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第六章 大人で子供な私のことを
第160話 弟子君はどう思う?
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「弟子君。ちょっと聞いてみたいことがあるんだけど……」
「はい」
「大人を目指してた人が、逆に子供っぽくなっちゃう理由って何だろ?」
私の質問に、弟子君は首を傾げる。さすがに言葉が足りなかったようだ。ほんの少し頭の中で言葉を練り上げ、私は再度口を開いた。
「この間、私の古い友人に相談されてね。その子は、小さい時から、ずっと大人になりたいって頑張ってた。とっても、とっても頑張ってたんだ。でも、最近、とある人と一緒に暮らすようになって、急に子供っぽくなっちゃったんだって。その人にわがまま言ったり、駄々こねたり。以前はあまりそんなことなかったのに」
ふむふむと頷きながら話を聞く弟子君。『友達』が私のことであると気がついている様子はなさそう。素直というか何というか……。弟子君は、もう少し人を疑ってもいいような気がするのだけど。
「友人も、どうして自分がそうなったのか分からないらしくてさ。弟子君はどう思う?」
ずっと大人を目指していた自分。そんな自分が、今や子供っぽくなってしまっている。本当にこのままでいいのか。本当に正しい姿といえるのか。私の心にあるのは、確かな不安だった。
「そうですね……」
そう呟いて、弟子君は天井に顔を向ける。
他人からしてみれば、私の質問はとてもつまらないものかもしれない。そんなこと気にしなくてもいいという人もいるかもしれない。でも、私にとっては違うのだ。気にしないではいられないのだ。
「えっと……多分ですけど……」
しばらくした後。天井に向けていた顔をゆっくりと戻し、弟子君は、私に向かってこう告げた。
「ずっと、我慢してたからだと思います」
「はい」
「大人を目指してた人が、逆に子供っぽくなっちゃう理由って何だろ?」
私の質問に、弟子君は首を傾げる。さすがに言葉が足りなかったようだ。ほんの少し頭の中で言葉を練り上げ、私は再度口を開いた。
「この間、私の古い友人に相談されてね。その子は、小さい時から、ずっと大人になりたいって頑張ってた。とっても、とっても頑張ってたんだ。でも、最近、とある人と一緒に暮らすようになって、急に子供っぽくなっちゃったんだって。その人にわがまま言ったり、駄々こねたり。以前はあまりそんなことなかったのに」
ふむふむと頷きながら話を聞く弟子君。『友達』が私のことであると気がついている様子はなさそう。素直というか何というか……。弟子君は、もう少し人を疑ってもいいような気がするのだけど。
「友人も、どうして自分がそうなったのか分からないらしくてさ。弟子君はどう思う?」
ずっと大人を目指していた自分。そんな自分が、今や子供っぽくなってしまっている。本当にこのままでいいのか。本当に正しい姿といえるのか。私の心にあるのは、確かな不安だった。
「そうですね……」
そう呟いて、弟子君は天井に顔を向ける。
他人からしてみれば、私の質問はとてもつまらないものかもしれない。そんなこと気にしなくてもいいという人もいるかもしれない。でも、私にとっては違うのだ。気にしないではいられないのだ。
「えっと……多分ですけど……」
しばらくした後。天井に向けていた顔をゆっくりと戻し、弟子君は、私に向かってこう告げた。
「ずっと、我慢してたからだと思います」
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