのだけど、本人の努力も凄いの。私の夫であるローレンが亡くなってからは特に……。自分が強くなってこの国をら守らなきゃとでも、思っているのかしらね……」

少し遠い目をしながら話すエリザベスをアシュリーはジッと見ながら、昼間見たイーサンの練習風景を思い出す。

イーサンはアシュリーに気づくまでの一時間ほど、一度も休むことなく同じことを繰り返していた。
他の人たちが休み休みしているのにも、時折話したりしているのにも構わず、完全に自分の世界に入り込んで鍛錬に打ち込んでいた。

「はい、とても凄い集中力でした。明確な目的や目標がある人物だと、鍛錬の様子から感じました」

「そう……」

「とても逞しさを感じました」

「そうなのよ。とても国のことも考えてくれているの」

エリザベスは眉を下げてニッコリと笑う。

(アダム殿下にない部分が、イーサン殿下の得意分野でいらっしゃるのね……)

エリザベスの何とも言えない笑顔を見ながら、アシュリーは心の中でそう思った。



話し終え、お茶を下げながらアシュリーはふと思う。

(そういえば、モテ要素は全く感じなかったわね。……まあ、あのような寡黙なタイプが好きな人もいるわよね)

セリーナを思い浮かべながら、アシュリーは廊下を歩いたのだった。


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