34 / 36
32話
しおりを挟む
交流試合が終わった次の練習で、私は咲来と一緒に職員室に行って、桜から聞いた話を先生に尋ねた。
「先生って翔瑛女子大だったんですか?」
「そうよ」
どうして知っているの?と、それがどうかしたの?が混ざった表情を浮かべながら、大したことじゃないように答えた。
それから私のことと桜から聞いた先輩の話をした。私が聖華女子学園の中等部に通っていたこと、そこに中西美月先輩がいたこと、中西先輩が翔瑛女子大に通っていて先生と知り合いなのではないかってことを。
「前田さん、美月の後輩なの!?」
先生は心底驚いているようだった。それもそうだ。私の出身中学は地元の公立校になっているから、美月先輩と繋がるものは見当たらなくて当然だ。
「はい。私が中学1年生の時に先輩は高校2年生でした。学年は離れてましたけど、とても面倒を見ていただいて」
「そうだったのね。美月はね、私のバイト先の後輩なの。私が4年生の時に入ってきて、あれこれ教えてあげたりしたわ」
先生が美月先輩の先輩なら、もしかしたら先生もプロレスをやっていたのではないか。でもやっぱりその期待は外れていた。バイトの先輩後輩だったのだ。
そこからが相談事だった。
指導者が欲しい。
先輩の話は咲来にもしていた。いつも練習の度に教えてくれる人欲しいよねって話もよくしていたので、美月先輩にお願いできたらいいなって。
「美月にうちの部の指導を?うーん。そうねー。朝日丘ってあまり部活に力入れてないじゃない?部活の指導は顧問と部員でっていうのが基本みたいなのよね。だから指導料みたいなのは学校からは出ないだろうから、美月が承諾してくれても負担になってしまうかもしれないわね」
そうか。ボランティアをお願いするようなものなんだ。それを聞くとお願いするのが申し訳なくなる。先輩がコーチだったら心強いと思ったんだけど。
望みが散ってしまい気持ちが沈みかけた私たちの顔を見かねたのか、
「でも、翔瑛ってこの近くだから、一回会って話くらいしてみてもいいかもしれないわね。可愛い後輩に面と向かってお願いされたら案外引き受けてくれるかもしれないし」
ニヤっと笑ってそんなことを言う。
先生は美月が大学にいるタイミングで会えないか聞いてみてくれるらしい。せっかくだから練習しているところを見せてもらおうなどと勝手なことを言っている。
「前田さんも大塚さんも一生懸命頑張っているんだもの。そういう人を見ると周りは手を貸したくなるものよ」
こうして先生は3日後に美月先輩と会う約束をしてくれた。学校で午前の練習をした後、翔瑛女子大に行くことが決まった。
「先生って翔瑛女子大だったんですか?」
「そうよ」
どうして知っているの?と、それがどうかしたの?が混ざった表情を浮かべながら、大したことじゃないように答えた。
それから私のことと桜から聞いた先輩の話をした。私が聖華女子学園の中等部に通っていたこと、そこに中西美月先輩がいたこと、中西先輩が翔瑛女子大に通っていて先生と知り合いなのではないかってことを。
「前田さん、美月の後輩なの!?」
先生は心底驚いているようだった。それもそうだ。私の出身中学は地元の公立校になっているから、美月先輩と繋がるものは見当たらなくて当然だ。
「はい。私が中学1年生の時に先輩は高校2年生でした。学年は離れてましたけど、とても面倒を見ていただいて」
「そうだったのね。美月はね、私のバイト先の後輩なの。私が4年生の時に入ってきて、あれこれ教えてあげたりしたわ」
先生が美月先輩の先輩なら、もしかしたら先生もプロレスをやっていたのではないか。でもやっぱりその期待は外れていた。バイトの先輩後輩だったのだ。
そこからが相談事だった。
指導者が欲しい。
先輩の話は咲来にもしていた。いつも練習の度に教えてくれる人欲しいよねって話もよくしていたので、美月先輩にお願いできたらいいなって。
「美月にうちの部の指導を?うーん。そうねー。朝日丘ってあまり部活に力入れてないじゃない?部活の指導は顧問と部員でっていうのが基本みたいなのよね。だから指導料みたいなのは学校からは出ないだろうから、美月が承諾してくれても負担になってしまうかもしれないわね」
そうか。ボランティアをお願いするようなものなんだ。それを聞くとお願いするのが申し訳なくなる。先輩がコーチだったら心強いと思ったんだけど。
望みが散ってしまい気持ちが沈みかけた私たちの顔を見かねたのか、
「でも、翔瑛ってこの近くだから、一回会って話くらいしてみてもいいかもしれないわね。可愛い後輩に面と向かってお願いされたら案外引き受けてくれるかもしれないし」
ニヤっと笑ってそんなことを言う。
先生は美月が大学にいるタイミングで会えないか聞いてみてくれるらしい。せっかくだから練習しているところを見せてもらおうなどと勝手なことを言っている。
「前田さんも大塚さんも一生懸命頑張っているんだもの。そういう人を見ると周りは手を貸したくなるものよ」
こうして先生は3日後に美月先輩と会う約束をしてくれた。学校で午前の練習をした後、翔瑛女子大に行くことが決まった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる