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砂の世界
王国の未来
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「気に食わんな」
ラーズ王国国王アーノルドは呟く、彼は昨日の夜この砂の世界の神ミアリスに言われた事に対し不機嫌さを隠せない。
いきなり自室へと現れたミアリスは無条件に皇国への協力を求めてきたのだ。
だがラーズ王国は代々他国への干渉をせず自国の事のみを繁栄させてきた。
皇帝が死に皇国が混乱に陥っている事を知っているアーノルドはミアリスの提案に旨味を感じていない。
ラピス王国に対抗する為にラーズ王国を引き入れようとしているのだろうが、今の皇国に協力しても見返りは無いだろうし案にミアリスは無条件と言っていた。
そんな皇国に都合の良い同盟など出来ない、同盟と言うよりも皇国の手下になるような物だ。
この砂の人間は自分に都合よく動くと考えているミアリスの悪い所だ、ただ一方的に協力しろと言って引き受けるお人好しなどそうそういない。
「ですが一応は神なのです、多少の協力はしなくてはならないのでは?」
家臣の1人が国王に意見する、だが本気で協力しようとする者などこの中にはいない。
ラーズ王国は一応はミアリスを神としているが本気で信仰している者はいない、他国との接触をたった理由の一つでもある。
同じ神を信仰していても必ず国同士で戦いは起こる。
どちらが神の代弁者としてこの世界の支配者となるか、それだけの理由で争いをする。
それを嫌いラーズ王国は閉鎖的になっていったのだが、ミアリスはそれも知らない。
「仕方ないのか、”幻視槍”は出したくないのだがな」
ラーズ王国の最大戦力の幻視槍の派遣も条件だった。
「だが少しだけだ、余り戦争に深入りはさせないようにしろ」
こうしてラーズ王国は戦争への介入をする、だがミアリスの思惑とは違い派遣される戦力はごく少数である。
*******
「それは誠でございますか?」
ラピス王国国王はミアリスの言葉が信じられなかった」
「ええ、この国に私に刃向かう者が潜んでおります、ですのでその輩を炙り出す為に皇国との戦争を仕掛けて下さい。今の皇国はその悪神の手に落ちています、しかし皇国軍には私の代行者がいます。悪神の手先である皇国第1皇子を戦力で殺し、その戦争の中でこの国に潜んだ悪神の手先を私の代行者が処理します」
ノアとリリアナの予想通りにミアリスは行動するそしてリリアナの予想通りラピス国王はミアリスの言う事を信じてしまう。
「わかりました、この身を犠牲にしてでもミアリス様にたてつく輩を葬りましょう」
ミアリスの姿が消え国王は動き出す、神にたてつく輩を見つけ出し処刑する為に。
*******
「予想通りになりましたね」
自室にてリリアナは微笑む、自分の頭の中と寸分違わぬ展開につい笑みを浮かべてしまう。
ミアリスの言葉を受けた国王は自国に潜むノアの使徒を探す事に躍起になっており、リリアナの心配をする第1王子と第1王女は国王にミアリスがリリアナを操っていると騒ぎたて、見かねた国王は2人を軟禁した。
だがリリアナの予想外の事も起きていた。
王子達が思ったよりも騒ぎたてた為、王都の国民にも話が伝わりリリアナを思う王国民は揃ってミアリスを罵倒し、その味方をする国王にも表立ってはしてないが批判を始めている。
「父上、残念ですが国を混乱させた悪王とさせて頂きます」
リリアナの予想外の事だったが、悪くはない。
シンを処刑する時にさらに国民の支持をノアに集めやすくなった。
リリアナは動き出す、父親の座る王座を手にする為に。
*******
「リリアナ、儂はどうしたら良いのじゃ?」
度重なる王国民からの批判に、国王は疲れていた。
まるで自分が悪者のように扱われる事に慣れていなかった。
そして自分に残っている味方は王妃とリリアナ、そして1番下のニーナだけであった。
「父上、ミアリス様はなんと仰ったのです?」
リリアナは知っているがわざと知らないふりをする、そうする事で国王の味方をしているふりをするのだ。
「皇国を攻めろと、そしてこの国に潜んだ悪神の手先を炙り出せと言ったのだ。その言葉通り悪神の手先を探したがどうも上手くいっていないのだ」
国王は素直にリリアナに教える、だがリリアナがその悪神の手先であるとわかっていない。
今頼りにしているリリアナに自らが操られている事を知らないのだ。
「父上、失礼ですが事を急ぎ過ぎでは?ミアリス様の言葉ですとまずは皇国を攻める事からするのではないですか?」
その通りだった、国王は順番を間違えている。まあ、正しくした所ですでにミアリスの敗北は決まっているのだが。
国王がノアの使徒を見つけ出す事を優先した結果、さらにミアリス側の状況が悪くなりリリアナにからしたら今の国王の状況には笑うしかない。
「確かにそうだな、初めからリリアナに相談すべきだった。皇国に勝った暁にはお前にミアリスの指輪の片割れの場所を教えよう、リリアナ、お前が時期国王だ」
リリアナの手の中で踊らされる国王はミアリスの敗北に向けさらに事態を加速させる。
立ち去る国王を見るリリアナの顔は笑みを浮かべている、自らの手の中で踊らされる父親を見下すように。
*******
「ちょっとついて来て」
赤姫団長ユナはシンを見つけ連れ出していた、着いた先はユナの宿泊している高級宿屋だ。
「なんだよ、いきなり」
黙って付いて来たシンだったが、部屋に着くなり理由を聞く。彼としてもここに連れ出された理由が知りたい。
「あんた砂の証が欲しいのよね?」
初めて会った時にユナにはシンの目的を話している、当然肯定をする。
「ああ、その為にあとちょっとなんだ」
「それを達成したらこの世界からいなくなるの?」
「そうだ」
まだあと5つの世界を旅しなければならない。時間は有限だ、この砂の世界にいつまでもいる訳にはいかない。
「私も手伝うわ」
「はい?」
シンはユナの言葉を理解できなかった、ユナほどの強者が手伝ってくれるのは嬉しいが彼女には赤姫がある、団員を捨てて旅など出来ないのではないかと考えるが。
「砂の証を手に入れるには皇国に勝たなきゃいけないんでしょ?それを手伝うって言ってるの!」
「そういう事か」
ありがとう、とシンが言うと「当然よ!」とユナが笑いながら答えた。
シンの役に立ちたいユナはただそれだけがしたかった。
「だから私も混ぜなさいよね!」
「なんの事だ?」
「あの王女のとこに行ってるのは知ってるのよ!」
ユナはシンがリリアナに会っているのを知っている。
そして自分じゃなくリリアナを頼っている事にユナは嫉妬をしていた。
なぜリリアナとの密会を知っているかと言うと、シンに相手をしてもらおうと近づいたがなかなか声がかけられずモジモジしているうちにシンがリリアナに連れ出される所を見てしまったのだ。
追いかける内に何度もその場面に遭遇してしまった。
「お前、ほんと可愛いな」
リリアナと会っている事にユナが嫉妬している事がわかったシンはユナの頭を撫でながら笑う。
「うるさい!」とユナに手を弾かれるがシンは続ける。
「リリアナとは別に何もしてないぞ?それにユナを守ると言ったじゃないか、それは変わらない」
これからはユナも話し合いに加える事を約束し宿屋を後にする。
正直他の世界に付いて来てくれたら嬉しいが彼女の居場所を奪う訳には行かない。
シンのいなくなった部屋でユナはベッドに寝転がる
「うぅ~」
枕を抱きゴロゴロ転がりながら唸り声をあげる、素直になれない自分にムカついていた。
「またですか?」
いつの間にか部屋に入っていたクレアに気付き立ち上がる。
尊敬される団長を目指すユナは先程までのような姿は団員には見られたくないのだ。
「何よ」
頬を膨らませてクレアに言い返す、こういう所も可愛がられてしまうのだがユナは自然とこういう態度を取ってしまう。
「以前にも言いましたが、団長は好きにしても良いのですよ?私達は団長に集められ救われましたが団長の足枷になるつもりはありません。それにもう団長にはお返しできないほど助けられています」
赤姫の団員はユナが集めた、皆ナナのようにユナに助けられてここまで集まったのだ。
だが、ユナは団員達の為に自分を殺していた。
団員達は知っているのだ、ユナが冒険に憧れそしてシンと言う青年の事を好きな事。この砂の世界を飛び出しシンに付いて行きたい事を
「そんな勝手な事出来ないわよ」
しょんぼりした様子でユナは答える。
彼女からすれば自分に付いて来てくれた団員達を見捨てるような気がして素直になれないのだ。
「そんな事はありません、なんなら私からシン殿にお願いをしましょうか?」
クレア達はもうユナに守られるほど弱くない、それを団員達全員はわかっているのでもうユナには自由に生きて欲しいのだ。
「それは嫌よ」
だが頑固なユナは素直になれない、強情なユナに苦笑いを浮かべ部屋を去る。
この手の掛かる妹のように想っている団長の為、自分が団長に嫌われようと団長には好きに生きて貰う事を誓い青年の所へ足を運ぶ
*******
「シン殿、この世界を去る時にはどうか団長をお連れして下さい」
いきなり現れそんな事を言い出すクレアに唖然としてしまう、この世界の人はいきなり現れるのがデフォルトなのかと。
「どういう意味です?」
「そのままです、団長のユナをシン殿の旅のお供にして頂けないかと、団長は強いです、わがままな所もありますが必ずシン殿の力になるでしょう。旅の危険が減りより安全なものになるはずです、それに女性しか出来ない事もあるでしょう、しかも団長は容姿も優れています。さらに「わかった!ちょっと落ち着いて!」
次々とユナの利点を上げようとするクレアを止める、クレアとしては何が何でもシンに同行させたいのだ。
「ユナはどう思ってるんだ?それが肝心な事だと思う」
嫌がるユナを無理矢理連れ出したくない、シンはそれが気掛かりだ。
確かにユナが来てくれたら頼もしいと思っているが旅には予想外の事もあるし命の危険もある、嫌がるユナをそんな事に付き合わせたくない。
「団長は昔から旅に憧れています、本人は素直になれない性格ですし隠しているつもりなのですが長い付き合いの赤姫メンバーは気付いています。それにシン殿であれば私としても安心です、団長にとってもそれが1番したい事でしょう」
「それでも本人から付いて来たいと言われない限りは承諾出来ない」
何が安心なのかわからないがやはり本人から直接聞かなければ気が進まない、それをクレアに伝える。
「わかりました!本人からシン殿に付いて行きたいと言わせれば良いのですね?」
「無理矢理言わせるのは無しだぞ」
何が何でも言わせようとするクレアに忠告をする、脅しされて言わされる訳にはいかない。
「少し時間をいただけますか?」
「ああ、まだこの世界にはいるからそれまでなら待つ」
待つと言うシンにお礼を言いその場を後にするクレア。
突然告げられた事にビックリしていたがユナが本当に来てくれるなら頼もしい、断られるのも嫌なので実はクレアを応援するシンであった。
「それにあんな可愛い子と旅出来るなんて最高じゃないか」
下心全開なシンは気持ち悪い顔で笑うのであった。
ラーズ王国国王アーノルドは呟く、彼は昨日の夜この砂の世界の神ミアリスに言われた事に対し不機嫌さを隠せない。
いきなり自室へと現れたミアリスは無条件に皇国への協力を求めてきたのだ。
だがラーズ王国は代々他国への干渉をせず自国の事のみを繁栄させてきた。
皇帝が死に皇国が混乱に陥っている事を知っているアーノルドはミアリスの提案に旨味を感じていない。
ラピス王国に対抗する為にラーズ王国を引き入れようとしているのだろうが、今の皇国に協力しても見返りは無いだろうし案にミアリスは無条件と言っていた。
そんな皇国に都合の良い同盟など出来ない、同盟と言うよりも皇国の手下になるような物だ。
この砂の人間は自分に都合よく動くと考えているミアリスの悪い所だ、ただ一方的に協力しろと言って引き受けるお人好しなどそうそういない。
「ですが一応は神なのです、多少の協力はしなくてはならないのでは?」
家臣の1人が国王に意見する、だが本気で協力しようとする者などこの中にはいない。
ラーズ王国は一応はミアリスを神としているが本気で信仰している者はいない、他国との接触をたった理由の一つでもある。
同じ神を信仰していても必ず国同士で戦いは起こる。
どちらが神の代弁者としてこの世界の支配者となるか、それだけの理由で争いをする。
それを嫌いラーズ王国は閉鎖的になっていったのだが、ミアリスはそれも知らない。
「仕方ないのか、”幻視槍”は出したくないのだがな」
ラーズ王国の最大戦力の幻視槍の派遣も条件だった。
「だが少しだけだ、余り戦争に深入りはさせないようにしろ」
こうしてラーズ王国は戦争への介入をする、だがミアリスの思惑とは違い派遣される戦力はごく少数である。
*******
「それは誠でございますか?」
ラピス王国国王はミアリスの言葉が信じられなかった」
「ええ、この国に私に刃向かう者が潜んでおります、ですのでその輩を炙り出す為に皇国との戦争を仕掛けて下さい。今の皇国はその悪神の手に落ちています、しかし皇国軍には私の代行者がいます。悪神の手先である皇国第1皇子を戦力で殺し、その戦争の中でこの国に潜んだ悪神の手先を私の代行者が処理します」
ノアとリリアナの予想通りにミアリスは行動するそしてリリアナの予想通りラピス国王はミアリスの言う事を信じてしまう。
「わかりました、この身を犠牲にしてでもミアリス様にたてつく輩を葬りましょう」
ミアリスの姿が消え国王は動き出す、神にたてつく輩を見つけ出し処刑する為に。
*******
「予想通りになりましたね」
自室にてリリアナは微笑む、自分の頭の中と寸分違わぬ展開につい笑みを浮かべてしまう。
ミアリスの言葉を受けた国王は自国に潜むノアの使徒を探す事に躍起になっており、リリアナの心配をする第1王子と第1王女は国王にミアリスがリリアナを操っていると騒ぎたて、見かねた国王は2人を軟禁した。
だがリリアナの予想外の事も起きていた。
王子達が思ったよりも騒ぎたてた為、王都の国民にも話が伝わりリリアナを思う王国民は揃ってミアリスを罵倒し、その味方をする国王にも表立ってはしてないが批判を始めている。
「父上、残念ですが国を混乱させた悪王とさせて頂きます」
リリアナの予想外の事だったが、悪くはない。
シンを処刑する時にさらに国民の支持をノアに集めやすくなった。
リリアナは動き出す、父親の座る王座を手にする為に。
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「リリアナ、儂はどうしたら良いのじゃ?」
度重なる王国民からの批判に、国王は疲れていた。
まるで自分が悪者のように扱われる事に慣れていなかった。
そして自分に残っている味方は王妃とリリアナ、そして1番下のニーナだけであった。
「父上、ミアリス様はなんと仰ったのです?」
リリアナは知っているがわざと知らないふりをする、そうする事で国王の味方をしているふりをするのだ。
「皇国を攻めろと、そしてこの国に潜んだ悪神の手先を炙り出せと言ったのだ。その言葉通り悪神の手先を探したがどうも上手くいっていないのだ」
国王は素直にリリアナに教える、だがリリアナがその悪神の手先であるとわかっていない。
今頼りにしているリリアナに自らが操られている事を知らないのだ。
「父上、失礼ですが事を急ぎ過ぎでは?ミアリス様の言葉ですとまずは皇国を攻める事からするのではないですか?」
その通りだった、国王は順番を間違えている。まあ、正しくした所ですでにミアリスの敗北は決まっているのだが。
国王がノアの使徒を見つけ出す事を優先した結果、さらにミアリス側の状況が悪くなりリリアナにからしたら今の国王の状況には笑うしかない。
「確かにそうだな、初めからリリアナに相談すべきだった。皇国に勝った暁にはお前にミアリスの指輪の片割れの場所を教えよう、リリアナ、お前が時期国王だ」
リリアナの手の中で踊らされる国王はミアリスの敗北に向けさらに事態を加速させる。
立ち去る国王を見るリリアナの顔は笑みを浮かべている、自らの手の中で踊らされる父親を見下すように。
*******
「ちょっとついて来て」
赤姫団長ユナはシンを見つけ連れ出していた、着いた先はユナの宿泊している高級宿屋だ。
「なんだよ、いきなり」
黙って付いて来たシンだったが、部屋に着くなり理由を聞く。彼としてもここに連れ出された理由が知りたい。
「あんた砂の証が欲しいのよね?」
初めて会った時にユナにはシンの目的を話している、当然肯定をする。
「ああ、その為にあとちょっとなんだ」
「それを達成したらこの世界からいなくなるの?」
「そうだ」
まだあと5つの世界を旅しなければならない。時間は有限だ、この砂の世界にいつまでもいる訳にはいかない。
「私も手伝うわ」
「はい?」
シンはユナの言葉を理解できなかった、ユナほどの強者が手伝ってくれるのは嬉しいが彼女には赤姫がある、団員を捨てて旅など出来ないのではないかと考えるが。
「砂の証を手に入れるには皇国に勝たなきゃいけないんでしょ?それを手伝うって言ってるの!」
「そういう事か」
ありがとう、とシンが言うと「当然よ!」とユナが笑いながら答えた。
シンの役に立ちたいユナはただそれだけがしたかった。
「だから私も混ぜなさいよね!」
「なんの事だ?」
「あの王女のとこに行ってるのは知ってるのよ!」
ユナはシンがリリアナに会っているのを知っている。
そして自分じゃなくリリアナを頼っている事にユナは嫉妬をしていた。
なぜリリアナとの密会を知っているかと言うと、シンに相手をしてもらおうと近づいたがなかなか声がかけられずモジモジしているうちにシンがリリアナに連れ出される所を見てしまったのだ。
追いかける内に何度もその場面に遭遇してしまった。
「お前、ほんと可愛いな」
リリアナと会っている事にユナが嫉妬している事がわかったシンはユナの頭を撫でながら笑う。
「うるさい!」とユナに手を弾かれるがシンは続ける。
「リリアナとは別に何もしてないぞ?それにユナを守ると言ったじゃないか、それは変わらない」
これからはユナも話し合いに加える事を約束し宿屋を後にする。
正直他の世界に付いて来てくれたら嬉しいが彼女の居場所を奪う訳には行かない。
シンのいなくなった部屋でユナはベッドに寝転がる
「うぅ~」
枕を抱きゴロゴロ転がりながら唸り声をあげる、素直になれない自分にムカついていた。
「またですか?」
いつの間にか部屋に入っていたクレアに気付き立ち上がる。
尊敬される団長を目指すユナは先程までのような姿は団員には見られたくないのだ。
「何よ」
頬を膨らませてクレアに言い返す、こういう所も可愛がられてしまうのだがユナは自然とこういう態度を取ってしまう。
「以前にも言いましたが、団長は好きにしても良いのですよ?私達は団長に集められ救われましたが団長の足枷になるつもりはありません。それにもう団長にはお返しできないほど助けられています」
赤姫の団員はユナが集めた、皆ナナのようにユナに助けられてここまで集まったのだ。
だが、ユナは団員達の為に自分を殺していた。
団員達は知っているのだ、ユナが冒険に憧れそしてシンと言う青年の事を好きな事。この砂の世界を飛び出しシンに付いて行きたい事を
「そんな勝手な事出来ないわよ」
しょんぼりした様子でユナは答える。
彼女からすれば自分に付いて来てくれた団員達を見捨てるような気がして素直になれないのだ。
「そんな事はありません、なんなら私からシン殿にお願いをしましょうか?」
クレア達はもうユナに守られるほど弱くない、それを団員達全員はわかっているのでもうユナには自由に生きて欲しいのだ。
「それは嫌よ」
だが頑固なユナは素直になれない、強情なユナに苦笑いを浮かべ部屋を去る。
この手の掛かる妹のように想っている団長の為、自分が団長に嫌われようと団長には好きに生きて貰う事を誓い青年の所へ足を運ぶ
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「シン殿、この世界を去る時にはどうか団長をお連れして下さい」
いきなり現れそんな事を言い出すクレアに唖然としてしまう、この世界の人はいきなり現れるのがデフォルトなのかと。
「どういう意味です?」
「そのままです、団長のユナをシン殿の旅のお供にして頂けないかと、団長は強いです、わがままな所もありますが必ずシン殿の力になるでしょう。旅の危険が減りより安全なものになるはずです、それに女性しか出来ない事もあるでしょう、しかも団長は容姿も優れています。さらに「わかった!ちょっと落ち着いて!」
次々とユナの利点を上げようとするクレアを止める、クレアとしては何が何でもシンに同行させたいのだ。
「ユナはどう思ってるんだ?それが肝心な事だと思う」
嫌がるユナを無理矢理連れ出したくない、シンはそれが気掛かりだ。
確かにユナが来てくれたら頼もしいと思っているが旅には予想外の事もあるし命の危険もある、嫌がるユナをそんな事に付き合わせたくない。
「団長は昔から旅に憧れています、本人は素直になれない性格ですし隠しているつもりなのですが長い付き合いの赤姫メンバーは気付いています。それにシン殿であれば私としても安心です、団長にとってもそれが1番したい事でしょう」
「それでも本人から付いて来たいと言われない限りは承諾出来ない」
何が安心なのかわからないがやはり本人から直接聞かなければ気が進まない、それをクレアに伝える。
「わかりました!本人からシン殿に付いて行きたいと言わせれば良いのですね?」
「無理矢理言わせるのは無しだぞ」
何が何でも言わせようとするクレアに忠告をする、脅しされて言わされる訳にはいかない。
「少し時間をいただけますか?」
「ああ、まだこの世界にはいるからそれまでなら待つ」
待つと言うシンにお礼を言いその場を後にするクレア。
突然告げられた事にビックリしていたがユナが本当に来てくれるなら頼もしい、断られるのも嫌なので実はクレアを応援するシンであった。
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