大人で子供な師匠のことを、つい甘やかす僕がいる。

takemot

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第六章 大人で子供な私のことを

第159話 大人じゃない!

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 弟子君と生活するようになった初めの頃。私は、大人の女性として弟子君に接するはずだった。そう。そのはずだったのである。

 だが……。

「師匠! 起きてください!」

「うーん。まだ眠いー」

 あれ?

「仕事嫌だ―」

「はいはい。わがまま言わずに行きますよ」

 どうして?

「弟子くーん。お菓子食べたい」

「晩御飯の前はダメですよ」

 違う。

 こんなの。

 こんなの。

 大人じゃない!

 いつの間にかすっかり子供っぽくなってしまった私。自分の変化に全く理解が追いつかない。昔はあれほど大人を目指していたはずなのに。

 私、どうしちゃったんだろ……。

「師匠。もしかして食欲ないんですか?」

「え?」

 顔を上げる私。視線の先にいたのは、心配そうな表情を浮かべる弟子君。

 どうやら、私は考え事に耽りすぎていたらしい。せっかく弟子君が熱々のシチューを出してくれたのに、すっかり冷めてしまった。

「いや。大丈夫だよ」

 そう言って、私は無理矢理笑顔を作る。テーブルの上に置かれたスプーンを手に取り、シチューをすくって口の中へ。おいしいはずなのに、味をしっかり感じられない。

「何かあったら言ってくださいね。僕、できることなら何でもしますので」

「……ありがとね。弟子君」

「といっても、僕なんかが師匠のためにできることなんて、あんまりないんですけどね」

「…………」

 不意に、こう思った。弟子君なら、何か分かるかもしれないと。今の私が、どうしてこうなってしまったのか。その答えを教えてくれるのではないかと。
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