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一
王都の滅びと始まりの前夜(2)
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二年後、サムとともに山小屋で暮らすエルストは一七歳の誕生日を迎えていた。
執事やメイドが浮遊魔法を使って衣服を替えさせてくれるわけでもなく、召し抱えのコックが自慢の火炎魔法で料理をこしらえてくれるわけでもなく、まして魔法を使わずとも家族と朝の挨拶を交わせるわけでもない。
太古に肉体活動をしていたドラゴンの片眼をくりぬいた中に建てられた山小屋には、かまど、ベッド、ダイニングセットのみ揃っている。じつに質素な木造の小屋である。
ちなみにここで言う山とはドラゴンの肉体で形成された塊を呼ぶ。半身が大地に埋もれてもなお山のような大きさを見せつけるドラゴンなのだから驚きだ。この〝峡谷世界〟にはこういった風景が多々あるが、太古に繁栄を極めていたドラゴンも、今や肉体活動が停止し、文字どおり生きる屍となっている。ドラゴンは肉体こそ腐敗しないが、不死なのは魂、意識、そして魔力だけなのだ。
エルストは山小屋にある唯一の窓を開け朝の風を吹き入れた。そよ風が汗に濡れたエルストの金髪を撫でる。
木の葉が一枚舞い込んできた。ドラゴンの巨大な肉体は途方もない年月を経ていつしか土砂を呼び込み、緑を形成し、動物を育生するようになっていた。
エルストは次にかまどへと向かった。かまどは山小屋の外にある。ここで日ごろ山菜や動物の肉を焼いている。今日はエルストが食事当番だ。
薪を投げ入れ、火打石を使って火を起こす。そして庭で飼育しているニワトリを一羽、羽交い絞めにして殺した。毛皮の剥ぎかた、肉の捌きかたは以前サムに教わった。サムは王立魔法騎士団の一員だったこともあり、武術や日常生活で必要な技術、知識は豊富に持ち合わせていた。
現在サムは小屋の近くにある貯水槽のところへ、雨水を〝ろ過〟しに行っている。ここでは必要な水を確保するには雨を待ったうえで濾過魔法を使わなければならないのだ。
エルストが肉を焼き上げようとするころ、サムが小屋の裏から姿を現した。日焼けした巨体に、明るい、ウェーブがかった茶髪を後ろで一つにまとめている。いかにも屈強そうなこの中年男性が、エルストが二年間、ともに暮らしてきた恩人サムである。サムは長年務めてきた騎士職を捨て、この二年という月日をエルストの守護という重役に捧げてきた。
「神エオニオとドラゴンの恵み、命の恵みに感謝し」
「いただきます」
エルストとサムは合掌をしたのち食事を始めた。エオニオとは国教の唯一神であり、五百年前、王国を建国した初代国王である。エオニオの死後国教が開かれ、彼は神となった。
人類みな魔力を持ち、魔法を使うこの峡谷世界において、エオニオが人々に説く教えはこうである。
「魔力は先祖からの徳である。魔法は隣人からの愛である。自己は秘め、愛を回すことこそが、人間の幸福を形成する……すなわち自己愛を捨てよ。隣人を愛せよ。隣人もまた、そうしている」
クソくらえだ、とエルストは合掌するたびにつねづねそう思っている。
その理由としてはやはり二年前の誕生日に起きた事件が強大な要因だ。エルストは人を殺すという行為に愛徳は無いと考えている。そして隣人は隣人を愛してなどいない。愛していたなら殺人などは起きないはずだとエルストは確信しているからだ。
祈りを捧げるエルストのまぶたの裏には二年前の、刎ね飛ばされる父親の首の輪郭、地面から生えたいばらの剣に刺されて反り返る父親と兄の胴体ふたつの輪郭が鮮明に縁取られている。あのように、自分がいつ隣人に刺されてもいいように、もしもそのとき反撃できるように、エルストは格闘術の鍛錬を毎日欠かさずおこなっている。いま全身に汗が滲んでいるのはそのためだ。
「今日でエルストも旅に出る年齢だな」
雨の降らない日は山小屋の庭にある丸太をテーブル替わりとするのがいつしか習慣になった。サムが鶏肉にかぶりつきながら言った。この二年間でエルストとサムには奇妙な信頼関係が構築されており、サムはエルストに対し、父、師、時には兄のように接している。
生存するニワトリが喉を鳴らしながら、目の前で食事をする人間たちをじっと見つめている。
王族の家系に生まれた子どもたちは一七歳になると旅に出ることが義務づけられている。ちょうど今日のエルストに相応しい義務である。
「王国は滅んだんでしょ」
エルストはつまり自分はもはや王族ではなくなったと言いたいらしかった。これはエルストが二年間抱えてきた疑惑でもあった。二年前の誕生日から、王都マグナキャッスルが〝サード・エンダーズ〟という組織の手に落ちたということ以外、はたして王国の行く末がどのようだったのかはエルストには知らされていない。
「いいかエルスト」
サムはつばを飛ばしながらむきになる。
「おまえは生き残りなんだ。おまえは生きているんだ。おまえが生きているのだから王国は滅んだことになんかなっちゃいない」
サムはエルストの疑惑を察しており、まだまだ幼さの残る、悪く言えば幼稚であるこの少年の抱く不安につながりうる疑惑を、おとなごころに解消してやりたかった。
「うん」
サムが述べた否定の言葉に力強さを感じ、エルストは心なしか嬉しかった。
しばらくすると食卓に一匹のカマキリが迷い込んできた。以前サムから「カマキリのメスは子孫繁栄と栄養のために交尾をしたオスを食べる習性がある」と聞いたことがある。エルストはそのとき一匹のカマキリを捕まえて飼いたがっていたのだが、サムが「エルストとカマキリじゃ子孫繁栄は難しいな」とつけ加えると、エルストはおとなしくカマキリを逃がしたのだった。
エルストにとってカマキリをろくに世話ができず死なせてやるのと逃がしてやるのとは、後者のほうが、カマキリにいくらか幸せを与えられるように感じたからである。
この時エオニオの教えに則った行動を取っていたのだなどということは、エルストにとってはじつに無意識のうちだった。そして今日もまた、エルストはカマキリの胴体をそっと掴み、草の生えた地面へと帰してやった。
「でも旅なんてどこに行くの」
エルストは庭に置いた桶で皿を洗いながらサムに尋ねた。
「そりゃ決まってる。アトウッドというドラゴンのところだ」
サムはエルストが洗った皿を拭き上げながら答えた。
「どこにいるんだろう」
「そりゃ峡谷だ」
「この世界の八割は峡谷だよ。だから峡谷世界なんて呼ぶんでしょ」
エルストはうんざりした。
「だけどなエルスト」
サムは丸太のテーブルにて白湯を飲み始める。エルストにも勧めたがエルストは断った。エルストは味のない白湯はとても嫌いだ。
「おまえが旅をすることには強い意味があるんだ」
サムがエルストにサード・エンダーズの存在を伝えたのは一年前の今日だった。反王国組織であることや主犯格の男二人組のこと。しかし大した情報は掴めておらず、エルストに伝えることができたのはその程度である。
「その旅って王族は〝宮廷魔法使い〟をひとり任命しなきゃいけないんでしょ。僕にそんな人はいないね。王国は――王都はもう……」
エルストは今やや言葉づかいに注意したが、続けてこう言った時は粗暴な言葉を述べていた。
「そんなことよりも僕はサルバって男を殺してやりたいよ」
サルバというのがサード・エンダーズの主犯格である男の一人である。
「殺すなんて言葉を使うんじゃない」
サムはこの乱暴な言葉をたいそう嫌っている。
「とにかくそのことは大人に任せておくんだ」
サムのこの言葉にエルストは腹が立ち、その晩、弓矢と剣を携えて山小屋を抜け出したのである。 「大人」との言葉に、自分はまだまだ子どもなのだろうかという問いと、サム以外生きているかどうかすらわからない「大人」への疑惑を感じたのだったが、今のエルストは、誰よりも子どもだったのである。
執事やメイドが浮遊魔法を使って衣服を替えさせてくれるわけでもなく、召し抱えのコックが自慢の火炎魔法で料理をこしらえてくれるわけでもなく、まして魔法を使わずとも家族と朝の挨拶を交わせるわけでもない。
太古に肉体活動をしていたドラゴンの片眼をくりぬいた中に建てられた山小屋には、かまど、ベッド、ダイニングセットのみ揃っている。じつに質素な木造の小屋である。
ちなみにここで言う山とはドラゴンの肉体で形成された塊を呼ぶ。半身が大地に埋もれてもなお山のような大きさを見せつけるドラゴンなのだから驚きだ。この〝峡谷世界〟にはこういった風景が多々あるが、太古に繁栄を極めていたドラゴンも、今や肉体活動が停止し、文字どおり生きる屍となっている。ドラゴンは肉体こそ腐敗しないが、不死なのは魂、意識、そして魔力だけなのだ。
エルストは山小屋にある唯一の窓を開け朝の風を吹き入れた。そよ風が汗に濡れたエルストの金髪を撫でる。
木の葉が一枚舞い込んできた。ドラゴンの巨大な肉体は途方もない年月を経ていつしか土砂を呼び込み、緑を形成し、動物を育生するようになっていた。
エルストは次にかまどへと向かった。かまどは山小屋の外にある。ここで日ごろ山菜や動物の肉を焼いている。今日はエルストが食事当番だ。
薪を投げ入れ、火打石を使って火を起こす。そして庭で飼育しているニワトリを一羽、羽交い絞めにして殺した。毛皮の剥ぎかた、肉の捌きかたは以前サムに教わった。サムは王立魔法騎士団の一員だったこともあり、武術や日常生活で必要な技術、知識は豊富に持ち合わせていた。
現在サムは小屋の近くにある貯水槽のところへ、雨水を〝ろ過〟しに行っている。ここでは必要な水を確保するには雨を待ったうえで濾過魔法を使わなければならないのだ。
エルストが肉を焼き上げようとするころ、サムが小屋の裏から姿を現した。日焼けした巨体に、明るい、ウェーブがかった茶髪を後ろで一つにまとめている。いかにも屈強そうなこの中年男性が、エルストが二年間、ともに暮らしてきた恩人サムである。サムは長年務めてきた騎士職を捨て、この二年という月日をエルストの守護という重役に捧げてきた。
「神エオニオとドラゴンの恵み、命の恵みに感謝し」
「いただきます」
エルストとサムは合掌をしたのち食事を始めた。エオニオとは国教の唯一神であり、五百年前、王国を建国した初代国王である。エオニオの死後国教が開かれ、彼は神となった。
人類みな魔力を持ち、魔法を使うこの峡谷世界において、エオニオが人々に説く教えはこうである。
「魔力は先祖からの徳である。魔法は隣人からの愛である。自己は秘め、愛を回すことこそが、人間の幸福を形成する……すなわち自己愛を捨てよ。隣人を愛せよ。隣人もまた、そうしている」
クソくらえだ、とエルストは合掌するたびにつねづねそう思っている。
その理由としてはやはり二年前の誕生日に起きた事件が強大な要因だ。エルストは人を殺すという行為に愛徳は無いと考えている。そして隣人は隣人を愛してなどいない。愛していたなら殺人などは起きないはずだとエルストは確信しているからだ。
祈りを捧げるエルストのまぶたの裏には二年前の、刎ね飛ばされる父親の首の輪郭、地面から生えたいばらの剣に刺されて反り返る父親と兄の胴体ふたつの輪郭が鮮明に縁取られている。あのように、自分がいつ隣人に刺されてもいいように、もしもそのとき反撃できるように、エルストは格闘術の鍛錬を毎日欠かさずおこなっている。いま全身に汗が滲んでいるのはそのためだ。
「今日でエルストも旅に出る年齢だな」
雨の降らない日は山小屋の庭にある丸太をテーブル替わりとするのがいつしか習慣になった。サムが鶏肉にかぶりつきながら言った。この二年間でエルストとサムには奇妙な信頼関係が構築されており、サムはエルストに対し、父、師、時には兄のように接している。
生存するニワトリが喉を鳴らしながら、目の前で食事をする人間たちをじっと見つめている。
王族の家系に生まれた子どもたちは一七歳になると旅に出ることが義務づけられている。ちょうど今日のエルストに相応しい義務である。
「王国は滅んだんでしょ」
エルストはつまり自分はもはや王族ではなくなったと言いたいらしかった。これはエルストが二年間抱えてきた疑惑でもあった。二年前の誕生日から、王都マグナキャッスルが〝サード・エンダーズ〟という組織の手に落ちたということ以外、はたして王国の行く末がどのようだったのかはエルストには知らされていない。
「いいかエルスト」
サムはつばを飛ばしながらむきになる。
「おまえは生き残りなんだ。おまえは生きているんだ。おまえが生きているのだから王国は滅んだことになんかなっちゃいない」
サムはエルストの疑惑を察しており、まだまだ幼さの残る、悪く言えば幼稚であるこの少年の抱く不安につながりうる疑惑を、おとなごころに解消してやりたかった。
「うん」
サムが述べた否定の言葉に力強さを感じ、エルストは心なしか嬉しかった。
しばらくすると食卓に一匹のカマキリが迷い込んできた。以前サムから「カマキリのメスは子孫繁栄と栄養のために交尾をしたオスを食べる習性がある」と聞いたことがある。エルストはそのとき一匹のカマキリを捕まえて飼いたがっていたのだが、サムが「エルストとカマキリじゃ子孫繁栄は難しいな」とつけ加えると、エルストはおとなしくカマキリを逃がしたのだった。
エルストにとってカマキリをろくに世話ができず死なせてやるのと逃がしてやるのとは、後者のほうが、カマキリにいくらか幸せを与えられるように感じたからである。
この時エオニオの教えに則った行動を取っていたのだなどということは、エルストにとってはじつに無意識のうちだった。そして今日もまた、エルストはカマキリの胴体をそっと掴み、草の生えた地面へと帰してやった。
「でも旅なんてどこに行くの」
エルストは庭に置いた桶で皿を洗いながらサムに尋ねた。
「そりゃ決まってる。アトウッドというドラゴンのところだ」
サムはエルストが洗った皿を拭き上げながら答えた。
「どこにいるんだろう」
「そりゃ峡谷だ」
「この世界の八割は峡谷だよ。だから峡谷世界なんて呼ぶんでしょ」
エルストはうんざりした。
「だけどなエルスト」
サムは丸太のテーブルにて白湯を飲み始める。エルストにも勧めたがエルストは断った。エルストは味のない白湯はとても嫌いだ。
「おまえが旅をすることには強い意味があるんだ」
サムがエルストにサード・エンダーズの存在を伝えたのは一年前の今日だった。反王国組織であることや主犯格の男二人組のこと。しかし大した情報は掴めておらず、エルストに伝えることができたのはその程度である。
「その旅って王族は〝宮廷魔法使い〟をひとり任命しなきゃいけないんでしょ。僕にそんな人はいないね。王国は――王都はもう……」
エルストは今やや言葉づかいに注意したが、続けてこう言った時は粗暴な言葉を述べていた。
「そんなことよりも僕はサルバって男を殺してやりたいよ」
サルバというのがサード・エンダーズの主犯格である男の一人である。
「殺すなんて言葉を使うんじゃない」
サムはこの乱暴な言葉をたいそう嫌っている。
「とにかくそのことは大人に任せておくんだ」
サムのこの言葉にエルストは腹が立ち、その晩、弓矢と剣を携えて山小屋を抜け出したのである。 「大人」との言葉に、自分はまだまだ子どもなのだろうかという問いと、サム以外生きているかどうかすらわからない「大人」への疑惑を感じたのだったが、今のエルストは、誰よりも子どもだったのである。
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