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2.二人の初めての夜 *
しおりを挟むエウロペアとリオーシュが二人きりになるのは、この『初夜』が初めてだ。
「……ふぅ」
エウロペアは一つ息を吐き、緊張しながらリオーシュの部屋の扉をノックする。
彼の返事が聞こえたので、恐る恐る扉を開けた。
と同時に突然腕を引っ張られ、扉が閉められる。身体が抱き上げられたと思ったら、背中に柔らかい感触が走った。
呆然としながら上を見上げると、自分を見下ろす真顔なリオーシュの顔があった。
エウロペアは、広いベッドの上でリオーシュに押し倒されていたのだ。
「……えっ?」
いきなりの事で驚き、何が起きたのか分からなかったエウロペアは、覆い被さるリオーシュの真剣な表情を見上げ、パチパチと目を瞬かせた。
「……へ、陛下?」
「……二人きりの時は名前で呼んでくれないか。リオ……と」
「り、リオ……様……?」
「『様』はいらない。私達は夫婦になったのだから。君は私の妻だ。そして私は君の夫だ。そうだろう? エウロペア……ロア」
「……っ?」
いきなり甘い声で愛称で呼ばれ、いきなり続きでエウロペアの心臓の高鳴りが止まらない。
「り、リオ……?」
「……あぁ……君にずっと……学園に通っていた頃から、そう呼ばれたかった……。ロア、君は私の憧れだったんだ。いつも君を目で追っていた。卒園した後も、君を片時も忘れる事なく、ずっとずっと想っていた。だから、君が妃を承諾してくれて……君と夫婦になれて、とても嬉しい」
「えっ?」
ほんのりと頬を赤く染めながら言葉を出したリオーシュに、エウロペアは素っ頓狂な声を上げてしまった。
(あ、憧れ? 想う? 陛下……リオが私を……? な、何で……? どうして……? ただ擦れ違ったら挨拶をしていただけなのに――)
「ロア……もう我慢出来ない。この夜をずっと……ずっと待ち望んでいたんだ。――愛している、ロア」
突然の上級な愛の告白をされ、リオーシュの顔が降りてきたと思ったら、いきなり唇を塞がれた。
最初は啄むだけの口付けで、すぐに深く濃厚なものに変わる。
「う……んんっ?」
(だから色々といきなりで性急過ぎ……っ!)
リオーシュの行為は、ずっと我慢していたものが一気に解放されたかのような激しさだった。
荒い息を吐きながら、エウロペアの清楚なネグリジェを剥ぎ取り、自分も着ていた服を乱暴に脱ぎ捨てる。
そして興奮した様子で、彼女の透き通るような白く滑らかな肢体に、汗ばんだ手を這い摺り回し始めた。
自分の欲望のままに突き進む粗雑なその動きは、女の扱いに全く慣れていない、エウロペアが初めての相手だと容易に想像出来た。
「ん……っ、り、リオ……っ」
「ロア……っ! 可愛い、可愛いっ。あぁ……本当に堪らない……っ」
リオーシュは熱に浮かされたように呟き、エウロペアの唇を奪って咥内を幾度も堪能し、彼女の身体中に唇を落とし、赤い痕を次々と付けていく。
彼女の小さな胸の頂を口に含み、赤ん坊のように吸い付く。細い両脚を強引に開かせ、晒け出された秘所に彼女の制止も聞かず口と舌を這わせて無我夢中で貪りつく。
その姿はまるで空腹で餌に飢え、理性を完全に失った野獣だった。エウロペアは初めての快楽と混乱の涙を流しながら喘ぎ、ただそれに翻弄されるしかなかった。
散々弄られて赤くぷくりと腫れた陰核を強く吸われ、エウロペアは嬌声を上げ、初めての絶頂を迎えた。
頭が真っ白になり、何も考えられなくなる。身体が張り詰めた後、ベッドに沈み込むように弛緩した彼女は、涙目で乱れた息を吐いていた。膣口がひくついているのが自分でも分かった。
リオーシュは、愛液と自分の唾液で光り震え動く蠱惑的なそれを間近で見て、生唾をゴクリと飲み込む。
「ロア、もう我慢出来ない……っ」
リオーシュは熱い吐息を吐き、最初と同じ言葉を繰り返した。
エウロペアの脚の間から顔を離すと、リオーシュは中心で膨れ上がり滾っていた剛棒を、彼女の濡れそぼつ秘所に押し当てる。
「えっ……」
今初めてソレを見たエウロペアは、その熱さと奇怪な形と大きさに目を剥いた。
「……やっ、待ってリオ……っ。そんな大きいの、いきなりは入らない……っ」
「……っ! ロア、それは――」
心の準備が出来ていなかったエウロペアは慌ててリオーシュを止めたが、彼女のその煽動的な言葉で、彼の興奮が最高潮に達してしまった。
エウロペアが止めるのも聞かず、リオーシュが先走りをしている先端を膣口に突き進めようとした時、不意にそれが泥濘で滑りずれてしまった。
「うぁ……っ!?」
そのほんの些細な衝撃で、我慢の限界に来ていたリオーシュは勢い良く精を放出してしまった。
……彼女の中にではなく、外に。
「あ……」
その時のリオーシュの解放感と絶望が入り混じった顔を、エウロペアはハッキリと見てしまった。
「あ……え、えっと……。は……初めてなんだから仕方ないわ! これが最後じゃないし、また次もあるから、ね? だから大丈夫よ、全然気にしないで?」
手に取るように分かるリオーシュの落ち込み具合に、エウロペアは慌てて彼に慰めの言葉を掛ける。
「……ロア……」
リオーシュは眉尻を下げたまま泣きそうな顔でエウロペアの名を呟くと、彼女を強く抱きしめてきた。
「その……私は、君が初めてで……。憧れの君を前に、理性を失くしてしまって……。自分本位で君を抱いて、自分ばかりが快楽を得てしまって――」
「え……う、ううん? そんな事無いわ。私も、その……気持ち良かった、から……大丈夫よ?」
「……ありがとう、ロア。次はちゃんと……君をもっと気持ち良くさせるから」
リオーシュはそこで漸く小さく笑うと、エウロペアに口付けをしてきた。
「次こそは、君の事を一番に考えるから。……ロア」
「ん、何……?」
「君が眠るまで口付けをしていていいか?」
「えっ」
リオーシュはエウロペアが返事をする前に、嬉しそうに何度も唇を重ねてきた。
彼女が知る限りでは、リオーシュは常に穏やかで何事にも動じず、危機的な状況にも顔に出さず冷静に対処出来る人だった筈だ。実際の年齢よりもずっと大人びていて。
それが、エウロペアの前だとこんなに喜怒哀楽を見せている。まるで無邪気な子供のように。
この姿はきっと自分にしか見せていないのだろうと考えたら、目の前の彼が無性に愛しくなったエウロペアなのだった。
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