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しおりを挟む翌日の夕方。
私はキールヴァルトの部屋のベッドの端に座り、彼の帰り待っていた。
仕事から戻ってきて自分の部屋を開けたキールヴァルトは、そこに私がいることが分かっていたかのように目を細めて微笑みを見せた。
「今日は城から抜け出さなかったんだね」
「キールと話しようと思って待ってた」
「……ふぅん?」
キールヴァルトは何故か可笑しそうに笑うと、徐ろに私の隣に座る。そして唐突に私の腰を引き寄せ顎を持ち上げると、強引にキスをしてきた。
「っ!?」
即座に舌が入り込んできて、音を響かせる濃厚なキスにクラクラしながらも、私は無理矢理キールヴァルトから顔を引き剥がした。
「い、いきなり何をするのっ!?」
「……知ってるんだよ。フェリ、さっきまで自分を慰めていただろう? でも、全然物足りなかった。今も消化不良で身体はボクを切実に求めている。キミはボクなしでは生きられない身体になったわけだ」
「……っ!」
図星な内容に、私の顔がカッと赤くなる。
「ははっ、分かりやすいね。本当にすごく可愛いな、フェリは。いいよ、抱いてあげる。そしてもっとボクから離れられない身体にしてあげるよ」
キールヴァルトは黒曜石の目を細めて笑うと、私のドレスを脱がし始めた。私は抵抗もせず瞼を閉じ、彼のされるがままでいた。
「……キール。前回と前々回といい、これは浮気になるよ。王女を裏切ってるよ」
「ならないよ。だってボク、結婚していないもの」
「っ!?」
私が目を見開いてキールヴァルトを見ると、彼は脱がし終わった私をベッドに押し倒し、自分も服を全部脱いだ。
細身だけどしっかりと筋肉が付いた魅力的な身体に、私の顔が知らず赤くなる。
キールヴァルトは私に覆い被さると、首筋に次々と痛みを伴うキスをしていく。
「今まで気付かなかった? 王と王女がいないことに。王子はいるけど、まだ幼いからボクが王の代理をしているんだよ」
「あ……」
そうだ。召喚されてから、今まで一度も王と王女の姿を見ていない。
てっきり自分の部屋にいるものだと思っていたが、それでも同じ城で生活していて一度も顔を合わさないのはおかしなことであった。
「王と王女はボクとの約束を反故にしたのさ。王女との婚約と結婚式は、魔物の所為で心身共に疲弊した国民の士気を上げる為に、二人から熱心に頼まれて仕方なく承諾したんだ。その代わり、実際に婚姻はしない、一年後に離婚という形で国民に発表して自由にさせて貰うことを約束してね。けれど結婚式を挙げた後、王は王女と実際に婚姻して欲しいと頼んできた。王女もその気だった。断ったけど、無理矢理婚姻させようとしてきたんだ」
キールヴァルトは話しながら私の乳首を吸い、もう片方の胸を手で揉み回す。
「んっ……」
「その時にハボックさんからキミの話を聞いて、ボクは王と王女を断罪した。戦士と騎士、魔法使いと僧侶は、王族に虚偽を述べた罪として、死より残酷な拷問を長期間に渡って行い、処刑した」
キールヴァルトは一旦話を止めると、私の両脚を開いた。服を脱いだ時から、既に猛って先走りしている剛根を、さっきまで行っていた自慰で受け入れる体制になっている私の秘所に充てがい、一気に最奥まで貫く。
「ああぁッッ!!」
「……キミがボクのことを好きだったと聞いて、王女と婚約しなければ良かったと強く後悔したよ……。ボクが婚約していなければ、きっとキミはボクに告白してくれただろう? その婚約の所為で、ボクはキミの気持ちを逃してしまった……」
「あ……」
私の気持ちがキールヴァルトに知られてしまった時、彼が「良かった」ってボソボソ呟いていたのは、「婚約しなければ良かった」って言ってたんだ……。
「一旦気持ちが離れてしまったら、その気持ちを再び取り戻すのは至難の業だ。長い時が掛かるかもしれない。だからキミが元の世界に還ってしまう前に、まずは身体でキミを繋ぎ止めることにした。ボクがいなければ生きていられない身体にすれば、心はどうあれキミはボクの傍にずっといてくれるだろ? 実際、それは成功したわけだ」
「…………っ」
キールヴァルトが腰を動かしながら、フッと妖美な笑みを浮かべる。
「ボクへの気持ちは、それから少しずつ取り戻していけばいい。ボクの傍にずっといてくれるなら、時間はたっぷりとあるわけだから」
「……避妊を、しなかったのは……」
「キミとボクとの子供が出来れば、益々ボクから離れられなくなるだろ? ボクにとって都合が良かった。勿論、ボクはキミとの子供を望んでいるから、ちゃんと責任は持つよ。家族になれば、ボクへの愛情が芽生えるかもしれないしね」
「…………!」
そこまで……私のことを――
「キミはもう、元の世界に還れなくなったわけだ。そこにはボクはいない。キミの身体を満足させてくれる人もいない。キミはボクの傍にいるしかないんだよ」
「私が、キールをずっと好きにならなかったら……?」
「それでもキミがボクの傍にいてくれればいい。でも、必ず好きにさせるよ。キミは一度ボクを好きになってるんだ。絶対にまたボクを好きになるさ。そしてボクのことだけを見ていればいい。ずっと、一生……ね」
「ん……っ、随分な自信家、だね……っ」
「ははっ、それが“勇者”というものだろう?」
腰の動きが徐々に強くなっていく。グチュグチュといやらしい音が部屋に大きく響き渡り、腰を打つ度淫らに揺れる私の胸を、キールヴァルトは堪らずといった感じで揉みしだく。
そして盛大に私の子宮の奥に精液をぶちまけた。陰茎が大きく脈打ち、子宮内がたっぷりの精液で満たされていく。
「……あぁ……」
「いつまでも一緒だ、フェリ。元の世界になんて絶対に還らせるもんか。キミは永遠にボクの隣にいるんだ。片時も離れることは許さない」
キールヴァルトはそう言って、繋がったまま私を強く抱きしめてきた。黒曜石の瞳は仄暗く私を見つめている。
……恐らくまた、彼は私を抱くのだろう。今までだったら服を着たままだったのに、自ら裸になったのが証拠だ。
きっと、私の意識がなくなるまで……。
とうとう彼に囚われてしまった私は、瞳を閉じ――
彼に気付かれないようそっと笑うと、その引き締まった身体をギュッと抱きしめ返したのだった――
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