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獣王との戦い
真意
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「ナナ、どこ行ってたのよ?」
アルファス達から逃れたシン達一行へと再会を果たしたナナは、ユナに手を引かれ、急遽訪れた宿屋にて浴室に連れ込まれた。
何日も続けて外出していたと思われるナナは汚れており、宿屋の浴室のみを借り、ユナと共に入浴していた。
シン達は外に待機しており、アルファス達の追尾を警戒している。
リリアナ達と別行動をしていたと思われるナナに、ユナは何をしていたのか質問をする。
ナナの行動次第では、ユナは元々部下であったナナに叱責をしなければならない。
その役目は自分がやると、ユナは自ら申し出ていた。
元赤姫団長として、ナナの行動に責任を持つ必要がある。
「リリアナ、いなくなった」
「ええ、それは私もわかったわ」
口数の少なく、表情も変えないナナには何度かやり取りをしなければ、本当の答えが聞けない事を知っているユナは、焦る事なく会話をする。
よくナナの言葉が足りない事で、問題になった事は何度も経験した。
「だから、探した」
「どこを探したの?」
「世界樹の外、でもいなかった」
リユーを捕らえ、拠点へと戻ったナナは、リリアナ達がいない事にすぐ異変を察し、捜索へと乗り出したようだ。
アルファスの能力が効かないナナは、他の者と違い、逆にアルファスの仕業だと考えられなかったようであった。
アルファスの思惑ではないのだが、ナナの力が裏目に出てしまったのだろう。
「それで、戻って来た。それでユナ達見つけたの」
シン達の戻るまでの間、ナナはひたすら世界樹の外を捜索していた。
リリアナやエルリックの行動出来るであろう範囲をすべて探し尽くした所で、ユナ達と遭遇したとナナは説明する。
必死に探していたのだろう、ナナには小さな傷跡が各所に残っている。
魔獣との戦闘や、森の植物により少しずつ傷を受けたようである。
「そう、頑張ったわね」
リリアナ達を放置し、狩りに向かったナナを叱責しようとしたが、その後の対応を知れば文句を言う気になれないユナは、ナナを慰めるようにする。
砂の世界にいた頃のナナが、仲間の為にそこまでする事はほとんどなかった。
そのナナがリリアナ達を探す為、身を削って走り続けた事に、ナナの成長を感じ、ユナは嬉しさも感じていた。
「なら、リリアナ達の居場所はまだわからないのね」
ナナのスピードならば、リリアナ達本人もしくは他の者よりも格段に速い。
そのナナが捜索した範囲に居ないのならば、それよりも遠くにリリアナ達が居る事はないだろう。
「なら、残る可能性はリリアナ達が殺された。もしくは試練の時みたいに、存在自体を消されたかね」
最悪の場合として、リリアナ達の死は覚悟をしている。
だが、口喧嘩を度々しながらも、仲の良かったリリアナの死を簡単には受け入れられない。
「たぶん、死んでない。あの家で死んだ匂いはしなかった」
「そう、なら良いわ。簡単に死なれたら私のライバルになんてなれないから」
心配しつつもリリアナ達が死んでない事に、一先ず安心をする。
嫌味を言い合いつつ、ユナとリリアナの仲は悪くないのだ。
「さあ、シン達のところに行こう。これからの事を話さなきゃ」
ナナが無事であった事と、リリアナ達が生存している事に、ユナの張り詰めていた緊張もほぐれていた。
シン達に合流したユナは、ナナのこれまでの行動と、リリアナ達の生存を伝える。
「なら、ユグンの中にいる可能性が高いな」
ユナと同じような答えをシン達も出し、ユグンの捜索に目的を切り替える。
リリアナ達の救出にシーナの奪還、山の証の入手とやるべき事が、次々と増えて行く。
「どこにいるんだ?」
シン達の頭脳として働いていたリリアナとエルリックの離脱は、想像以上にシン達にとって痛手である。
「アルファスに襲われたのは確実だと僕は思う。さっきあいつは獣王様の味方であるような発言をしているし、もしかするとユーギリア城に監禁されてるんじゃないかな」
悩むシン達の中で、ロイズが自身の考えを伝える。
この時期でのアルファスの裏切りは、獣王の指示と考えるのが妥当である。
そのアルファスに襲撃されたのならば、ユーギリア城に囚われている可能性が高い。
「師よ、そのアルファスと言う者について教えて頂きたいのですが」
アイナが問いかけてくると同時に、シンはアイナに森の世界にいる仲間の事を詳しく知らせていない事に気がついた。
アルファスについて知っている事を教え、リリアナ達についてもアイナに説明する。
先に説明しておかなかった事をシンは後悔する。
Sランク冒険者ならば、何か対応策をシン達よりも知っているか、考えられるかもしれない。
「我の予想ですが、城にいる事はないと思うのです」
「何でだ?」
「我がもしそのアルファスと言う者であったなら、捕らえたお仲間を人質に取る事をする。師達の帰りを確認したのなら、あのように囲むのでなく、城に誘き出すはず」
アイナの考えでは、殺さず捕らえたリリアナ達を利用し、シン達を追い詰める事をする。
生死すらわからせずにシン達を襲撃するよりもその方が確実だと考えている。
「俺達を混乱させるのが狙いじゃないのか?」
アイナの意見も同意出来るが、今のようにシン達を混乱させる為に、アルファスは行動しているようにも思える。
こうしている事もアルファスの策なのかもしれない。
「いえ、そのアルファスの行動が気になるのです。師は獣王と敵対しているのです。アルファスが獣王の手下ならば、師の仲間を襲撃可能ならば殺してしまえば良い」
「けど、リリアナ達は殺されていないのよ?」
「そうです。ですが、生かしておくならば人質として使わない訳がない。それに師達を殺すのが目的ならば、獣王の配下の多いユーギリア城での戦闘の方が殺しやすい」
アイナの言う通り殺すのならば、仕掛けも用意出来、戦闘員の多いユーギリア城で戦う方が獣王にとっては有利となる。
「獣王はそれをしない。アルファスの独断かもしれませんが、奴の連れていた仲間は元はそこの鳥の仲間なのでしょう?」
「ああ、あの中に獣王の直接の手下はいなかった。メリィが確認している」
「そして昨日訪れた男です。奴も師の仲間の事を知っていた。ならばあの中の者達も知っていると考えて良いでしょう」
アイナの言葉に同意を示し、先を促す。
「そしてあの不意打ちの仕方です。本当に殺す気ならば、わざわざ攻撃前に言葉を話さない」
アルファスはシン達の背後に回り、話しかけてから攻撃した。
そのお陰でロイズが反応し、守る事が出来た。
「アルファスは俺達を殺す気はない?」
シンの出した答えは簡単なものだ。
だが確かにアイナの言う通り、アルファスに殺意がないように思える。
「なら、何がしたいのよ?」
「そこまでは、我にもわかりません」
さすがのアイナもアルファスの真意を読み切れる訳ではない。
だが、シン達は何かしらの手がかりは掴める気がしてきた。
「アルファスは裏切っていないのか?」
リリアナ達を殺さない、そしてシン達も殺さないとなり、シンは一つの答えに辿り着く。
アルファスのこれまでの行動から、そしてアイナの考えから、もしかしたらの考えが浮かんでくる。
「それはわかりません、ですが我らがここに戻ってきた事を知る事は出来なかったはずです。それがわかったのが、拠点を男が訪ねた後の話。その次の日の襲撃にしては準備が良すぎる気もします」
確かに、1日で200もの軍勢を集める事は困難だ。
事前に何か打ち合わせと準備をしていなければ、あの襲撃は不可能だろう。
「リリアナが襲われたと思われるのは、俺達が森の世界に向かい始めた時だよな」
リリアナとの連絡が途切れたのは氷の世界から戻る直後の事だ。
事前にシン達が戻ると聞いたアルファスが、そのタイミングでリリアナを襲撃し、シン達の帰還を待ったのかもしれない。
リリアナがいない事を知りながら、報告に部下を向かわせた事も疑問が残る。
「何か、訳があるのか?」
だがアルファスの真意がわからない。
何かを伝えようとしているのか、それとも裏切りなのか、判断がつかない。
「ねえ、アルファスが獣王の監視をしていたのよね」
「ああ、そうだ」
アルファスの能力ならば、獣王に気づかれる事はない。
だからこそ、獣王の監視はアルファスに一任していたのだ。
「もしかしてアルファスは獣王に感づかれたんじゃない?」
アルファスの能力も完璧ではない。
獣王ならばナナのようにイグジステンス・イーターを見破れるかもしれない。
「それで、怪しまれないよう、俺達を襲撃したのか?」
ユナの仮定した通りならば、これまでのアルファスの行動に筋が通るとシンは考えついた。
獣王に感づかれた為にリリアナとエルリックを隠す。
敵対していないと示す為にシン達を、暗殺でなく軍勢を引き連れわかりやすく襲撃する。
疑問だったアルファスの行動をユナの仮定ならば、何とか説明がつく。
「師よ、世界樹の攻略に行きましょう」
突然、アイナが予想していない行動を進言する。
シンは意味を考えるが、答えが出せない。
「そうね、ティナも言ってたじゃない」
訳がわからないと言った表情のシンとロイズを放置し、ユナは納得したようにアイナに同意する。
「シン、この世界に来た目的は?」
ユナは答えを自分で考えさせるようにシンに質問をする。
「それは、山の証を手に入れる為だ」
その答えはすぐに出す事が出来る。
「なら、その入手の仕方は?」
「獣王か?」
「違うわよ、それはシーナの話を聞いてからの話でしょ?」
シンの答えをユナは否定する。
確かに獣王から貰うと言うのは、シーナが獣王となってからの話だ。
だがここまで来ればシンにも何が言いたいのか理解出来た。
「そうか、世界樹の頂上。そこに行くんだな?」
シンの出した答えに、ユナは満足したように頷く。
獣王について何かがわかる場所は世界樹の頂上であり、山の証を手にする事が出来るのも世界樹の頂上である。
森の世界に戻ってから、ティナはその全てを見透かす瞳で、何かを見たのだろう。
目的を忘れていないか?と言う質問は、既にシン達のするべき行動を教えていたのだった。
知らんぷりをするティナに礼をして、シン達は以前挑み、攻略不可能であった世界樹の試練に向かう。
アルファスの真意は未だ不明である。
だがシーナ奪還、リリアナ達の救出、山の証の入手の為、シン達はまた歩み始めた。
アルファス達から逃れたシン達一行へと再会を果たしたナナは、ユナに手を引かれ、急遽訪れた宿屋にて浴室に連れ込まれた。
何日も続けて外出していたと思われるナナは汚れており、宿屋の浴室のみを借り、ユナと共に入浴していた。
シン達は外に待機しており、アルファス達の追尾を警戒している。
リリアナ達と別行動をしていたと思われるナナに、ユナは何をしていたのか質問をする。
ナナの行動次第では、ユナは元々部下であったナナに叱責をしなければならない。
その役目は自分がやると、ユナは自ら申し出ていた。
元赤姫団長として、ナナの行動に責任を持つ必要がある。
「リリアナ、いなくなった」
「ええ、それは私もわかったわ」
口数の少なく、表情も変えないナナには何度かやり取りをしなければ、本当の答えが聞けない事を知っているユナは、焦る事なく会話をする。
よくナナの言葉が足りない事で、問題になった事は何度も経験した。
「だから、探した」
「どこを探したの?」
「世界樹の外、でもいなかった」
リユーを捕らえ、拠点へと戻ったナナは、リリアナ達がいない事にすぐ異変を察し、捜索へと乗り出したようだ。
アルファスの能力が効かないナナは、他の者と違い、逆にアルファスの仕業だと考えられなかったようであった。
アルファスの思惑ではないのだが、ナナの力が裏目に出てしまったのだろう。
「それで、戻って来た。それでユナ達見つけたの」
シン達の戻るまでの間、ナナはひたすら世界樹の外を捜索していた。
リリアナやエルリックの行動出来るであろう範囲をすべて探し尽くした所で、ユナ達と遭遇したとナナは説明する。
必死に探していたのだろう、ナナには小さな傷跡が各所に残っている。
魔獣との戦闘や、森の植物により少しずつ傷を受けたようである。
「そう、頑張ったわね」
リリアナ達を放置し、狩りに向かったナナを叱責しようとしたが、その後の対応を知れば文句を言う気になれないユナは、ナナを慰めるようにする。
砂の世界にいた頃のナナが、仲間の為にそこまでする事はほとんどなかった。
そのナナがリリアナ達を探す為、身を削って走り続けた事に、ナナの成長を感じ、ユナは嬉しさも感じていた。
「なら、リリアナ達の居場所はまだわからないのね」
ナナのスピードならば、リリアナ達本人もしくは他の者よりも格段に速い。
そのナナが捜索した範囲に居ないのならば、それよりも遠くにリリアナ達が居る事はないだろう。
「なら、残る可能性はリリアナ達が殺された。もしくは試練の時みたいに、存在自体を消されたかね」
最悪の場合として、リリアナ達の死は覚悟をしている。
だが、口喧嘩を度々しながらも、仲の良かったリリアナの死を簡単には受け入れられない。
「たぶん、死んでない。あの家で死んだ匂いはしなかった」
「そう、なら良いわ。簡単に死なれたら私のライバルになんてなれないから」
心配しつつもリリアナ達が死んでない事に、一先ず安心をする。
嫌味を言い合いつつ、ユナとリリアナの仲は悪くないのだ。
「さあ、シン達のところに行こう。これからの事を話さなきゃ」
ナナが無事であった事と、リリアナ達が生存している事に、ユナの張り詰めていた緊張もほぐれていた。
シン達に合流したユナは、ナナのこれまでの行動と、リリアナ達の生存を伝える。
「なら、ユグンの中にいる可能性が高いな」
ユナと同じような答えをシン達も出し、ユグンの捜索に目的を切り替える。
リリアナ達の救出にシーナの奪還、山の証の入手とやるべき事が、次々と増えて行く。
「どこにいるんだ?」
シン達の頭脳として働いていたリリアナとエルリックの離脱は、想像以上にシン達にとって痛手である。
「アルファスに襲われたのは確実だと僕は思う。さっきあいつは獣王様の味方であるような発言をしているし、もしかするとユーギリア城に監禁されてるんじゃないかな」
悩むシン達の中で、ロイズが自身の考えを伝える。
この時期でのアルファスの裏切りは、獣王の指示と考えるのが妥当である。
そのアルファスに襲撃されたのならば、ユーギリア城に囚われている可能性が高い。
「師よ、そのアルファスと言う者について教えて頂きたいのですが」
アイナが問いかけてくると同時に、シンはアイナに森の世界にいる仲間の事を詳しく知らせていない事に気がついた。
アルファスについて知っている事を教え、リリアナ達についてもアイナに説明する。
先に説明しておかなかった事をシンは後悔する。
Sランク冒険者ならば、何か対応策をシン達よりも知っているか、考えられるかもしれない。
「我の予想ですが、城にいる事はないと思うのです」
「何でだ?」
「我がもしそのアルファスと言う者であったなら、捕らえたお仲間を人質に取る事をする。師達の帰りを確認したのなら、あのように囲むのでなく、城に誘き出すはず」
アイナの考えでは、殺さず捕らえたリリアナ達を利用し、シン達を追い詰める事をする。
生死すらわからせずにシン達を襲撃するよりもその方が確実だと考えている。
「俺達を混乱させるのが狙いじゃないのか?」
アイナの意見も同意出来るが、今のようにシン達を混乱させる為に、アルファスは行動しているようにも思える。
こうしている事もアルファスの策なのかもしれない。
「いえ、そのアルファスの行動が気になるのです。師は獣王と敵対しているのです。アルファスが獣王の手下ならば、師の仲間を襲撃可能ならば殺してしまえば良い」
「けど、リリアナ達は殺されていないのよ?」
「そうです。ですが、生かしておくならば人質として使わない訳がない。それに師達を殺すのが目的ならば、獣王の配下の多いユーギリア城での戦闘の方が殺しやすい」
アイナの言う通り殺すのならば、仕掛けも用意出来、戦闘員の多いユーギリア城で戦う方が獣王にとっては有利となる。
「獣王はそれをしない。アルファスの独断かもしれませんが、奴の連れていた仲間は元はそこの鳥の仲間なのでしょう?」
「ああ、あの中に獣王の直接の手下はいなかった。メリィが確認している」
「そして昨日訪れた男です。奴も師の仲間の事を知っていた。ならばあの中の者達も知っていると考えて良いでしょう」
アイナの言葉に同意を示し、先を促す。
「そしてあの不意打ちの仕方です。本当に殺す気ならば、わざわざ攻撃前に言葉を話さない」
アルファスはシン達の背後に回り、話しかけてから攻撃した。
そのお陰でロイズが反応し、守る事が出来た。
「アルファスは俺達を殺す気はない?」
シンの出した答えは簡単なものだ。
だが確かにアイナの言う通り、アルファスに殺意がないように思える。
「なら、何がしたいのよ?」
「そこまでは、我にもわかりません」
さすがのアイナもアルファスの真意を読み切れる訳ではない。
だが、シン達は何かしらの手がかりは掴める気がしてきた。
「アルファスは裏切っていないのか?」
リリアナ達を殺さない、そしてシン達も殺さないとなり、シンは一つの答えに辿り着く。
アルファスのこれまでの行動から、そしてアイナの考えから、もしかしたらの考えが浮かんでくる。
「それはわかりません、ですが我らがここに戻ってきた事を知る事は出来なかったはずです。それがわかったのが、拠点を男が訪ねた後の話。その次の日の襲撃にしては準備が良すぎる気もします」
確かに、1日で200もの軍勢を集める事は困難だ。
事前に何か打ち合わせと準備をしていなければ、あの襲撃は不可能だろう。
「リリアナが襲われたと思われるのは、俺達が森の世界に向かい始めた時だよな」
リリアナとの連絡が途切れたのは氷の世界から戻る直後の事だ。
事前にシン達が戻ると聞いたアルファスが、そのタイミングでリリアナを襲撃し、シン達の帰還を待ったのかもしれない。
リリアナがいない事を知りながら、報告に部下を向かわせた事も疑問が残る。
「何か、訳があるのか?」
だがアルファスの真意がわからない。
何かを伝えようとしているのか、それとも裏切りなのか、判断がつかない。
「ねえ、アルファスが獣王の監視をしていたのよね」
「ああ、そうだ」
アルファスの能力ならば、獣王に気づかれる事はない。
だからこそ、獣王の監視はアルファスに一任していたのだ。
「もしかしてアルファスは獣王に感づかれたんじゃない?」
アルファスの能力も完璧ではない。
獣王ならばナナのようにイグジステンス・イーターを見破れるかもしれない。
「それで、怪しまれないよう、俺達を襲撃したのか?」
ユナの仮定した通りならば、これまでのアルファスの行動に筋が通るとシンは考えついた。
獣王に感づかれた為にリリアナとエルリックを隠す。
敵対していないと示す為にシン達を、暗殺でなく軍勢を引き連れわかりやすく襲撃する。
疑問だったアルファスの行動をユナの仮定ならば、何とか説明がつく。
「師よ、世界樹の攻略に行きましょう」
突然、アイナが予想していない行動を進言する。
シンは意味を考えるが、答えが出せない。
「そうね、ティナも言ってたじゃない」
訳がわからないと言った表情のシンとロイズを放置し、ユナは納得したようにアイナに同意する。
「シン、この世界に来た目的は?」
ユナは答えを自分で考えさせるようにシンに質問をする。
「それは、山の証を手に入れる為だ」
その答えはすぐに出す事が出来る。
「なら、その入手の仕方は?」
「獣王か?」
「違うわよ、それはシーナの話を聞いてからの話でしょ?」
シンの答えをユナは否定する。
確かに獣王から貰うと言うのは、シーナが獣王となってからの話だ。
だがここまで来ればシンにも何が言いたいのか理解出来た。
「そうか、世界樹の頂上。そこに行くんだな?」
シンの出した答えに、ユナは満足したように頷く。
獣王について何かがわかる場所は世界樹の頂上であり、山の証を手にする事が出来るのも世界樹の頂上である。
森の世界に戻ってから、ティナはその全てを見透かす瞳で、何かを見たのだろう。
目的を忘れていないか?と言う質問は、既にシン達のするべき行動を教えていたのだった。
知らんぷりをするティナに礼をして、シン達は以前挑み、攻略不可能であった世界樹の試練に向かう。
アルファスの真意は未だ不明である。
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