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砂の世界
終戦
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「リリアナか? ニグルは殺した、次はどうすればいい?」
ニグルを討ち取ったあと俺は、ユナと共に本陣へと通信をした。
「おめでとうございます!これで第一目標はクリアですね」
リリアナの方は、本陣が幻視槍とかいう奴に襲撃されたようだがエルリックが体を張って守り通したらしい。
(エルリックには感謝しないとな)
まだ、利用価値のあるリリアナを失うのはこちらとしたらかなりの痛手だ。 しかし、エルリックはリリアナを守り通した。
苦戦もしただろうが、ありがたい。
条件付きとの事だったが、ノアが力を貸したと言うことは、エルリックもノアに認められたのだろう。
「ユナさんは戦闘可能ですか?」
ユナがニグルと戦っていた事はもう説明してある。
だが、かなりのダメージを受けているので、戦闘はさせたくない。
「では、本陣へお戻り下さい、敵の本陣へはナナさんを向かわせます」
ユナの状態を確認し、本陣への帰還をリリアナに命じられる。
ナナは単独行動を続けているが、主戦力のいない皇国軍の本陣など単独で撃破出来るだろう。
「わかった、本陣へ戻る」
通信を切り本陣へと進み出す、もう少しで戦争は終わる、だがまだやる事は残っている。
代行者を殺したがまだこの砂の世界にはミアリスを信仰している奴らが残っている。
ノアが完全にこの世界を掌握するまでは油断は出来ない。
*******
「団長!」
本陣へと帰還すると、クレア達赤姫のメンバーが走りながら集まって来た。
ユナは本陣の前に降りると言ったので今は並んで歩いている。
やはり、団員の前では意地があるのだろう。
「クレア、酷い傷ね」
「それはお互い様でしょう? 団長もボロボロです」
そうやり取りしお互いに笑っていた、やはり赤姫皆が傷は負っているが無事でユナも嬉しいのだろう。
「シン殿も良くぞご無事で、それに団長を救って頂けたようで、感謝します」
クレアに礼を言われると団員からも声を掛けられる。
彼女達とあまり仲良くした覚えはなかったが、共に戦っていると自然と仲間意識が生まれるのだろう。
「ですが、今回団長がどれほどあなたの心配をしていたと思っているのです。 少し反省して頂きたい」
「ちょ、ちょっとクレア!」
だがやはり黙って行方を眩ませたのは、気に入らなかったらしい。
それが作戦だったとユナが説得しているが、まだ納得してもらえないようだ。
「すみません、次からはちゃんと説明しますので」
ここは謝るべきだろう、彼女達がユナの事を心配していたのは今の接し方をみていたらわかる。
「シン様、ご苦労様です」
しばらくすると本陣の大きめなテントからリリアナが歩いて来た。
今回1番疲れたのは彼女だろう。
作戦の立案から実行、それに9万もの軍勢の指揮だ。
俺にはそんな事は出来ない。
ここは何か労ってあげなければいけないだろう。
「そんな、ご褒美など今も頂けて… あっ!いえ日頃から頂けておりますので。 でっではわたくしは少し失礼させて頂きます、汗をかいてしまったので少し着替えて来ます」
何が良いのか考えていたが、リリアナはいそいそと離れてしまった。
息も少し乱れていたのでやはり疲れているのだろう。
無理に引き止めるのは可哀想だ。
「あの王女、なんか時々変な匂いするのよね、今もそうだし」
リリアナがいなくなったらユナが失礼な事を言ったので咎めておいた。
今はまだ、戦争中だ。
湯浴みの準備はあるが指揮官のリリアナは常に忙しいだろうし、湯浴み出来ないのは仕方ないだろう。
「まあいいわ、日も暮れてるしもう休みましょう、皇国軍もかなり被害が大きいし今日は攻めてこないでしょ」
そう言って赤姫の団員達と与えられた夜営地に戻って行った。
俺も敵軍に紛れ込んだから、精神的にかなり疲れてる。
正直バレたらどうしようと心配で夜寝られなかった。
エルリックの様子も見に行ったが、まだ眠っていた。
初めてノアの腕輪の力を使ったんだ。
まだ体が慣れてないので負担は大きいだろう。
適当に場所を見つけて休む事にする。
ノアと連絡が取りたいが今は忙しいらしい。
翌日眼が覚めるとエルリックは起きていたらしい。 まだ戦闘は厳しいが、歩いたりする分には回復したようだ。
「正直何度も死んだと思った、この腕輪がなかったらこの本陣は簡単に落とされていたはずだ、ありがとう」
「いや、ノアに認められたのはエルリックの実力があったからだ。 あいつなかなか人を認めないからな」
これは本当の事だ。
ノアは基本、人の力を見極めてようとする。
ダメなら利用するだけ利用し、合格ならノアから歩みよっていく。
エルリックもノアに何か認められたからこそ、受け入れられた。
正直腕輪を渡す事は許されたが、その後の展開は完全にエルリック次第だ。
何かしらの条件があったはずだがそれをエルリックは突破したんだろう。
「だがこれを僕に渡してくれたのは君だ。 感謝するよ」
その後は幻視槍との戦闘の事を聞いた、聞いた限りでは死闘と言っていい戦闘だ。
それにエルリックの無王の双槍っという武器は正直羨ましい。
槍2本とか王とか何かかっこいいし。
久しぶりにエルリックと話し込んでいるとリリアナが合流して来た。
「シン様、少しお話があるのですか」
「何だ?」
「それが皇国から使者が送られまして、講和を結びたいと」
講和か、皇国も被害が大きいので、これ以上の戦争はしたくないのだろう。
こちらとしても悪い話ではない。
「良いんじゃないか?」
リリアナもそのように思っていたそうだ。
皇国にいたニグルは倒したし、それに皇国はもうノアの支配下だ。
信徒の数を減らすのはあまりしたくない。
「では皇国には受け入れる事を伝えます。交渉はお任せ下さい、こちらが優勢ですので王国としても問題ありません」
何にせよこれで戦争は終わりだ。
ニグルとの決着も付けたので、後は王国でちょっと俺が処刑寸前まで捕まるだけだ。
でもやっぱり気分は乗らない。
処刑されそうになるなんて喜ぶ奴はいないだろう。
その後、帰還の命令が出たナナが夜になって戻って来た。
戻って来るなり殴りかかってくる彼女も俺の事を心配してくれていたのだろう
甘んじて受けようじゃないか。
「やりすぎよ」
ユナの制止でようやく拳骨の連打止まった。
ほんとやりすぎだよ、顔がパンパンじゃないか、1発で許してよ。
次の日、皇国から皇子がやって来た。
リリアナに任せる事にしてるので俺にやる事はないだろう。
皇国からは第1王女と第1皇子の婚約が条件になったらしい。
こちらとしてもこれから仲良くし、また戦争で人口を減らす事はやめて欲しいので文句はない。
こちらからは交易の融通をしてもらうようだ。
そしてこれからは、定期的に互いの軍の練兵や闘技大会などが行われるようになるそうだ。
埋まっていない溝はまだあるが、これを機に長年の争いによる犬猿の仲も無くして欲しいものだ。
「では、王都へ帰還しましょう」
リリアナの発言で本陣の片付け、撤退が速やかに行われた。
長期戦を見越していたので、食料など大量に残ってしまったが。
その日に質素だが宴が行われた。
仲間を亡くした人達も弔いをし、王都へ帰還する。
荒野まで片道で2週間ほどかかる為、約1か月ぶりの王都になる。
結構な時間をこの砂の世界で過ごしているが、それもあと少しとなるとやはり寂しくなる。
レベッカなど世話になった人には、ちゃんとお礼をしなければ。
王都への旅の途中はリリアナの勧めでユナと共に王族専用車両に乗せてもらった。
さすがは王族だけあって内装はかなり豪華だ。
振動もほとんどないし快適だ。
何故かお供のメイド達に鋭い視線を向けられるが理由はわからない。
美人揃いなのでそう敵視されると精神へのダメージが大きいからやめて欲しい。
ユナはリリアナの考えた作戦を知らなかった事が、やはり気に入らなかったようでよくリリアナと喧嘩する
リリアナの方もユナをからかったりするので、いつも言い合いをしている。
手を出してしまえばユナの圧勝なのだが、それをしないのでそれほど仲が悪い訳ではないのだろう。
リリアナは途中で夜いなくなったり、息が荒い時もあるが、特に体調が悪い訳ではないらしいので気にしなくて良いそうだ。
色々あったがこれでようやく砂の証も手に入りそうだ。
王都へはもう少しかかるが何も問題ないだろう。
長いようで短かった戦争もこれで終了だ。
ニグルを討ち取ったあと俺は、ユナと共に本陣へと通信をした。
「おめでとうございます!これで第一目標はクリアですね」
リリアナの方は、本陣が幻視槍とかいう奴に襲撃されたようだがエルリックが体を張って守り通したらしい。
(エルリックには感謝しないとな)
まだ、利用価値のあるリリアナを失うのはこちらとしたらかなりの痛手だ。 しかし、エルリックはリリアナを守り通した。
苦戦もしただろうが、ありがたい。
条件付きとの事だったが、ノアが力を貸したと言うことは、エルリックもノアに認められたのだろう。
「ユナさんは戦闘可能ですか?」
ユナがニグルと戦っていた事はもう説明してある。
だが、かなりのダメージを受けているので、戦闘はさせたくない。
「では、本陣へお戻り下さい、敵の本陣へはナナさんを向かわせます」
ユナの状態を確認し、本陣への帰還をリリアナに命じられる。
ナナは単独行動を続けているが、主戦力のいない皇国軍の本陣など単独で撃破出来るだろう。
「わかった、本陣へ戻る」
通信を切り本陣へと進み出す、もう少しで戦争は終わる、だがまだやる事は残っている。
代行者を殺したがまだこの砂の世界にはミアリスを信仰している奴らが残っている。
ノアが完全にこの世界を掌握するまでは油断は出来ない。
*******
「団長!」
本陣へと帰還すると、クレア達赤姫のメンバーが走りながら集まって来た。
ユナは本陣の前に降りると言ったので今は並んで歩いている。
やはり、団員の前では意地があるのだろう。
「クレア、酷い傷ね」
「それはお互い様でしょう? 団長もボロボロです」
そうやり取りしお互いに笑っていた、やはり赤姫皆が傷は負っているが無事でユナも嬉しいのだろう。
「シン殿も良くぞご無事で、それに団長を救って頂けたようで、感謝します」
クレアに礼を言われると団員からも声を掛けられる。
彼女達とあまり仲良くした覚えはなかったが、共に戦っていると自然と仲間意識が生まれるのだろう。
「ですが、今回団長がどれほどあなたの心配をしていたと思っているのです。 少し反省して頂きたい」
「ちょ、ちょっとクレア!」
だがやはり黙って行方を眩ませたのは、気に入らなかったらしい。
それが作戦だったとユナが説得しているが、まだ納得してもらえないようだ。
「すみません、次からはちゃんと説明しますので」
ここは謝るべきだろう、彼女達がユナの事を心配していたのは今の接し方をみていたらわかる。
「シン様、ご苦労様です」
しばらくすると本陣の大きめなテントからリリアナが歩いて来た。
今回1番疲れたのは彼女だろう。
作戦の立案から実行、それに9万もの軍勢の指揮だ。
俺にはそんな事は出来ない。
ここは何か労ってあげなければいけないだろう。
「そんな、ご褒美など今も頂けて… あっ!いえ日頃から頂けておりますので。 でっではわたくしは少し失礼させて頂きます、汗をかいてしまったので少し着替えて来ます」
何が良いのか考えていたが、リリアナはいそいそと離れてしまった。
息も少し乱れていたのでやはり疲れているのだろう。
無理に引き止めるのは可哀想だ。
「あの王女、なんか時々変な匂いするのよね、今もそうだし」
リリアナがいなくなったらユナが失礼な事を言ったので咎めておいた。
今はまだ、戦争中だ。
湯浴みの準備はあるが指揮官のリリアナは常に忙しいだろうし、湯浴み出来ないのは仕方ないだろう。
「まあいいわ、日も暮れてるしもう休みましょう、皇国軍もかなり被害が大きいし今日は攻めてこないでしょ」
そう言って赤姫の団員達と与えられた夜営地に戻って行った。
俺も敵軍に紛れ込んだから、精神的にかなり疲れてる。
正直バレたらどうしようと心配で夜寝られなかった。
エルリックの様子も見に行ったが、まだ眠っていた。
初めてノアの腕輪の力を使ったんだ。
まだ体が慣れてないので負担は大きいだろう。
適当に場所を見つけて休む事にする。
ノアと連絡が取りたいが今は忙しいらしい。
翌日眼が覚めるとエルリックは起きていたらしい。 まだ戦闘は厳しいが、歩いたりする分には回復したようだ。
「正直何度も死んだと思った、この腕輪がなかったらこの本陣は簡単に落とされていたはずだ、ありがとう」
「いや、ノアに認められたのはエルリックの実力があったからだ。 あいつなかなか人を認めないからな」
これは本当の事だ。
ノアは基本、人の力を見極めてようとする。
ダメなら利用するだけ利用し、合格ならノアから歩みよっていく。
エルリックもノアに何か認められたからこそ、受け入れられた。
正直腕輪を渡す事は許されたが、その後の展開は完全にエルリック次第だ。
何かしらの条件があったはずだがそれをエルリックは突破したんだろう。
「だがこれを僕に渡してくれたのは君だ。 感謝するよ」
その後は幻視槍との戦闘の事を聞いた、聞いた限りでは死闘と言っていい戦闘だ。
それにエルリックの無王の双槍っという武器は正直羨ましい。
槍2本とか王とか何かかっこいいし。
久しぶりにエルリックと話し込んでいるとリリアナが合流して来た。
「シン様、少しお話があるのですか」
「何だ?」
「それが皇国から使者が送られまして、講和を結びたいと」
講和か、皇国も被害が大きいので、これ以上の戦争はしたくないのだろう。
こちらとしても悪い話ではない。
「良いんじゃないか?」
リリアナもそのように思っていたそうだ。
皇国にいたニグルは倒したし、それに皇国はもうノアの支配下だ。
信徒の数を減らすのはあまりしたくない。
「では皇国には受け入れる事を伝えます。交渉はお任せ下さい、こちらが優勢ですので王国としても問題ありません」
何にせよこれで戦争は終わりだ。
ニグルとの決着も付けたので、後は王国でちょっと俺が処刑寸前まで捕まるだけだ。
でもやっぱり気分は乗らない。
処刑されそうになるなんて喜ぶ奴はいないだろう。
その後、帰還の命令が出たナナが夜になって戻って来た。
戻って来るなり殴りかかってくる彼女も俺の事を心配してくれていたのだろう
甘んじて受けようじゃないか。
「やりすぎよ」
ユナの制止でようやく拳骨の連打止まった。
ほんとやりすぎだよ、顔がパンパンじゃないか、1発で許してよ。
次の日、皇国から皇子がやって来た。
リリアナに任せる事にしてるので俺にやる事はないだろう。
皇国からは第1王女と第1皇子の婚約が条件になったらしい。
こちらとしてもこれから仲良くし、また戦争で人口を減らす事はやめて欲しいので文句はない。
こちらからは交易の融通をしてもらうようだ。
そしてこれからは、定期的に互いの軍の練兵や闘技大会などが行われるようになるそうだ。
埋まっていない溝はまだあるが、これを機に長年の争いによる犬猿の仲も無くして欲しいものだ。
「では、王都へ帰還しましょう」
リリアナの発言で本陣の片付け、撤退が速やかに行われた。
長期戦を見越していたので、食料など大量に残ってしまったが。
その日に質素だが宴が行われた。
仲間を亡くした人達も弔いをし、王都へ帰還する。
荒野まで片道で2週間ほどかかる為、約1か月ぶりの王都になる。
結構な時間をこの砂の世界で過ごしているが、それもあと少しとなるとやはり寂しくなる。
レベッカなど世話になった人には、ちゃんとお礼をしなければ。
王都への旅の途中はリリアナの勧めでユナと共に王族専用車両に乗せてもらった。
さすがは王族だけあって内装はかなり豪華だ。
振動もほとんどないし快適だ。
何故かお供のメイド達に鋭い視線を向けられるが理由はわからない。
美人揃いなのでそう敵視されると精神へのダメージが大きいからやめて欲しい。
ユナはリリアナの考えた作戦を知らなかった事が、やはり気に入らなかったようでよくリリアナと喧嘩する
リリアナの方もユナをからかったりするので、いつも言い合いをしている。
手を出してしまえばユナの圧勝なのだが、それをしないのでそれほど仲が悪い訳ではないのだろう。
リリアナは途中で夜いなくなったり、息が荒い時もあるが、特に体調が悪い訳ではないらしいので気にしなくて良いそうだ。
色々あったがこれでようやく砂の証も手に入りそうだ。
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