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第二章 郵便屋さん

第38話 その人誰っすか?

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「おはようございます。郵便屋さん」

「おはよう。弟子ちゃん。来てくれてありがとね」

 郵便屋さんの勤める会社。そのとある一室の入り口。僕と郵便屋さんは、軽く挨拶を交わしました。

 入口からは、室内の様子を見ることができます。たくさんのデスク。その全てに、大量の書類が積まれています。デスクに向かう職員さんたちは、書類の山に囲まれながら、必死に仕事をこなしていました。

「すごいですね、あれ」

「アハハ。まあ、見てのとおり、毎日忙しいんだよ」

 苦笑いを浮かべる郵便屋さん。さすがにここまでとは言いませんが、職員さんたちの勤勉さを師匠も少しは見習ってほしいものです。

 さて、そんな師匠はというと……。

「zzz」

 僕の頭の上。三角帽子の状態で眠っています。

 さすがに、師匠に早起きは厳しかったようです。まあ、予想通りですが。

「さて、じゃあ、仕事の説明をしたいから、中に入ってくれる?」

 郵便屋さんに促されるまま、僕は室内へと足を踏み入れました。

 その時。

「先輩。その人誰っすか?」

 僕の存在に気付いた一人の女性職員さんが、郵便屋さんに尋ねました。「先輩」という言葉からして、彼女は、おそらく郵便屋さんの後輩でしょう。

「昨日言った子だよ。今日はボクたちの手伝いをしてもらうんだ」

 どうやら、郵便屋さんは、僕のことをあらかじめ職員さんたちに伝えてくれていたようです。

 後輩さんは、少しだけ目線を上に向けたかと思うと、「ああ!」と思い出したように頷きました。

 さて、僕も挨拶をしておかないと……。

「はじめまして。本日……」

「先輩の彼氏さんっすね!」

 …………

 …………

 さ、郵便屋さんを問い詰めるとしましょうか。
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