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19.甘い夜 *
しおりを挟む「あ……んん……っ」
静かな夜の寝室に、戸惑いを含めた甘い声が響く。
ベッドの上で、一糸も纏わない姿のイシェリアが、ユーリの愛撫をじっくりと執拗に受けていた。
彼女の身体全体――痣と噛み跡中心に唇を這わせながら舐め、胸をやんわりと揉みながら先端を口に含み、舌で転がしながら絶妙な加減で吸い上げる。
そこで彼女を一度イかせた後、脚を広げさせ秘所に顔を埋め、舌と唇で優しく責めていく。
イシェリアは嬌声が止まらずホロホロと透明な涙を流していたが、それは痛みの所為では決して無く、とめどない快楽からくるものだった。
こんなに優しく甘い快感があるなんて、全然知らなかったのだ。
ユーリとイシェリアが一緒に住み始めてから初日以降、この行為が毎夜の日課となっていた。
コザックの“お仕置き”を忘れさせる為の“上書き”だとユーリは言うが、毎回刺激が強過ぎる。
しかも毎回裸と下着を見られ恥ずかし過ぎる。
けれどあの初日の夜以降、悪夢を全く見ていないので、忘れる効果は出ているのかもしれない……。
「あっ……。ユーリ、さ……っ。ま、また……っ」
「ん……いいですよ、イシェリア。我慢せずにイッて下さい」
ユーリが、今までの愛撫でプックリと赤く膨れた芽をチュ、と吸い上げると、イシェリアは甲高い声を上げ、身体を大きく震わせて再び達した。
「……イシェリア。僕も――」
「……ん、はい……」
溢れ出た愛液を舐め取り、ユーリは艶めかしい息をついて起き上がると、イシェリアの横に寝転び、スラックスを下げて大きく膨れ上がった自身を取り出す。そして、彼女を抱きしめるとその太腿の間に自身を差し込み擦り始めた。
ユーリ曰く、イシェリアとの行為で興奮したままの身体では寝られず、一回出さないと辛いのだそうだ。
だから彼女は終わった後、自分の太腿をユーリに貸している。
気持ち良くさせてくれたお礼でもあった。
「……はっ」
イシェリアの胸を少し乱暴に揉みながら、腰を動かし彼女の首元で息を荒くさせているユーリは、いつも以上に妖艶的で。
秘所にも擦れ合い、愛液とユーリのソレの滑りでグチュグチュと淫らな音を響かせ、イシェリアもイッたばかりなのに、堪らず変な気持ちになっていく。
程なくして、イシェリアの太腿が温かい液体で濡れていく感覚があった。
「……貴女の太腿は毎回最高ですね。ありがとうございます」
「ど、どういたしまして……?」
ユーリはハァ、と満足気に熱い息を吐くとスラックスを元の位置まで戻す。
そして用意してあったタオルで手早くイシェリアの太腿を拭くと、彼が購入したネグリジェを着させ、彼女を抱きしめ直した。
間も置かず、いつものように彼女の頬や額に唇を落とし始めていく。
ユーリの家で暮らし始めてから一週間以上は経つが、彼は頻繁にイシェリアの頬や額にキスはするけれど、唇には絶対にしてこない。
「……あの」
「はい、何でしょう?」
「口にはしないんですか……?」
訊いた後に、なんて質問をしてしまったんだと、イシェリアの顔が真っ赤になる。
そんな彼女の反応に、ユーリは楽しそうに声を立てて笑った。
「ははっ! そうですか、唇にもして欲しい……と? いつになく積極的ですね。そんな貴女も大好きですよ」
「あ、いえっ、これはその……っ!」
「ふふ、ここには『挨拶』ではしませんから。特別な時に……ね?」
ユーリは、イシェリアの唇にピトリと自分の人差し指を押し当て、妖艶に笑う。
「それともして欲しいのなら、喜んでして差し上げますよ? 深く濃密なものを――」
「い、いいいえっ! けけ結構です!!」
イシェリアは慌てて首を横にブンブンと振ると、恥ずかしさの余りユーリの胸に顔を埋め隠した。
その可愛らしい仕草に、ユーリのにやけが止まらない。
彼女の小さな身体を、ギュッと苦しくない程度に抱きしめる。
「……あ、あの」
「はい、何でしょう?」
「こ、こういった行為って、その……普通ではやらない……ですよね……?」
「ですね。けれど、僕達は『恋人同士』の設定ですから、していいんですよ。毎日、何回でも」
「え、そ……そういうもの、なんですか……?」
「えぇ。そういうもの、です」
「そ、そうですか……」
「はい。けれどそれは僕限定です。決して他の男と『恋人同士』の設定を作らないよう、絶対厳守でお願いします」
「え、あ……。は……はい、分かりました……」
「ふふっ。また明日の夜もしましょうね?」
「うっ……。は、はい……」
「おやすみなさい、イシェリア。良い夢を」
「……ユーリ、さんも……」
「ふふ、はい」
そしてイシェリアは、ユーリが含み笑いをしていることに気付かず、彼の腕の中で眠りに就く。
……今までの環境から人より飛び抜けて世間知らずな所為で、ユーリの掌の上で見事にコロコロ転がされているイシェリアであった……。
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