カダ子

クロム

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教室にて

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 四人が教室の中にはいる。
「夜の教室は何か不気味ですね。その、毎日見ているものが違って見えてきて。レオは怖くないんんですか?」
「怖くなんかねーよ。タケこそビビってんのか。言い出しっぺだろ?」
「私、ちょっと怖いかも。で、でも比良君がいるなら。」
「はいはい、ウマ子は鈍感だから幽霊いても気づかないだろうな。」
「えーなにそれ。ひどいけど、そういうところも比良君の好きなところかな。」
「はい。そこまで。もう少しで11時ですよ、カダ子の足音が聞こえるかもしれません。」
「カダ子なんているわけないっしょ。」
「レオ、静かにしようぜ。」

 11時になり、オルゴールが流れる。
「え、なによこれ。どうなってんのよ。」
「分からない、いたずらか本物のカダ子が流しているのか。」
「いたずらに決まってんだろ。幽霊なんているわけがない。」
「でっでも比良、こんな時間にいたずらする暇人なんかいると思うか?」
「じゃあなんだって言うんだ。」
「今物音しませんでしたか?」
「オルゴールの音でよく聞こえなかったわ。ねえ、比良君、どうなってるの?」
「分かんねーよ!!」
「落ち着いてください、私放送室へ行ってみます。そこで、犯人を見つけてきます。」
「たっタケ、一人で行くのかよ。」
「まあ、言い出しっぺですから。」

「あっあれ、おかしいですね。扉が開きません。何か引っかかっているみたいです。後ろのドアも確かめてみます。」
「え?」
「ねえ、シャレに何ないよ!助けを求めよう。」
「馬鹿か、ウマ子。そんなことしたら俺たち外出禁止になるぞ。後ろはどうなんだ?タケ。」
「無理ですね、力じゃどうにもなりません。こうなると窓から出るしかないんでしょうか?」
「本気で言ってんのか?ここ3階だぞ。落ちたら死ぬんだぞ?」
 
 電気が消える。
「おい、今度は何だ?もうよしてくれ。おい、ウマ子泣くな。」
「冗談じゃねえ。カダ子とかいうやつ絶対ゆるさねー。」
「確か、オルゴールの音聞いた人って魂奪われるんじゃなかったかしら。ねえ、大丈夫なの私たち。」
「なあ、さっきからタケが見当たらないんだが。ウマ子、レオ、知ってるか?」
「知らないわ、タケ!どこ?!」
「嘘だろ?!」
「どうした!!?」
「倒れてる。」
「いやあああ。」

 オルゴールの音が止まる。
「やっと止まった。俺たちは生きてる。」
「でも、タケは!!」
「わかってるよ。とにかく落ち着くんだ。やっぱり助けを求めるべきだと思う。」
「タケ君、息はしてるわ。」
「まだ、助けられるかもしれない。決断しないとな。」

 教室のドアが開く音がする。
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