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獣王との戦い
それぞれの行方
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「リリアナに連絡が取れない」
森の世界に戻る為、ネルへの旅路についていたシンは突如として連絡の取れなくなったリリアナに不安を感じていた。
これまでリリアナがシンからの連絡を途絶えさせた事はない。
それだけにこの事態にシンの緊張は高まり続けていた。
「まだ1回でしょ?お風呂とか入ってるんじゃないの?」
シンの言葉にユナはまだ心配するには早いと言葉を返す。
確かにユナの言う通り結論を出すのは早いのかもしれない。
「そうだな、明日また連絡する事にする」
「でも何かあったのかもしれないわね、獣王が動いたのかしら?」
結論を出すのが早いとはいえ何かがあったと仮定する事も必要である。
ここまでリリアナから異常なしとの連絡を受けていたが、獣王が何かしらの行動を起こした可能性がある。
「獣王か、奴が直接危害を加えるとは思えませんな」
シンとユナの会話にアイナが入り込んでくる。
獣王に関係するとあってティナは会話に混ざるつもりはないようだ。
「どういう意味だ?」
「獣王は基本的にユーギリア城から動きませんからね。師のお仲間に直接手を出す事はしないでしょう」
アイナの言葉にシン達は一先ず安心をする。
獣王によるリリアナ達への攻撃がないと判断する事が出来るからだ。
「なら後は何が考えられる?」
シンは他に何が起こり得るのか意見を交わす事にする。
だが獣王以外にリリアナの身に危険が及ぶのかが思い浮かばなかった。
「俺の考え過ぎか、リリアナにはナナもエルリックもついてるしな」
リリアナに何があろうともエルリックが守り抜く。
前に世界樹の試練で偽の世界に引き込まれた際にもエルリックはリリアナの盾として役目を果たしている。
別れの際にもそれを約束し、リリアナの事は任せていた。
その彼らを信頼し、シン達はアイナのもとに向かったのだ。
「さっきから思ってたんだけど」
今まで沈黙していたロイズが、ここで自身の疑問を口にしようとする。
「何だ?」
「さっきから気になっていたんだけど、リリアナっていうのは誰の事なんだ?」
「ロイズ、何を言ってるんだ?」
ロイズの疑問の意味をシンは理解出来ない、それはユナも同じであり、ティナでさえも困惑したような表情を見せている。
「リリアナは前にユグンで会っただろ?金髪の女の子だ。茶髪の槍を使ってた奴と一緒にいたのを覚えてないのか?」
ロイズに対し、口調が厳しくなりながらもシンは説明をする。
ロイズはリリアナ達と顔を合わせてもいるし、何度か言葉を交わしていたはずだ。
だが、ロイズの表情も冴えてはいなかった。
「すまない、僕にはその茶髪の者もわからない」
「あんた!何言ってるのよ!」
全てを忘れてしまったかのようなロイズにユナが掴みかかるが、シンはユナを制し、ロイズと会話を続けた。
「なら、ナナはわかるか?小さい女の子の方だ」
ナナの特徴をロイズに細かく説明をする。
するとロイズから今までと違う返答が返ってくる。
「その子なら知っているよ、君達の仲間は他にもいるのかい?」
「ああ、そうか、何となくわかってきた」
ナナの事を覚えていると言うロイズに対し、シンは何かを理解したように頷く。
「何がわかったのよ」
リリアナ達の窮地にシン達は森の世界への進行速度をさらに速める事となる。
**
「さて、さすがにボクもそろそろ飽きてきたな」
空も海も大地も、何もかもがない世界で何にも染まらない真っ白な髪を持つ女性が、四つん這いになる女性の背に乗り、独り言のように話をする。
かつて地の神と讃えられていたミアリスは、かつての美しさを感じさせないほどやつれ果てており、神々しさなど欠片も残してはいない。
強制転移に使用した魔力が回復するまで、ミアリスを玩具にする事で暇潰しをしていたノアだったが、抵抗すらしなくなったミアリスに飽き飽きしていた。
シン達の事については完全に任せる方向にしており、傍観を決め込んだのだが、そろそろ手を出すべきか考え始めていた。
「しかし、サリスも中々性格が悪いじゃないか」
次の標的、山の神サリスにノアは悪態を吐く。
シン達の状況を確認した上で、これからどうするか考えると、サリスには少なからず文句が出て来てしまう。
「サリスの世界の支配は私にも理解出来ませんから」
「おや?人体実験をしていた神とは思えない発言だね」
森の世界についての情報はノアよりもミアリスの方が多く持っている。
ここまでの時間で、ミアリスは完全にノアの支配下に置かれた為、情報を余す事なくノアに提供していた。
「それを言われてしまっては言葉を返す事が出来ません。ですが、ノア様以外の神の中でサリスが1番、人族で遊んでいますから」
「それはボクが1番人族で遊んでると言いたいのかい?」
「いっいえ、そういうつもりではありません」
ノアの言葉にミアリスは怯えるが、その姿もノアにとっては愉快な光景でしかない。
長らく無の世界に閉じ込められていた恨みはほうそう拭い去られるものではない。
「まあいいさ、ボクも自覚はあるからね」
ミアリスの言う通りにノアは人族で遊んでいると自覚がある。
だがそれはノアの仲間でない者、そういう人族に限った話だ。
「中々興味深い話を聞いたよ。ほら、褒美だ。ボクの足を舐めさせてあげるよ」
「ありがたき幸せでございます」
ノアの言葉にミアリスは顔に恍惚を浮かべて、その美しい足を舐め始める。
ミアリスの心はとうの昔に折られ、ノアに刃向かおうとなど、考えてもいなかった。
「あはは、いいね、いいよミアリス。サリスの事はシンに任せるとしよう。それにあの1位の娘も手篭めにするとはボクも思わなかったからね、戦力は申し分ないはずだし」
最悪の場合はノアも手を出さざるおえないが、それまでは傍観を決め込む事にする。
アイナの実力を確かめる意味でも、今回はシン達に森の世界の支配を任せる事にしたのだ。
「さあ、サリス。ボクの仲間は手強いぞ?」
森の世界に戻る為、ネルへの旅路についていたシンは突如として連絡の取れなくなったリリアナに不安を感じていた。
これまでリリアナがシンからの連絡を途絶えさせた事はない。
それだけにこの事態にシンの緊張は高まり続けていた。
「まだ1回でしょ?お風呂とか入ってるんじゃないの?」
シンの言葉にユナはまだ心配するには早いと言葉を返す。
確かにユナの言う通り結論を出すのは早いのかもしれない。
「そうだな、明日また連絡する事にする」
「でも何かあったのかもしれないわね、獣王が動いたのかしら?」
結論を出すのが早いとはいえ何かがあったと仮定する事も必要である。
ここまでリリアナから異常なしとの連絡を受けていたが、獣王が何かしらの行動を起こした可能性がある。
「獣王か、奴が直接危害を加えるとは思えませんな」
シンとユナの会話にアイナが入り込んでくる。
獣王に関係するとあってティナは会話に混ざるつもりはないようだ。
「どういう意味だ?」
「獣王は基本的にユーギリア城から動きませんからね。師のお仲間に直接手を出す事はしないでしょう」
アイナの言葉にシン達は一先ず安心をする。
獣王によるリリアナ達への攻撃がないと判断する事が出来るからだ。
「なら後は何が考えられる?」
シンは他に何が起こり得るのか意見を交わす事にする。
だが獣王以外にリリアナの身に危険が及ぶのかが思い浮かばなかった。
「俺の考え過ぎか、リリアナにはナナもエルリックもついてるしな」
リリアナに何があろうともエルリックが守り抜く。
前に世界樹の試練で偽の世界に引き込まれた際にもエルリックはリリアナの盾として役目を果たしている。
別れの際にもそれを約束し、リリアナの事は任せていた。
その彼らを信頼し、シン達はアイナのもとに向かったのだ。
「さっきから思ってたんだけど」
今まで沈黙していたロイズが、ここで自身の疑問を口にしようとする。
「何だ?」
「さっきから気になっていたんだけど、リリアナっていうのは誰の事なんだ?」
「ロイズ、何を言ってるんだ?」
ロイズの疑問の意味をシンは理解出来ない、それはユナも同じであり、ティナでさえも困惑したような表情を見せている。
「リリアナは前にユグンで会っただろ?金髪の女の子だ。茶髪の槍を使ってた奴と一緒にいたのを覚えてないのか?」
ロイズに対し、口調が厳しくなりながらもシンは説明をする。
ロイズはリリアナ達と顔を合わせてもいるし、何度か言葉を交わしていたはずだ。
だが、ロイズの表情も冴えてはいなかった。
「すまない、僕にはその茶髪の者もわからない」
「あんた!何言ってるのよ!」
全てを忘れてしまったかのようなロイズにユナが掴みかかるが、シンはユナを制し、ロイズと会話を続けた。
「なら、ナナはわかるか?小さい女の子の方だ」
ナナの特徴をロイズに細かく説明をする。
するとロイズから今までと違う返答が返ってくる。
「その子なら知っているよ、君達の仲間は他にもいるのかい?」
「ああ、そうか、何となくわかってきた」
ナナの事を覚えていると言うロイズに対し、シンは何かを理解したように頷く。
「何がわかったのよ」
リリアナ達の窮地にシン達は森の世界への進行速度をさらに速める事となる。
**
「さて、さすがにボクもそろそろ飽きてきたな」
空も海も大地も、何もかもがない世界で何にも染まらない真っ白な髪を持つ女性が、四つん這いになる女性の背に乗り、独り言のように話をする。
かつて地の神と讃えられていたミアリスは、かつての美しさを感じさせないほどやつれ果てており、神々しさなど欠片も残してはいない。
強制転移に使用した魔力が回復するまで、ミアリスを玩具にする事で暇潰しをしていたノアだったが、抵抗すらしなくなったミアリスに飽き飽きしていた。
シン達の事については完全に任せる方向にしており、傍観を決め込んだのだが、そろそろ手を出すべきか考え始めていた。
「しかし、サリスも中々性格が悪いじゃないか」
次の標的、山の神サリスにノアは悪態を吐く。
シン達の状況を確認した上で、これからどうするか考えると、サリスには少なからず文句が出て来てしまう。
「サリスの世界の支配は私にも理解出来ませんから」
「おや?人体実験をしていた神とは思えない発言だね」
森の世界についての情報はノアよりもミアリスの方が多く持っている。
ここまでの時間で、ミアリスは完全にノアの支配下に置かれた為、情報を余す事なくノアに提供していた。
「それを言われてしまっては言葉を返す事が出来ません。ですが、ノア様以外の神の中でサリスが1番、人族で遊んでいますから」
「それはボクが1番人族で遊んでると言いたいのかい?」
「いっいえ、そういうつもりではありません」
ノアの言葉にミアリスは怯えるが、その姿もノアにとっては愉快な光景でしかない。
長らく無の世界に閉じ込められていた恨みはほうそう拭い去られるものではない。
「まあいいさ、ボクも自覚はあるからね」
ミアリスの言う通りにノアは人族で遊んでいると自覚がある。
だがそれはノアの仲間でない者、そういう人族に限った話だ。
「中々興味深い話を聞いたよ。ほら、褒美だ。ボクの足を舐めさせてあげるよ」
「ありがたき幸せでございます」
ノアの言葉にミアリスは顔に恍惚を浮かべて、その美しい足を舐め始める。
ミアリスの心はとうの昔に折られ、ノアに刃向かおうとなど、考えてもいなかった。
「あはは、いいね、いいよミアリス。サリスの事はシンに任せるとしよう。それにあの1位の娘も手篭めにするとはボクも思わなかったからね、戦力は申し分ないはずだし」
最悪の場合はノアも手を出さざるおえないが、それまでは傍観を決め込む事にする。
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