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第五章 弟子
第134話 忘れました
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「弟子君。私からも聞いていいかな?」
僕への説明を終えてしばらくした後。師匠が唐突にそう切り出しました。
「何ですか?」
「弟子君を誘拐した人たちなんだけど、何か言ってなかった? 例えば…………昔の私のこと、とか」
その言葉に、僕は、今まで目をそらしていたことを思い出しました。師匠の正体。それが、『戦花の魔女』であるということを。
師匠の顔に、もう先ほどの優しい笑みはありません。これまで見たことがないほどに真剣な、何かを覚悟したような表情が浮かんでいます。そして、その体は、ほんの少し震えていました。
「…………」
無言で師匠を見つめる僕。そんな僕を見て、師匠は首を傾げます。
「弟子君?」
「…………」
はあ。もっといい方法あると思うんですけどね。
「弟子君、やっぱり……」
「…………」
まあ、不器用なりにやってみましょう。
「やっぱり、何か聞いて……」
「忘れました」
「……へ?」
ポカンと口を開ける師匠。どうやら、僕の答えがあまりにも予想外だったようです。
「すいません。実は、あの人たちが何を言ってたのか、全く覚えてないんですよ。いきなり誘拐されて、しかもナイフを突きつけられてたっていうのが悪かったんですかね。ほら。人間って、嫌な記憶を無意識のうちに忘れようとするじゃないですか。僕もそのパターンなんだと思います」
自分の口調が、ほんの少し早くなるのが分かりました。堂々と嘘をつくって、けっこう難しいものなんですね。
僕への説明を終えてしばらくした後。師匠が唐突にそう切り出しました。
「何ですか?」
「弟子君を誘拐した人たちなんだけど、何か言ってなかった? 例えば…………昔の私のこと、とか」
その言葉に、僕は、今まで目をそらしていたことを思い出しました。師匠の正体。それが、『戦花の魔女』であるということを。
師匠の顔に、もう先ほどの優しい笑みはありません。これまで見たことがないほどに真剣な、何かを覚悟したような表情が浮かんでいます。そして、その体は、ほんの少し震えていました。
「…………」
無言で師匠を見つめる僕。そんな僕を見て、師匠は首を傾げます。
「弟子君?」
「…………」
はあ。もっといい方法あると思うんですけどね。
「弟子君、やっぱり……」
「…………」
まあ、不器用なりにやってみましょう。
「やっぱり、何か聞いて……」
「忘れました」
「……へ?」
ポカンと口を開ける師匠。どうやら、僕の答えがあまりにも予想外だったようです。
「すいません。実は、あの人たちが何を言ってたのか、全く覚えてないんですよ。いきなり誘拐されて、しかもナイフを突きつけられてたっていうのが悪かったんですかね。ほら。人間って、嫌な記憶を無意識のうちに忘れようとするじゃないですか。僕もそのパターンなんだと思います」
自分の口調が、ほんの少し早くなるのが分かりました。堂々と嘘をつくって、けっこう難しいものなんですね。
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