【完結】城入りした伯爵令嬢と王子たちの物語

ひかり芽衣

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第一章 女王と五人の王子たち

11: 第四王子エイダン&第五王子オーウェン①

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ヴィクターに会った翌朝のこと。
アシュリーが近道しようと中庭を通った時、急に大きな声がした。

「わあっ!!!」

"ボオッ!!!"

声と同時に、急に炎が上がった。
火柱は一瞬で消え、すぐに煙しか見えなくなる。
今アシュリーがいる所から50mほどの所のようだ。

「大変!」

煙の上がっている、人の声がした方へ走って行く。

すると、煙のそばでうずくまっている人が見えた。
すすで全身が汚れている。

「大丈夫ですか!?」

アシュリーは駆け寄り、無事を確認しようと顔を覗き込もうとした。
アシュリーがその人物の腕に手を置いた瞬間、うずくまっていた人物は"バッ"っとアシュリーの手を振り払い、下を向いたまま走り去ろうとする。

「待って下さい! 私は侍女です! どこも怪我はないですか!?」

一瞬止まった足だが、顔を上げることなく走り去って行ってしまった。

(あれだけ走れるなら大丈夫か……)

アシュリーがそう考えていると、その走り去る人物を追いかける人物が見えた。

「殿下ー!!! また勝手に、庭で研究をしましたねー!? お怪我はありませんかー!???」

遠くなる足音と共に、その声も遠くなって行く。

(殿下? 殿下ですって!? 今の人は王子殿下の中の誰かだったの!?)

アシュリーが呆然と立ち尽くしていると、通りがかったセリーナがアシュリーを見て驚いた顔をした。

「アシュリー? 大丈夫? 服が汚れているけれど……」

「急に炎が上がって……殿下って……」

「ああ、エイダン第四王子殿下ね。よく色々な実験をしているのよ。またこのようなことがあると思うから、その時は驚かなくて済むように覚えておくといいわよ」

アシュリーの無事を確認したセリーナは、淡々と無表情でそう言って立ち去る。
セリーナが全く驚いていない様子から、珍しいことではないようだ。

(エイダン第四王子殿下だったのね……)




アシュリーが庭で燃えた残骸の片付けをしていると、視線を感じた。
柱の陰からこちらの様子を伺っている人物がいる。

(ひょっとして、エイダン第四王子殿下かしら……? どうしたのかしら? あっ、ひょっとして……!)

「よし、片付けは終わったわ! あとはこれをどこに片付けたら良いのか聞きに行ってこよーっと」

アシュリーは纏めた残骸をその場に置き、大きな独り言を言って立ち去る。
……実際には立ち去る"フリ"で、謎の人物がいる反対側の柱の影から様子を伺っていた。

すると案の定、謎の人物はそそくさと残骸を持ち去ろうとしている。

(やっぱり、エイダン第四王子殿下だわ!)

その人物は確かに見覚えのある顔だった。
風呂に入ったのか、綺麗な身なりとなっている。

思わず柱から体を乗り出したアシュリーは、立ち去ろうとしているエイダンと目が合った。
アダムと同じ赤い瞳が、とても澄んでいて綺麗だ。
そして驚いた顔をして、イーサンと同じ茶色の髪を靡かせて走り去って行った。

アシュリーより一つ年上のエイダンは、華奢な体つきをしていた。

(挨拶も出来なかったわ……これじゃ、私の第一印象が最悪ね……)

アシュリーは思わずため息をついたのだった。







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