プロクラトル

たくち

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獣王との戦い

世界樹の試練

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 ~世界樹50階層~

「「誰だよ! お前は!」」

 世界樹の試練に挑戦していたシン達の隣に謎の人物達が現れた。
 謎の、と言うのは間違いなのかもしれない。

 現れた人物達、それはシン達と全く同じ姿をした者達だったのだ。
 姿に服装、全てにおいて全く同じ姿をした者達が、それぞれ全く同じ声で話をし続けているのは異様な光景であった。

 各々が我こそが本物であると主張する場は、混乱に包まれており、どちらが本物であるかなど見分けがつかない。

 順調に進んでいたと思われていた世界樹の試練は思わぬ所で足踏みする事となってしまった。

 30階層の試練は、シン達の予想通り、アイナの存在により突破する事が出来た。
 続く31階層からの戦闘試練も、アイナとロイズを加えたパーティーは、易々と乗り越えていった。

 アイナが加わった事により、ナナ以外にも遠距離攻撃をする要員が増え、近接戦闘も完璧なアイナにより、戦力は倍増した。

 また、ロイズの存在により、防御面は格段に硬くなる。
 吸引闇虫による攻撃の吸収で、敵の遠距離攻撃は無効化し、ロイズの戦闘力も向上する事となる。

 2人の加入により、シン達は戦闘においてほぼ隙が無くなったと言えるだろう。

 順調に勝ち進み、40階層の試練では過去の自分に打ち勝つ事を条件とされた。
 シンやユナなどは少しずつ成長している事を実感出来た試練であったが、ここでアイナとティナが思わぬ苦戦をする事となった。

 既に最強の生命体として完成しつつあるアイナとティナは、過去の自分と今の実力がそう変わらない。
 完璧に思えたアイナとティナもこの試練には相当苦戦したようだった。

 それでも、試練による同程度の実力を持つ自分との戦闘は刺激になったらしく、ティナなどはまたこの試練をやりたいと言っていた。

 全力で戦う機会の少ない彼女達は、久々の戦いに、苦戦はしたが、満足していた様子であった。
 リリアナなどはもともと戦闘が得意でない為、事前に持っていた武器の差で、なんとか勝利出来たらしく、疲れ切った様子で試練を終えていた。

 エルリックはシン達の中でも、特に自身の成長を実感したらしく、ティナに教わった魔槍飛燕流に手応えを感じられたようであった。
 シンやユナ、ナナやアイナが、試練での戦闘をすぐに終わらせてしまっていた為、なかなかエルリックに戦闘の機会は訪れないのだ。

 久々の満足いく実践の機会を、エルリックは有効に使う事が出来たようであり、試練を終えたエルリックは自信を持った顔立ちをしていた。

 次の試練の間の前室にて、宿泊をしたシン達は、疲労を回復させる薬を飲み、試練を突破し続けた勢いをそのままに41階層からの攻略を進めた。

 念の為、50階層前に休息を取り、万全を期して挑んだ試練は、予想のしていない内容であった。

『真実を見抜け』

 短い試練の声が響いた直後、分裂したかのように、自分と瓜二つの者達が姿を現したのだ。
 全く同じ姿と声と性格に、最初は戸惑いを見せたシン達であったが、冷静になった時には、既に誰が本物であるかなど、見分けがつかない状態になってしまった。

 真実を見抜けと言う事は、偽のシン達を見分ける必要がある。
 リリアナは2人とも同時にその言葉を口にする。
 だが、その事がさらなる混乱をもたらす事になり、全員が全く同じ言葉を発し続けていた。

「「ああもう!めんどくさいわね!」」

 痺れを切らしたユナは、2人同時にシンを殴り飛ばす。
 一応手加減はされていたらしいのだが、部屋の壁まで吹き飛ばされた2人のシンは、各々殴られた頬を腫らせながら、戻ってくる。

「「殴る事はないだろ!」」

 ユナが見分けをする為に、何か行動をすると感じたシンは黙って見ていたのだが、まさか殴られるとは思っておらず、たまらずユナに文句を言う。
 その言葉も2人全く同じ内容であった。

「「偽物を殺害するしかないようですね」」

 同時に殴られたシンを見たリリアナは、試練の突破方法をすぐに導き出す。
 攻撃されても消えないという事は、完全に消滅させるしかないのだ。

「「ティナはわからないのか?」」

 全てを見透かす瞳を持つティナに助けを求めるが、返ってきたのは不可能と言う言葉だった。
 魔王であるティナを持ってしても、違いを見出せなかった。

「「我はなかなか、良い装備をしているな」」

 完璧に再現された自分を、アイナは互いに賞賛し合っていた。

 各々の行動まで完璧に再現されている為、立ち姿や振る舞いなどからも見分けはつかない。

「「少し、試したい事があるのですが」」

 そんな中、リリアナが何かを思いついたらしく、ユナのもとに向かう。

「「何よ?」」

 ユナに向け、リリアナは何かを耳打ちする。
 リリアナの言葉に、ユナは目を見開いて驚くが、リリアナの決意を察し、同意したように頷いた。

「「何をするんだ?」」

 2人の行動が気になったシンだったが、リリアナは答えようとせず、ただ指を口に当て見守るように指示をする。

「「ユナさん、お願いします」」

 リリアナの言葉にユナは、真紅に輝く刀を鞘から抜く。
 何を考えているのか、シンにはわからない。
 だが、直後に金属の撃ち合う甲高い音が鳴り響く。

「何をしてるんです!」

 真紅の刀をリリアナに向け、一閃したユナの目の前には、純白の槍を持ち防御するエルリックの姿だ。

「これで、決まりましたわね」

 勝ち誇った顔をするリリアナの隣には、無残にもユナに斬り殺されたもう1人のリリアナの姿である。
 斬り殺されたリリアナは、すぐさま消滅し、エルリックにより守られた本物のリリアナが、残る事になった。

「エルリック、動かなかった自分を殺しなさい」

「はっ!」

 リリアナの盾と言う役目を果たさなかったもう1人のエルリックが、純白の槍により突き殺される。
 これでリリアナとエルリック、本物の2人が残る事になる。

「エルリック、試すような事をしてすみませんね」

 エルリックならば、例え仲間からの攻撃であろうとも自分を守る。
 そう確信していたからこそ、リリアナはユナに自分を攻撃しろと言えたのだ。
 2人の主従の信頼関係があったからこそ、出来た行動である。

「いえ、リリアナ様。当然の事ですので」

 エルリックにとってリリアナを守る事こそが使命である。
 その事を実行しただけにすぎなかった。

「リリアナ様、私も同様に試したい事があるのですが」

「良いですよ、わたくしが許可します」

 リリアナの許可を得たエルリックは、懐にしまっていた魔導具の袋を取り出し、何かを取り出す。
 たったそれだけの動作であったが、ただ1人反応を見せた者がいた。

「このナナさんが、本物です」

 エルリックが取り出した物、それはリユーの肉を調理した物だった。
 ナナはいつ食事を求めるかわからない為、エルリックは常にそれを用意している。

 料理に反応しなかったナナを、ナナが自ら攻撃し消滅させる。
 美味しそうに食事をしながら、ナナは無表情で自身を殺害する。

「これで3人ですね、次はどういたしましょう?」

 ここまでは当人達の本能に刻まれた行動で、偽物を見抜いてきたが、そう簡単に本能を刺激は出来ない。

「「アイナ、お前は簡単に見抜けるぞ」」

「「むっ、師よ、何を言っているのです?」」

 シンの言葉にアイナは不満を持つように頬を膨らませながら答える。
 この事はシンとユナにしかわからない事だった。

「「お前の持ってる黒い冊子に…」」

「お兄ちゃんのばかぁ~!言わないって言ったのに!」

 シンの言葉を聞き終える前に、片方のアイナが泣き崩れる。
 誰にも言わない、そう約束したにも関わらず、躊躇いなく話すシンに対し、思わず素のアイナが表に出て、なきじゃくる。
 もう1人の自分が、突如として泣き崩れた事に偽物のアイナは戸惑う。
 その隙に立ち竦んだアイナをシンが攻撃し、アイナは1人になる。

「ばかぁ…」

 本物のアイナは、シンを見つめながら弱々しく泣き続ける。
 真実を見抜く為とはいえ、約束を破ろうとしたシンをアイナは恨みを持っていた。

「アイナ、泣いちゃダメよ」

 そんなアイナにユナが慰めるように近づいていく。
 その行動が、ユナの偽物を見抜くきっかけとなった。
 年下の者にユナは優しさを見せるのだ。

「ユナさんの偽物はそちらですね」

 アイナを慰めないユナに、エルリックが攻撃をする。
 事態を把握出来ていない偽のユナはあっさりとトドメを刺される。

「残りはシン様とティナさんですね」

 獄炎鳥となったメリィに偽物は現われていない。
 この試練では、人族のみが試されるようである。

 残りの2人を見抜く為、リリアナ達は再度どうするか、話し合いを始める。
 だが、残った2人の内の1人は何をする訳でもなく、見抜く事が可能であった。

「わっ妾に何をするつもりだ!妾に手を出してみろ、許さんからの!うへへ」

 殺されゆく偽物達の末路を知るティナは顔に恍惚の表情を浮かべ、息を乱している。
 たったそれだけの事で、偽のティナはユナにより惨殺され、それを見た本物のティナが何か察したように残念そうにうなだれる。

「あと、シンだけね」

 膝から崩れ落ちるティナを無視し、一同は2人のシンに向き直る。
 だが、シンのみが唯一、簡単に見分ける事が出来ない。

「「俺が本物だ」」

「ちょっと黙ってて!」

 必死に主張するシンをユナが黙らせる。
 話したところで違いなどわからない。

「ねえ、シンにはなんかないの?」

「わかりません、どうしたら良いものか」

 ユナ達はそれぞれ、あれこれと意見を言うが、これと言って良い意見が出ない。
 唯一残ったシンは、焦りを感じている。
 自分にだけ、誰も活路を見いだしてもらえないのだ。

「師よ」

「「なんだ?」」

 立ち直ったアイナがシンに向け声をかけてくる。

「こう言ってはなんですが、師は特徴がありませんな。これと言った物が師には無いのでは?」

 予想していなかったアイナの反撃に、シンはティナと同じく膝から崩れ落ちる。
 特徴のなさは、密かに気にしていた事であった。

「シン様、シン様には良い所がたくさんございます」

 リリアナがすかさずフォローするが、シンの受けた精神的ダメージは想像以上に深かった。

「しょうがないわね」

 見てられないと言った様子で、ユナはシンに近寄る。
 1人ずつの手に触れ、答えを出したのか、真紅の刀を取り出した。

「こっちが偽物よ」

 目で捉えられない速度で振り切られた刀は、シンの首を斬り飛ばし、偽のシンが姿を消す。
 本物を見抜いたユナにシンが思わず、惚けてしまう。

「どうしてわかったのです?」

 試練が突破されたと声が響いた後、リリアナはユナに問いかける。
 ユナは満足げな表情を浮かべ、リリアナに答えを返す。

「秘密よ」

 ユナの出した答えにリリアナはついムッとしてしまう。
 この試練で、ユナに差をつけられたと察したのだ。

 この日の試練はこれで終了となる。
 ユナがシンを見抜いた方法は、ユナ本人にしかわからない。
 ユナの触れたのは正確にはシンの手でなく、その手に着用された黒いグローブだ。

 自身の誕生日の日にシンに購入した冥王の搾手が装着されている。
 その能力を知る者はこの中で、シンとユナしかいないのだ。
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