143 / 164
間章 インタビューっす
第142話 そ、そそそんなわけないっすよ!
しおりを挟む
「インタビューっす」
朝の郵便配達を終え、自分のデスクで書類を整理していたボクに向かって、後輩ちゃんは突然そう告げた。
「えっと、急に何言ってるの?」
「何って。インタビューっすよ、インタビュー。昨日、先輩に言ったじゃないっすか」
「……あ」
ボクの脳裏によみがえる昨日の記憶。仕事が終わり帰宅する直前、後輩ちゃんが「雑誌のインタビュー、受けてほしいっす」と頼んできた。あの時は、疲れていたせいもあって「そうだねー」と適当に返してしまったが、まさか、今日がその日だったなんて。
「思い出してくれたっすか? じゃあ、始めるっす」
「まあいっか。そういえば、記者の人は?」
「いないっすよ。私がインタビューすることになってるっす」
後輩ちゃんの言葉に、思わず首を傾げるボク。普通、こういうのは専門の記者がするものだと思っていたのだけど……。
「いやー。本当は、出版社に勤めてる私の友達が来る予定だったんすけどね。どうしても代わりにやってほしいってお願いされたんすよ。まあ、何を聞けばいいのかをまとめたメモも事前にもらってるんで、私でも大丈夫っす」
後輩ちゃんは、自分の頭に手を置きながら、困った様子でそう言った。その顔に浮かぶのは苦笑い。だが、どうしてだろうか。声の調子と表情が、どこか作り物のように感じられてしまうのは。
「……もしかして、何か交換条件でも出された? 代わりにやってくれたらお金払うからー、みたいな」
「そ、そそそんなわけないっすよ!」
……どうやら図星らしい。
一瞬、後輩ちゃんの姿が、ボクの大切な友人の一人と重なって見えた。
朝の郵便配達を終え、自分のデスクで書類を整理していたボクに向かって、後輩ちゃんは突然そう告げた。
「えっと、急に何言ってるの?」
「何って。インタビューっすよ、インタビュー。昨日、先輩に言ったじゃないっすか」
「……あ」
ボクの脳裏によみがえる昨日の記憶。仕事が終わり帰宅する直前、後輩ちゃんが「雑誌のインタビュー、受けてほしいっす」と頼んできた。あの時は、疲れていたせいもあって「そうだねー」と適当に返してしまったが、まさか、今日がその日だったなんて。
「思い出してくれたっすか? じゃあ、始めるっす」
「まあいっか。そういえば、記者の人は?」
「いないっすよ。私がインタビューすることになってるっす」
後輩ちゃんの言葉に、思わず首を傾げるボク。普通、こういうのは専門の記者がするものだと思っていたのだけど……。
「いやー。本当は、出版社に勤めてる私の友達が来る予定だったんすけどね。どうしても代わりにやってほしいってお願いされたんすよ。まあ、何を聞けばいいのかをまとめたメモも事前にもらってるんで、私でも大丈夫っす」
後輩ちゃんは、自分の頭に手を置きながら、困った様子でそう言った。その顔に浮かぶのは苦笑い。だが、どうしてだろうか。声の調子と表情が、どこか作り物のように感じられてしまうのは。
「……もしかして、何か交換条件でも出された? 代わりにやってくれたらお金払うからー、みたいな」
「そ、そそそんなわけないっすよ!」
……どうやら図星らしい。
一瞬、後輩ちゃんの姿が、ボクの大切な友人の一人と重なって見えた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
9
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる