プロクラトル

たくち

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砂の世界

魔王の正体

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「いってぇなぁ、遠慮なしに引きずりやがって」

 リリアナとのやり取りの後すぐさま国王は、シンの捕縛へ動き出した。
 リリアナから聞いた宿屋にて、シンを拘束捕縛し、王城にある地下牢へと投げ込んだのだ。

 そのシンはと言うと予め捕縛されるのは知っていた為、抵抗せず大人しく従っていたのだが、捕縛に来た兵士達はその様子が面白くなかったようで、手荒く地下牢まで連れ込んだのだ。

 さすがに大の男に手荒く扱われては、無傷ではいられない。
 体を縄で縛られ、そのまま引き摺られ連れてこられたのだ、痛いのは当然だろう。
 もちろん着ていた長衣と腕輪も奪われてしまった。
 脱出などするつもりは無いが、腕輪なくして脱出は出来ないだろう、ノアと連絡を取れないのは痛手だが仕方ない。

「しかし、想像以上に悪質な環境だな」

 連れてこられた地下牢は、地下だけあって薄暗く鉄格子の外にある小さな照明で、僅かに何があるかわかるぐらいの薄暗さだ

 完全な暗闇では人間は発狂する事を理解しているのだろう。
 だが、最初はこの灯りがなかった事が伺える。
 牢の壁は、何か引っ掻き傷のような物があちこちにあり、暴れまわった形跡があった。

「他には誰もいないのか?」

「呼んだかの?」

「うっうぎゃあああああっ!」

「おっおい静かにせんか!」

「いやあああっ! 助けてぇぇぇぇぇ!」

「なっ何だ⁉︎ どうしたんだ!」

 いきなり叫び声を上げたシンに、監視の兵士達が地下牢へと走り込んで来る。
 シンの叫びは当然だ。
 他にいないかと声を出して周りを確認すると、シンを見つける銀髪の女の顔が壁から生えていたのだ。
 しかもその顔は声をかけてくる。
 人間の様に動く表情は不気味に他ならない。

「またお前か! 他の囚人に迷惑をかけるなと何度言えばわかるんだ!」

 どうやら隣の囚人の仕業らしい。
 兵士達が来てくれた事に安堵したシンは落ち着きを取り戻す。
 また、という事はこの女はどうやってか知らないが、何度もこうやって顔を出して、ここに入った囚人に迷惑をかけている様だ。

「なっなんだと! また鞭を打つのか⁉︎ 妾はお隣さんに挨拶をしておるだけでは無いか!」

 女は顔を壁から突き出したまま答えている。
 不気味だが、この女の最初言っていた事はシンの呟きに答えた物だ。
 驚いてしまったのは事実だが、この女はまだシンに何もしていない。
 さすがにこれで鞭が与えられるのは可哀想だろう。
 そう考えたシンは擁護する事にする。

「兵士さん、俺が驚きすぎただけです。 この方は悪くありません」

「いやこいつは常習犯だ、厳しく罰せねばならん」

「そうだ、そうだ! 妾が、悪い!」

 あれ? おかしく無い? 女を庇おうとしたのに、何故かその庇った相手にも批判されてしまった。
 訳がわからないシンを無視し兵士達は鞭を取り出して来た。

「やっやめろ! この状態では動けないのだ! それに自分の体も見えん! 身動き出来んのだ!」

 鞭を持ち出した兵士に向け顔だけの女は叫んだ。
 なるほど、顔だけがこの壁をすり抜けて出てきたのか。
 だがさっきと言ってる事が違う。
 やっぱり罰は受けたく無いんだろう。

「兵士さん、やっぱり自分のせいです。 この方は悪くありません」

 再度擁護したシンだったが、兵士達はシンの言う事を聞かずそのまま隣の牢へ入って行った。

「やっやめろ! 身動き出来ん妾に何をするつもりなのだ! 妾を誰と心得る!」

「黙れ!」

「ぎゃあ!」

 ビシィッと鞭が打たれた音が地下牢に響く、そして女の悲鳴もだ。
 身動き出来ない上に鞭は激痛だろう。
 壁から生えた女の顔が、激痛を物語る様に歪んでいる。

「やっやめてくれ! 妾に何をする! ゆっ許さん、許さんぞ! 身動きの取れん妙齢の女性に、大勢の男達が取り囲んで何をするつもりだ! おっおのれ許さん、決して妾は屈しない! 屈しないからな!」

 いや、この顔は激痛で歪んでいるのでは無い。
 何となく状況の読めてきたシンである。

「うっうぐぅ! おのれ、まだまだ妾は折れんぞ!」

 再度響く鞭の音、さすがにここまで来たらシンも確信していた。
 そうこの女は、鞭を打たれて喜んでいる。

「はぁっはぁ、妾はこの程度では負けんぞぉ、っはぁ!」
   
 もう、シンは考えるのを辞めていた。
 思えば自在に壁をすり抜けられると言う事は、別に今からでも顔を引っ込めば良い。
 それをしないという事は、この女はわざと身動き取れないの状況にしたままなのだ。

「フン! これに懲りたらもう辞めるのだな!」

 何発か鞭を入れ、兵士達は上へと登って行った。
 彼らは真剣に罰したつもりなのだが、この女には逆効果だろう。

「きっ貴様も、目の前で女性が、罰を与えられているというのに顔色一つ変えんのか!」

 兵士達が帰ると今度はシンに突っかかる女の顔。
 だが関わるとろくな事にならなそうなので無視を決め込んだ。

「貴様! 妾を無視すると言うのか! おっおのれ妾はその程度ではあきらめんぞぉ!」

 前言撤回だ、こいつは無視してもろくな事にならない。
 この女と接しているのは僅かな時間だったが、完全にこの女の事を理解したシンだった。

「はぁ、それであんた何者なんだ? 壁をすり抜けられるって事は何かの魔術師なのか?」

 いつまでたっても壁から顔を生やしたままだったので、仕方なく会話をする事にした。
 壁がすり抜けられるのに脱獄しない女に疑問もあったからだ。

「魔王だ」

「へ?」

「だから魔王と言っておろう! 妾は魔王様だ! どうだ驚いたか? 恐れ慄くがいい!」

 まさかの魔王様の登場に言葉を失うシン。
 しかし、先ほどの痴態を見てしまった後では、魔王にかけらも恐怖を覚えられない。
 と言うか、本当に魔王なのかも疑わしい。


「むっむふぅ? 良く見れば貴様なかなか面白いのう? この世界では、異質だ」

 顔だけを突き出しシンを、まじまじと観察する自称魔王。
 だが、その言葉は無視は出来ない。

「異質? わかるのか?」

「妾は魔王と言っておろう。 本質ぐらい見極められるわ!」

 どうやら本当に魔王なのだろうか。
 自分の本質を見抜かれたシンは魔王との会話に興味が出て来た。

「他に俺と同じ様なのを知ってるか?」

「ふむぅ、そうだな、前にもあった事はある」

「本当か⁉︎」

 魔王の返答はシンにとって重要な事を言っている。 
 しかし、魔王からは期待とは違う返答が返ってくる。

「何だ貴様、急に態度を変えおって。 まあいい、残念だが覚えとらん! 何しろ長い間生きておるからの! 些細な事など忘れたわ!」  

 豪快に笑い飛ばしている魔王に、期待を裏切られガッカリするシン。
 ようやく手掛かりを掴めそうだったので、意気消沈と言った所だろう。

「そうガッカリするで無い! 妾と会話出来るなど、貴様はなかなか幸運じゃぞ?」

 確かに本題は聞けなかったが、長年生きている魔王との会話なら何か得るものもあるだろう。
 そうそう出来る体験では無いので、会話を続けるシン。

「魔王様はだいたいどのくらい生きてるのです?」

「おっ! 良い態度だの、なかなかわかる奴だ。 質問に答えてやろう、妾はだいたいいくつだ? まあ創世より生きておる」

 ババアじゃねえか! と言いたくなったが堪える。
 折角友好的に会話出来ているので、無駄にしたくない。

「何故、そのようなお方がこんな所に?」

 魔王ならば我が物顔で、世界征服とか乗り出しそうなものだが、シンの思っている魔王とは違うのだろう。
 それにここにいる意味がわからない。

「ちょっと嵌められての。 水の世界に我が居城があるのだが、口車に乗せられてここにいるのだ。 何がここに居れば自由に罰を受けられるだ! 全然自由ではないぞ!」

 急に怒り出した魔王にギョッとしたが、そうか嵌められたのか。
 それにしても自由に罰って、と想像している魔王とは掛け離れた魔王にため息を吐いてしまう。

「今頃水の世界は妾の支配下から離れた魔族が自由にしておるのだろうな。 奴らは人間を憎んでおるからの、妾が止めていたのだが…」  

 魔王の話が本当なら、今頃水の世界は魔族の脅威に怯えているのだろう。
 後々行かなくてはならないが、厄介事が増えそうだ。

「魔王様は優しいお方なのですね。 魔族と他種族の共存を望んでいたのですか?」

「なっなんだ? 急に褒めおって、何も褒美はやれんぞ? だが貴様はやはりわかる奴だ。 その通り、結局上手くはいかんかったが」

魔王は良い奴だ。 その事が確認出来た。
 正直最初の痴態からろくな奴じゃないと思ったが、ちょっとその事に目を瞑れば良い。

「魔王様はノアを知っていますか?」

「ノア? むふぅ? なるほど貴様ノアの代行者か。なるほど、では奴は出て来たのか?」

「ええ、今は腕輪を取られてしまったので連絡が取れませんが」

 ノアの事も知っている。
 それにシンの正体も気付いた。
 先程の言葉通り、魔王には何か本質を見抜く力もあるのだろう。

「あいつは元気か? 会いたいのう、懐かしい」

 悪印象を持っている訳でもないようだ。
 これなら魔王と敵対はしなくて良さそうだ。

「ノアは昔と少し変わってしまったからの。 まああんな世界に閉じ込められたの。 それも当然だ」

「仲が良かったのですか?」

「そうだな、奴の姉と共に良く遊んだものだ。 400年ほど前か? 奴と姉は不仲になってしまったが、また元に戻してやりたいの」

 ノアに姉がいるのは初耳だ、というより神に姉妹とかあんのかよ、と思うシン。
 しかし、創世より生きている目の前の魔王が言うのだから本当だろう。

「良し! 決めた! そろそろここにも飽きてきたし、貴様に着いて行こう! 貴様、名は何という?」

「えっ? シンです、っていうか着いてくる?」

「エッシンと言うのか、なかなか面白い名前だの! 決まっておろうそのままの意味だ!」

「エッシンじゃなくてシンです。 本当に着いて来るんですか?」

 なんか名前を変に覚えられてしまったので、すぐさま修正した。
 しかし魔王が着いて来るのは、色々と想定外だ。
 ノアとかリリアナに相談したい事だが、魔王様は細かい事は気にしない。

「そうか! シンと言うのか、ではシン。 妾は魔王ティナ・グルーエルだ! ティナで良いぞ! そうと決まれば早速脱出じゃ!」
 
「えっ? ちょっと魔王様⁉︎」

「ティナと呼べと言ったであろう! ほれ脱出じゃ! 行くぞ! 魔王様のお通りだ~!」

 宣言通り壁をすり抜けシンを肩に担ぐ魔王様。
 魔王の名にふさわしく拘束具を力で破壊し、鉄格子をへし折り地下牢を抜け出そうとする。
 やはり、出ようと思えばいつでも脱出可能だったのだ。

「ちょっちょっと待って魔王様! 俺にはやる事があるんです!」

「細かい事は気にするでない! ヒャーッハッハァー」

 高笑いをし、シンを担ぎながら地下牢の天井を破壊し、牢獄から脱出する魔王様。
 シンの必死の制止も無視して突き進む魔王様に、兵士達もなす術もなく吹き飛ばされていく。
 
 この砂の世界の王族や敵の行動を、全て読みきったリリアナにもこの銀髪の魔王様の行動は、流石に読みきれなかった。

 ノアとシンの為、己の親すら抹殺するリリアナの考えは,地下牢に罰を与えられる為に閉じ込められていた魔王様によって容易く計画を崩されてしまうのであった。
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